スピリチュアル/橘玲 を読んでの備忘録



心理学的な帰属のエラー


感覚的な刺激が無意識に心理的に影響を与える。

・甘いものを食べながら聞く話は甘く感じる。
・温かいコーヒーを持ってる時のほうが他人を利他的に感じる。
・初対面のひとにはあたたかい飲み物を出した方がいい。
・交渉の際は、やわらかな感触のソファに座らせると相手の態度が柔軟になる。
・相手より物理的に高い位置に座ると、交渉が有利になる。
・相手と冷静に話し合いたいときは距離を取り、感情に訴えたいときは身体を寄せる。
・プレゼンの資料は重いものを用意する。ひとは重い本をもつと、それを重要だと感じる。
・赤は不安や恐怖を高める。試験問題を赤で書いたり、受験番号を赤で印刷しただけで点数が下がる。
・イヤな記憶は紙に書いて燃やしてしまう。
・失恋したら旅に出る。

分離脳実験

左脳と右脳を切断すると右脳の人格があらわれる。

感覚がなぜできたのか


①報酬を好み、損失を避ける
②エネルギーの保存(交感神経、副交感神経)

①快の方向に近づく/不快の方向から離れる ②快・不快の「感じ」がしたら覚醒する/快・不快の「感じ」がなくなったら鎮静する


生得的なのは感情を生む脳の仕組みであり、似たような喜怒哀楽を持つのは、環境を共有しているからであろう。

ビッグファイブ

内向的/外交的
楽観的/悲観的
協調性 同調性と共感力
堅実性
経験への開放性

ひとはみな自分の物語の主人公だが、好きなキャラを自分で選べるわけではない。
人格とはその人の内部ではなく身近な他者の評価がフィードバックされたもの。

他人と初めて会った時
その相手は生存への脅威か、そうでないか
その相手は生殖の対象か、そうでないか

ビッグエイト

内向的/外交的
楽観的/悲観的
同調性
共感力

堅実性
経験への開放性
知能
外見

内向的/外交的

レモンドロップ実験
 
レモンによって唾液が増える→内向的
 (内向性は敏感、外向性は鈍感)
外向的であると成功するはサバイバルバイアスで実は内向的な人の方が有利。
外向的な人は予測の設定値が低い予想。
大量のドパミンを産生する遺伝子をもつ人ほど性的なパートナーを多く持ち初体験年齢も低くなる。

楽観的/悲観的

外向的/内向的→報酬系の個体差
楽観的/悲観的→損失系の個体差
幻覚剤LSDやサイロビシンの再評価
抑うつは分断、遮断と感じていた。分断の対象は他者、以前の自分、自分の感覚や気持ち、核となる信念や価値観、自然界などさまざまだが、被験者はこの感覚を「心の監獄で暮らしている」とか、「同じことをいつまでも反芻して堂々巡りのなかに閉じ込められている」、あるいは「精神的な交通渋滞」などと表現した。遮断というのは、ある種の手の届きにくい感情と切り離されてしまうことだ。「うつ病患者は絶え間なく過去を反芻するため、しだいに感情のレパートリーが限定されていってしまう」のだという。  被験者の多くは、サイケデリック体験によって、たとえ一時的であっても、こうした「分断」と「遮断」から解放された。
LSDを使うとデフォルトモードネットワーク(DMN)を低下させる。

デフォルトモードネットワーク↔︎アテンショナルネットワーク。どちらかが活性化するともう片方は沈黙する。
アテンショナルネットワーク→外界から注意喚起されるとき活性化する。
デフォルトモードネットワーク→内省、私たちの心がフラフラと彷徨う時活性化する。
DMNの活動が低下すればするほど、自我の消失感を訴える傾向が高かった。
人間はデフォルトで楽観主義(正常性バイアス、レイクウォビゴン効果)。
悲観主義は状況を正しく理解できている(抑うつリアリズム)。
マインドフルネスは新しい迷走神経を、活性化することで安心感や落ち着きをもたらす。

前帯状皮質(ACC)の膝下野(ブロードマン25野)→感情の形成や社会的認知に関係する。
うつ病患者はブロードマン25野が過活動で小さい。

S型
悪いことが起きたときに非常に不利に働く遺伝子型が、よいことが起きたときには非常に大きな利益をもたらす

セロトニントランスポーター
L型→楽観的
S型→悲観的

日本人はS型が多い

同調性

前2項目はベルカーブで分布するが、この項目はベキ分布する。

集団からの圧力がかかると視覚の認知そのものが変わる。

ステレオタイプ脅威→ネガティブなステレオタイプが私にも当てはまるのかもしれないと不安に感じるだけで、実際に自身のパフォーマンスが低下してしまう現象。自分が少数派でなおかつ優位性がない(劣っている)と感じるとステレオタイプ脅威が発生する。

フリスビーで途中から仲間外れにされると、脳では脳は暴力を加えられた時と同じ反応をする-前帯状皮質背側部の活動が活発になる。

差別のない世界は人類の理想かもしれないが、それを実現するには、人間であることをやめなくてはいけない。

日本は同調的に振る舞う方が出世しやすく、アメリカは同調的に振る舞う方が出世しにくい。人間だからではなく、そういう社会に住んでいるからそうなる。

共感性

共感パーソナリティ≠メンタライジング
共感パーソナリティ→相手の気持ちを感じる能力、情動的共感、熱い認知、眼窩・服内側前頭前皮質
メンタライジング→相手のこころを感じる能力、認知的共感、冷たい認知、前頭前皮質の背側部

メンタライジングの欠如→マインドブラインドネス。自閉症

共感性が強い→自分の仲間にだけ有利なように考える→戦争の原因にもなる。
共感性が低い→むしろ博愛主義

堅実性

依存症のグループはアイオワギャンブリング課題の成績がわるい。衝動コントロール障害

ファスト回路とスロー回路
ファスト回路→今、ここで
スロー回路→いつか、あそこで

明日どうなるかわからない変化の激しい環境ではいちど決めたことをずっとやり続ける高い堅実性は悲惨な結果を招くだけだ。(いわゆる現代のマシュマロ実験)

堅実性パーソナリティは遺伝よりも教育の影響を大きく受ける。

意志力は筋肉と同じように消耗する。
クッキーとラディッシュの実験、ウミガメの実験、シロクマの実験
自我が消耗していると、悲しい映画はより悲しみ、楽しい場面ではより楽しみ、ホラー映画ではより恐怖すし、氷水にはより苦痛を感じる。そして欲望もより強く感じた。

困惑するような研究が出てきた。意志のちからで欲望を抑えようとすると、勉強や練習の成果が落ちてしまうという。

貧困家庭に育った若者が高い自己コントロール力を使って成功したとしても、さまざまな病気を発症し老化が早まるという研究→努力は寿命を縮める
Gregory E. Miller et al. (2015) Self-control forecasts better psychosocial outcomes but faster epigenetic aging in low-SES youth, PNAS

経験への開放性


経験への開放性が高い→宮沢賢治
経験への開放性が低い→行政文書や裁判の判決

言語運用能力が低いと世界が恐怖
公正世界信念 世界は公正であって欲しい。その方が予測可能であるから。

保守とリベラルというステレオタイプだけではない。

一般に内向的で神経症傾向が強く、経験への開放性が低いと混乱や無秩序を恐れて、そこに低い言語運用能力と極端に高い論理、数学的能力が加わると自分が安心して暮らせるような社会を改造するというSF的ビジョンに魅せられるのではないだろうか。

躁状態や適度な思考の逸脱(スキゾ)は芸術のような創造的行為やイノベイションを加速し、結果として女性たちを惹きつけて多くの子孫を残すようになる。だったらなぜ、すべてのひとが芸術家にならないのか。それは、高い経験への開放性には相応のコストがともなうからだ。

経験への開放性がきわめて高い芸術家は、成功する可能性が高いと同時に、精神疾患の発症リスクも抱えている。だが精神疾患を発症したからといって、才能がなければ傑出した芸術家になることはできないだろう。

経験への開放性が似ている人は惹かれ合う。

女性は思春期の間、冒険的になる。
アメリカ人は躁うつのハイパーサイミックの割合が極めて多い。これはアメリカ社会に親和性がある。
日本ではメランコリー型うつ病に罹患しやすい。日本人は世界で最も自己家畜化さ
れた民族。

よりよく生きるためには

パーソナリティの遺伝率は平均すれば50%程度とされている。
知能については年齢とともに遺伝率が上がり、思春期を過ぎると70%程度になる。
音楽やスポーツの能力の遺伝率は80%

生育に重要な要素は遺伝と家の外の環境。

自尊心が高くなると成績が悪くなる。
低過ぎてもだめ、高過ぎてもだめ。

潜在連合課題(IAT)

現代、成功するパーソナリティとして要求されているのは

「高い知能」「高い堅実生」「低い神経症傾向(精神安定性)」


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