シロとボール

ワンにもワシにもマイブーム

犬にもマイブームというものがある。
シロでいうなら、それはボール遊びだろう。

本人というか本犬は否定するかもしれないが、そのブームぶりは尋常ではない。
初めてシロを見たのは2006年の夏頃だったか、おせっかいなおばさんが飼えなくなったシロを僕に押し付けようとの魂胆とともにドリームフィールドに連れてきたのだ。

まだ生後数か月の子犬だったが、やたらに足が速くて走ることが好きだった。
グラウンドの駐車場からセンター方面にボールを思いっきり投げてやると脱兎のごとく走り追って、それを咥えてもどると狂喜してカミカミしている。

なだめすかして口からボールを外してまた投げると、また脱兎のごとく…。
それを飽きもせずに、いつまでも繰り返すのだった。

別に教えもしないのに、シロは「キャッチボール」の仕方を知っていたのだ。
その異様なボール好き、キャッチボール好きを目にしていると、こいつは誰か野球選手の生まれ変わりではないのか、そんなことを思ったものだった。

というのも、すでにご存知の賢兄諸氏もおられると思うが、その野球場「ドリームフィールド」を作ることになったとき、ストーリーとしては完成の暁に、かつて野球界で活躍されたレジェンドたちの魂が甦って、ここで野球を楽しむことになっていた。

日々作業をしながら、そんなストーリーを思い描いていたせいか、たしかにドリームフィールドにはそんな魂がやって来ている気配を感じたものだった。

2006年。それはドリームフィールドの最後の年だった。
とすれば、あの野球場にやって来ていた全ての魂たちがシロに化身して現れた。そう思えなくもないのだ。

シロのボール好きは、もちろん今でも変わらない。
今朝も今朝とて散歩の道をそれて、ある駐車場の草を食みながら奥に行くと、大好物のテニスボールが転がっていて、それに即座に反応したシロは、やにわにそれを咥えると、とっとと散歩を切り上げて帰って来てしまった。

そして今ご機嫌で、そのボールをカミカミして悦に入っている。

ということで、またシロにかこつけてのご案内。

かつてのマイブームだったドリームフィールド。
あれから四半世紀という区切りに、あらためてあの野球場のことを語ろうと思います。

首都圏にお住まいの方。
たまたまそのとき東京におるでという方。
もしご興味があれば…

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