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男女の友情バトン



男女の中で友情は成り立つか否か。
この度バトンを受けて遠い記憶を紐解き語らせて頂きます。


若い頃。
本当にピッチピッチの若かった頃、気の合う奴と良く『男と女の友情は在るか無しか。』について話しをした。
男や女が如何なる生き物なのかさえまともに知らない少年・少女だった私達。
今、考えると
『な〜〜んて!知ったかぶりの会話⁈』
と、思えるが・・・・。
当時は真面目な討論であった。

討論と言う通り、二人の考え方は真逆だった。

私は成立する。
彼は成立しない。

そして行き着く先は、いつも『情』だった。
『情』とは、心のありようである。

彼が言うには情が厚くなると異性に対しては愛情に変わって行くと言うのだ。
初めは薄い物だが情は一枚・一枚と積み重なり、やがてパイ生地のような層を作りる。
その層は絆へと姿を変え気付けば愛情になるのだと。

初めて聞いた時、なんて詩的な表現をする男なんだと思った私。

彼は18ながら読書量が非常に多く、国語の教師を目指していた。
私と言えば、まともに読んだ本は松山千春の『足寄より』ぐらいで現国は大の苦手教科だった。

だか、私は腑に落ちなかった。
愛情は恋愛だけなのかと。
家族愛だって愛情ではないか!

そうすると彼は静かに返して来る。

違うんだ。
向き合った相手が唯一無二の存在になってしまうんだよ。

なんて純な奴なんだ。
その日は、私の完敗だった。

当時、私は男友達がたくさんいた。
性別抜きで話し・遊んだ友人達が。
私の母などは、
『お前には男友達が多すぎる。』
『まったく、女らしさのカケラもないのよ。』
『きっと。』

いやいや。
ちょっと、まて〜〜〜ぇ!
何たる屈辱‼️

いや、そうではなくてぇ。
男女の友情は成り立たないと言われると
私と男友達との友情を否定されているようで納得がいかなかった。
彼らの中には彼女がいた者も居たし、恋愛相談に乗った事もしばしばあったからだ。

ある夏の日曜日、図書館帰りの彼にバイト上がりの私は散歩に誘われた。
商店街から川の土手まで歩いた。
最中の会話と言えば男女の友情のこと。

その日の彼は中島みゆきの『友情』を例えに
『背中に隠したナイフの意味を』
『問わないことが友情だろうか』
それが友情なら、この世は怖いと言い出した。

それがまさに友情だよ。
私は答えた。

彼は、何故それが友情かと問い返して来る。

友情は、どこか一歩引いたところに関係が成り立っている。
全てをひっくるめて友達を好きだとは言えない。
好きな所もあれば、嫌いな所もある。
嫌いな所は、あえてホジクリ返そうとはしない。
もっと言うなら、知っている事もあるが知らない事の方が多い。
でも恋愛対象者に対しては、そうはいかない筈だ。
きのうは、何をしていた?

誰と会っていたの?
凄い奴なら毎日会いたいだろうし、挙げ句の果てには一生一緒に居たいと言うでしょ。

そんな事を話したと思う。

その日は、私の圧勝だった。
だが、その日にはちょっと続きがある。

少し歩き疲れた二人は川岸の大きな木の下に腰を下ろした。
そよそよと風が吹き日陰ということもあり二人してクローバーの上に寝転んでみた。
まるで青春映画そのもののように。

朝からバイトで立ちっぱなしの私は微睡んで行く自分を止められずに居た。

喉が乾いたので飲み物でも買ってくると、その場を立ち去る彼の声を聞いたのは覚えているが…。
ハッと気付けば、横で彼は本を読んでいた。
片岡義夫だっただろうか。
赤と白の表紙が印象に残っている。

生温かくなった缶コーヒーを差し出しながら
『あんなに大胆に寝られると』
『襲うにも襲えないなぁ。』
『俺で良かったね。』
と、言われた。

はははははぁ
やはり私は女では無く人間だ。
と、言うよりも
彼のことを友人としてしか見ていなかった。
正直な私の当時の気持ちだ。

そんな彼と数ヶ月後、恋人同士になるが昭和が終わるその日に別れることとなった。

結婚や恋人を失ったことよりも、友人を失ったことの方がショックは大きかった。
それは今でも変わらない。

『友情を愛情と勘違いしていた。』
よく言われる言葉だ。
確かに紙一重の『情』だと思う。

結婚生活に置いても、個人差はあるだろうが夫婦は友人関係に近い存在になって行くような気がする。
キスやセックスとは無関係の世界に。

互いの楽しみが違うときもあるだろうし、一人で過ごしたいときもある。
我が家は、これが強い夫婦だ。

決して仲が悪い訳ではない。
家庭内別居でもない。
喧嘩はするが意見交換みたいなものだ。
今日とて県境まで二人でドライブをし、買い物をし、中華を食べて最後のお正月休みを満喫して帰って来た。

でも、『この関係が恋愛か?』と聞かれると
『違う』と、私は答えるだろう。
互いに慈しみ大切な存在では在るが、恋愛とは違う情だと思う。

いやいや、ちょっと待て!
ここまで書いていて男女の身体や感情の違いも影響するのやも・・・。
と、思えて来た。

そもそも、男性はロマンチストで女性は現実的な感情を持ち、性的欲望を長く年配まで持ち続けるのは男性の方なのだ。

この点を考えると
男性は『男女の友情は、あり得ない。』と答え。
女性は『男女の友情は、成り立つ。』と答える。
これが多いのではないかと推測される。
これは私の個人的意見なのだか…。
いかがなものだろうか?
異論の在る方、挙手をお願い致します。(_ _)

と、夢見月さんから頂きましたバトン。
どなたかお受け取り頂きたく、お願い申し上げます。


素乾 品

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