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僕らが作った作品 その3 月例展示会編 by プロジェクションマッピング

始めに

こんちにはSUKEです。
初めて見ていただいた方もいると思うので簡単に自己紹介をさせていただきます。
私は現在、東京のとある大学の芸術系学部で映像表現やコンテンツ企画を学んでいる大学4年生です。
映像について学ぶ傍ら、大学内で「Mapper」というメディアアートサークルを立ち上げ、現在代表として作品制作や指揮を行うとともに、サークルのメンバーや後輩、大学外のメディアアートに興味のある・作ってみたいと思っている人に向けて制作フローや技術を伝える目的でnoteを書いています。

今回もメディアアートサークル「Mapper」の活動で制作、展示した作品の紹介をしていきます!

作ったもの

画像1

『RGB』
使用機材:プロジェクター、ボックス(木製)
使用ソフト:MadMapper(プロジェクションマッピングソフト)、Adobe AfterEffects

概要

これは私が代表を務めているメディアアートサークルMapperの第三回展示会にて展示した作品です。
制作・展示したのは2020年の12月なのですが、実は前回の記事でも紹介した『動くモナ・リザ』の展示終了後スグに制作・展示した作品で、製作期間は1週間ほどという短期スケジュールで制作しました…

形態としては、一辺60cmほどの木製ボックスを粘土で後ろを支えることで写真の様に浮かせ、左右と上面の三面に映像を投影しています。

本作品は今まで制作したノートや絵画とは違う立体物への投影ということから、自分やMapperとして「立体物へのマッピング」というチャレンジを行った作品です。

制作の流れ

概要にも書いた様に、この作品は前作『動くモナ・リザ』の展示中に企画、制作したもので、前作の展示が終了してすぐに展示を開始するという短期間で進めていきました。
その中で同じく概要にもあるように、立体への投影をやってみたいということから企画を進めて行きました。

最初に
今回の作品では主に「とりあえず立体物に投影してみてノウハウを得る」というところからスタートしているため、作品としては立体に投影することに意味のある映像を投影するだけとなりました。

映像制作
投影用の映像制作は前作の展示と平行して行いました。
自分を含めメンバーは3人だったことから、3つに分けられるテーマで制作することになり、最終的に「RGB」それぞれの色をテーマにAfter Effectsで映像を制作していきました。

名称未設定4

自分の担当は青だったため、水や海を題材にした映像を制作
立体に投影する利点は奥行きを出せることだと考え、海の中を漂う映像で奥行きを感じられるような形にすることで、箱の世界の中に空間が広がっている様に見える映像作りをしていきました。

全体のシステム

今回の『RGB』のシステムは前作ほど複雑ではなく、制作した映像をマッピングソフトであるMadMapperに取り込んでマッピングし投影するだけの簡単なものです。

大変だったこと

システムの説明からも分かる様に、投影自体は簡単なためそこまで難しいことは無いかのように思われましたが、いざ設営すると以下のような課題が出てきました。

・箱をどの様に支えるのか
・映像の投影位置をどうするのか

「箱をどの様に支えるのか」
概要にも記載した通り、投影対象の箱は木製のものを使用していますが、当初は発泡スチロールを想定していました。
しかし、調べていただくと分かると思いますが、一辺60cmの発泡スチロールともなると結構な値段になります…
サークルという立場上、大学から予算が出るわけでもなく完全実費で行う以上は出費を抑えたいため、さらに安い素材を探すこととなりました。
その中で実は大学内にちょうどいいサイズの木製の箱があることが分かり、許可をいただくことでそれを展示に使用出来ることとなりましたが、そこで重量増に伴う「箱をどの様に支えるのか」という問題が発生しました。

トップの写真を見ていただくと分かりますが、今回の作品は映像を箱上面と左右の合計三面に投影します。
そのため箱の後ろ側の高さを上げる必要があり、その上げ方が問題だったのです。
箱のようなものをかませて支えれば良いのかもしれませんが、鑑賞者側からはこの後ろになにか見えてしまうのは避けたいため「細くも木箱の重さを支えられるもの」という特殊な支えが必要な状態となりました。

そこで使用したのが粘土です。
100円ショップなどでも売っている通常の粘土を細長くして箱の後ろにかませ少し大変ですが乾くまで保持することでハンドメイドの支え台を作成し解決に至りました。

映像の投影位置をどうするのか
箱を安定して支えることができ、いざ投影しようとするとまた別の問題が出てきました。
それが映像の投影位置問題です。

今回の作品の場合、下の図の様に上面のみかなり鋭角に投影する形となります。(分かりにくいかもしれないですが…)

スライド1

これは実際に投影してから判明したのですが、鋭角に投影すると奥側の画質が極端に低下するという現象が発生します。
そのため作品を鑑賞すると何故か上面の奥側だけ画質が荒いという状態になってしまいました。

この状態を解決する方法としては投影面の角度をより大きくするしかないため、以下のような解決策が考えられます。
①箱の支えの高さを上げて投影面の角度をより大きくする
②プロジェクターの高さを上げて投影面の角度をより大きくする

しかし①は支えの高さを高く出来ないことと、左右の面が見にくくなってしまうことから断念しました。
そして②はプロジェクターの高さを上げることで鑑賞者の司会にプロジェクターが入ってしまうため出来ません。

この様に今回の展示設計では解決出来ないことが分かり、①と②それぞれの解決策を取りながら鑑賞体験に影響が出ないギリギリを攻める形で展示にこぎつけました。

最後に

今回は実際に制作、展示した作品三点目である『RGB』について紹介してきました。
前回のような参加できる作品ではなく、見る作品になっていますが立体物への投影という前作とはまた異なる形での新しい領域へのチャレンジでした。

そのため今まであったソフトの仕様といった問題ではなく、投影の仕方や投影対象の置き方といった物理的な問題に当たるという、いまだかつて無い課題に挑戦した作品でもあります。

メディアアートやプロジェクションマッピングというとパソコンやプログラミング等のテクノロジーを使うことから、洗練されたアートに見えるかもしれません。
しかし箱の支えに粘土を使ったように、実は超アナログな部分もあったりするのが魅力でもあり新しく挑戦する人からみるとギャップかもしれません。

逆を返せばアイデア次第でなんとでもなる部分があるということなので、興味のある人が是非メディアアートに挑戦して見てください!

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