IOCとNPT

泉に合掌

朝の7時半。

眼下を眺めていて、ちょびっと背筋が寒くなる思いがした。
なんとなんと、往来にはひとっこひとり歩いていないのだ。
バス停にも人の影はなく、呆然と見下ろしていた5分ほどの間、だれもやって来る気配もなかった。

何十年と見慣れた街並みだが、こんなことはかつてなかった。たぶん初めての経験だろう。

もちろんコロナウイルスによる自粛の影響なのだが、生活の景色が日に日に変貌している。

個人的には、楽しみにしていた東京でのイベントが延期となった。
それに合わせて計画していた親孝行旅行も流れた。

それと前後して入院することになった親父の見舞いが数日前に制限されて、毎日のように通っていた病室に顔を出せなくなった。

世間では大型小規模、あらゆるイベントが中止になっているが、とうとうオリンピックの延期・中止が取りざたされるようになった。

関係者には申し訳ないが、オリンピックは中止になっても落胆はない。経済的なダメージは気にならないこともないが、利権に群がっている連中にはいいお灸だとさえ思う。

「福島の放射能はアンダーコントロールだ」と、世界に嘘を吐いてまで誘致に躍起になっていた政権のトップが、その煽りをくって沈没でもしてくれれば望外の喜びだ。

しかし、同じ世界規模のイベントでも、NPT再検討会議まで延期となりそうだと知って、いよいよ事態の深刻さを思い知らされた気がする。
オリンピックが4年に一度の開催のお祭りなら、NTPは5年に一度しか開催されない重要会議なのだ。

「NPTは3月5日で発効から50年を迎え、今年は広島・長崎への原爆投下から75年の節目でもある。米露中などの軍事力増強で核軍縮の機運が低下する中、今年の再検討会議は「核兵器なき世界」の重要性を再確認する場になることが期待されていた。」

このところその実効性に疑問がもたれるようにもなっている同会議。今回は正念場を迎えてもいるのだろう。

それが延期となったときに、その影響が悪い方にでないようにと祈る。


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