ちんたらシロ

トボトボは健気な歩み

今朝もまた団地ワンブロック回っただけで帰って来た。
シロの散歩はもはや「ウンチしにちょっとそこまで」という『所用』になってきた。

これではいかん、というので昨日の夕方はウォンツへの買い物に同行させてみた。
珍しいことなので、やはりシロは興奮して追いて来た。

興奮はしても、カラダはついてこないから、やっぱりトボトボ歩き。
とても買い物の足には追いつけないので、飼い主Aが先に行って帰りのどこかで合流するかということになった。

飼い主Aがさっさと行ってしまうと、シロは慌てて追いかけたが、トボトボ歩きでは追いつけるはずもない。
それでもシロは必死に歩く。その姿が健気で可愛いのだ。

人間も歳を食らうと動作がノロくなって、そのジジババの仕草はどんどん可愛くなってくるものだが、犬にもそれはいえるようだ。

健気に追いかけたシロだったが、路傍の匂いをちょっと嗅いだ隙に前方の飼い主Aを見失ってしまった。
するとパニクって、何を思ったか通りの向こうのバス停でバスを待つお姉さんを飼い主Aと勘違いしたらしく、道路を横切ろうと必死にリードを引っ張るのだ。

往来を仕事帰りの車がバンバン行き来している。
「轢かれてまうで!」

いくら制止しても、シロはマナジリを決して渡ろうとする。
向こうのお姉さんも気がついて、シロが勘違いしているとも知らず、じっと自分を見つめて駆け寄ろうとする犬に好感を持ったようで、ニコリと笑って見つめ返してきた。

リードで制止しながら「あれは飼い主Aではない」といい含めると、さすがにシロも気づいたようだ。
しかし今度は目の前のコンビニを出入りする客に狙いを定めたらしい。
飼い主Aはこのコンビニに入ったにちがいない、とシロなりに推測したようだ。
どうやら、いつも待たされる生協の店頭と同じ空気を感じたらしい。

シロはいきなりそこに伏せて、出入り口を行ったり来たりする人間を注視しはじめた。ここから飼い主Aは出てくるにちがいない、そう思ったのだろう。
なんとなく忠犬っぽくて、その健気な姿がまた可愛いのだ。

そのうち先に行ってウォンツの買い物を済ませた飼い主Aがもどって来た。シロは自分の推測が外れたことに恥る様子もなく、尻尾を振って飼い主Aに甘えた。
そして、今のシロには楽ではないだろう帰り道をトボトボと帰って来たのだった。

その夜、シロが爆睡していたのはいうまでもない。

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