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voice_watanabe
夏の散文
暑くなる前に海に行って浜辺を走ったりすること
自転車でそよ風を感じながら思い出したりすること
街の、さらに遠くから花火の音が聞こえてくること
毛布をしまって、着れなくなった服を捨てたりすること
綺麗な月を見て叫びたくなってしまうこと
自分は一人だったことを思い出すこと
宛もなく手紙を綴ること
冷やし中華を食べても茹(うだ)ってしまうこと
暮れない夕に生活もなおざりにすること
にわか雨に濡れて笑ってしまうこと
蚊を叩いてしまうこと
冬が遠く感じること
アイスが溶けてぼたぼたと垂れていくこと
影が長く伸びていくこと
ピリピリと焼けた肌を撫でてあげること
寄せ合うこともできないあなた息づくと願うこと
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