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スペース☆悪役令嬢

「ビュラム星王女ゼータロシア! 貴様との婚約を破棄する!」
「まあ殿下。わたくしにご不満でも?」
「ふざけるな!たかが辺境星の王女の分際で、この銀河の中心星での傍若無人な振る舞い! そして貴様は我が最愛のプテリアを傷つけた!」

人型種族ヒューマノイドもそうでない者も煌びやかな夜会の参加者達にざわめきが広がる。

「確かにこのアルディカは文明発生地点ですが、保養地以外の価値はありませんわよ?」
「何を言うか! 田舎惑星の女は悪あがきが得意だな!」
「殿下のお隣の方、ここで仕掛けるおつもり?」

「わ、私はただゼータロシアさんに嫌がらせの謝罪をしてほしいだけです!」 
「大丈夫だよ。プテリア」

三連銀河帝国の皇子は愛しい恋人の肩を抱いて微笑みかける。
「人類発祥の星である我が領土で身勝手をした罪を償ってもらうだけだ。千年の冷凍睡眠がお前には妥当だ!」
「気づいてらっしゃらないのですか?殿下」  

婚約者に唾棄され、悪意の視線に包囲されているのに令嬢は事態を面白がっているようであった。
「この惑星の物ではありませんわよ。その方」

皇子にべったりと張り付いていた少女の体が、暗紫色の粘液に変容する!「うわあああ‼」
「やはり擬態人類ミミサピエン!」

粘液は触手に変化して皇子を絡め取り、他の招待客を次々と取り込んでいく。この宙域で一番豪奢なホールに悲鳴が響き渡る。

「スピネ」

「はい」

「ラデラ」

「はっ」

いつの間にかゼータロシアの後ろに二人のメイドが控えていた。

「今日は特別に太陽系内惑星の力を使うことを許可します」

令嬢は両の耳に輝いていた耳飾りを外す。

左右で色違いの宝玉。左耳は金色が渦を巻き、右耳は紅く光を放っている。


「早くしないと、この空間そのものが無くなってしまいますわ」

「拝領いたします。お嬢様」

「どうしてもわたくしを悪役令嬢にしたいのね。銀河創主は」

令嬢は不敵に笑う。

その左目は青と緑に輝く惑星。

地球そのものだった。


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