秋のピクニック
青空、青空、青空。
天頂では白い太陽が輝き、光線はまんべんなく降り注いで光の世界を作っていた。整えられた芝生の隙間から生える雑草が元気に葉っぱを伸ばし、その下を蟻がせっせと白い粒を運んで行き来している。
空には白い雲。光に照らされて真っ白な雲が風に流され、ゆっくりとほどけながら進んでいた。
近くの川はとうとうと途切れることなく流れ、水面を鴨が何羽か群れをつくって、流されては戻り、流されては戻り、水浴びをしたりして遊んでいた。せせらぎの音が微かに聞こえて心地いい。
ふと、自分達の頭上が陰った。風が冷たく感じ、影のなかで肌が冷えるのがわかった。
雲が太陽の下をゆっくりと過ぎていく。ほどなくして雲が通りすぎると、また辺りには明るさが戻り、先ほどまでの寒さは光の暖かさに塗り替えられて消えていった。
静かな、穏やかな時間だ。
そのほんの半時、ささいな時間の緩やかな流れが、決定的に心に深く刺さり、その事すらわからないまま時間が過ぎていった。
2023.10.22
時間がたってから思い出して、涙。
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