抽選券配布で誰が何をゲットしたのか?

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、カープが強行した公式チケット販売抽選券の配布現場に行ってみた。

配布の開始時間は午前9時から。そこで1時間ほど余裕をみて芸備線で広島駅へと向かった。

1芸備線から

列車がズムスタを通過したのは8時前。ちょうど退場口に当たるレフト側ゲートを望めたが、混乱の気配もなく、まさかこの時点でもうこっそり抽選券の配布がはじまったいたとは…。

「約束がちがうぜ。カープ球団!」(笑)

とはいえ、もともと私は抽選券目当てではなし。ほぼ野次馬なので文句をいえた義理はないのだが。

広島駅をでてみると、ゲームがある日のそれと同じ光景。羊の群のごとくズムスタへと向かう人びとの列が道路に沿って伸びていたのだった。
その列密度は、まさにゲームのある日と同程度で、ここ数時間で何万人かに達するだろうことは容易に想像できた。

それでも前年のようなカオスに至りそうな兆しはない。カープ球団が要請した「2メートルの間隔は離れて」もキープできるほどだった。

別に期待していたわけではないが、予想していた混乱はまったくない。前年には修羅場と化したスロープから愛宕踏切までの間も整然とした人の流れがあるだけだった。

3.無人のスロープ

スロープ入口はバリケードでシャットアウトされていて、ひとっこひとりいないのがかえって不気味なくらいだった。

正面に回ってみると、すでに正面玄関は開門されていて、人びとはスロープ下へと続々と流れ込んでいる。

5.正面からの入場2

もともと抽選券をもらう予定はないから、玄関前から様子を眺めていた。
そのうち入口でスタッフの男性が拡声器で、こんなアナウンスをはじめた。

「二度目の入場はできません、ご注意ください」

二度目って、一度目もはじまらない前から二度目も何もないだろう。配布開始は9時のはず。

いったいどうなっているのか、と敷地を覗き込むと、奥に架かって見えるスロープ上部を移動する一団が目に入った。
これはあとで知ったのだが、開門は7時半に前倒しになっていて、抽選券の配布もすでに行われていたのだった。

そんなことは知らないから、事態が飲みこめないままゲートを入って列についていった。抽選券の配布現場がどうなっているのか、この目で見たくなったのだ。

スロープ下の階段から上部に出た。この入場ゲートをくぐってコンコースへと出るのだが、ここで左手甲にスタンプを押して、複数回の入場ができないようにチェックすることになっている。

7.スタンプ

いったいどんなスタンプが押されるのか?
鯉のマークか、それともカープのことだから新グッズの宣伝か、楽しみにしていたのだが、果たしてスタンプの痕はどこにも残っていないではないか。

怪訝に思いながらつぎのゲートに行くと、また左手甲を出せという。いよいよスタンプね、そう期待して出したが、何やら液体でこすっただけ。
どう見ても、どこを見てもスタンプ痕はなし。

8.スタンプないぞ

「これじゃ、二度も三度も入れそうではないか」

暇があったら試してみるか。
そんなことを思いながらコンコースを進む。

列の密度は相変わらずそれほど高くなく、先を争って抽選券を求めるという緊迫感はなく、物見遊山の気分だ。

9.コンコース

陽気もよし。目の前にはゲームのない、うるさい応援もない静かなグラウンドが広がっている…。

10.ゲームのないズムスタ

ついついカメラにおさめてしまうのは「球場巡礼」のくせ。あちこち撮影しながら進んでいるうちに、いつの間にか目の前にゲートが迫ってきて、そこが抽選券の配布場所らしい。

それを手渡される様子を撮影しているうちに、いつか自分もゲートに入ってしまい、差し出された抽選券をついつい受け取ってしまったのだった。(笑)

12抽選券ゲット

まあ誰か欲しいやつに譲ってやるか、そう思いながら券を見れば冗談みたいなキリ番。
5万枚配ってたったの1200枚につき、まあ当選する心配はないだろうが、この番号がすでに「大当たり」。
せっかく愚かしいセレモニーに参加したのだ。記念にお守りがわりにすることにした。(笑)

結局、たいした混乱もなく、きょう1日で抽選券は5万枚近く配布できたという。(配布した枚数は、きょねんとほとんど変わらない。日曜日に長時間やってこの数字ということは、前回で懲りた者、またウイルスで敬遠した者がかなりいたのかもしれない)

とはいえ、何万人が押し寄せた各ゲートで作業していたスタッフ。私が思わず抽選券をゲットしてしまったように、彼らが不覚にもコロナウイルスをゲットしてしまったかもしれないわけで、やはり今回の強行は褒められたものではないだろう。

てか、別にチケットが買えるわけでもないのに何万人もりファンをズムスタまで呼び出して右往左往させる、こんな愚行はこれっきりにしてもらいたいものだ。

注)ちなみに、退場の際に確認したところ、スタンプは透明なもので、特殊な光を当てると浮かび上がるのだそうです。



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