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コンペ落選作品を無駄にしない為に。(その2)

実は最良の選択でないのがコンペ方式。
依頼者はどう依頼すべきか?

(2017年3月/2018年7月加筆)
例えばデザインを依頼する最良の相手先はどういう相手がベストでしょうか?

「自社の事を高く理解している人」こそ望ましいのではないでしょうか?

しかし、どこにも依頼先がなく、初めて外部のクリエイティブに案件依頼する場合、当たりをひく場合もあれば、外れもあります。仮に当たりの人で満足して3年後に改訂版をお願いしようとしたらネットの連絡先しか分からずいなくなっていたというケースだってあります。お金を出したのに実は相手がデザインの素人だったとか、デザイン自体には満足だが、事有る毎に追加請求をされて予算オーバーで困ったとか、これでは相互にデメリットが大きいです。

実際にコンペにて、いくつかのデザイン提案をされて、「あっちもこっちも良くて決められない」という声を耳にしています。デザインやマーケティングに造詣の深くない人が発注依頼した場合、「何を基準に採用決定」すれば良いかがわからないケースが見受けられます。

「目利きが出来ないと!」「もっとデザインの勉強してください!」と口で言うのは簡単でしょうが、それをノンプロの立場から高めて実践していくのは困難です。だから、アドバイザー業などが活躍出来るわけです。アドバイザーがいればより良い道を選べる訳です。

誤解の無いように説明しますがコンペ方式の「沢山のアイディアを集める事」自体は、良い方法です。

アイディアの底辺が大きい程より良い表現や販促戦略が思い付きます。クラウドを通して仕事する事の普及要因となった「ライティング」では、多くの日本語が書ける人が応募者になるため参加者母数自体が一気に増えています。英語でのライティングでグローバルに募集した場合は、日本語の壁もなくなり、さらなる大きな母数で集まります。人を集める事を目的にしているのなら良いのですが、依頼の目的は「良い記事」を得ることです。ライティング系でのコンペ方式となると「ネーミング」「キャッチコピー」の例があります。これを基に考えてみましょう。

オンライン公募で案を募ったとして、中にはプロレベルで戦略(つまり誰がターゲットで、競合と被らず、どういう言葉だとターゲットの脳裏に印象深く残るかを企画し、商標の調査まで手掛ける)から、ノンプロの思いつき投稿まで玉石混淆で集まってきます。これをどう選ぶか?

実際に上場企業の例でもまったく戦略もコンセプトもない「ただの思いつき」でつけられた名前もあります。「どういう意味なんだ?」と首をひねるような…。しかし可愛い自社の製品やサービスなのに、気まぐれのような名前で、世の中の人に愛されるでしょうか?また特徴を理解されるでしょうか?ならば、できるだけ多くのモニターの人に候補案に対しての意見を募るのも方法です。しかし、それに過度に影響され過ぎても、芯がなく他人の意見に媚びたような物になりかねません。何を想像して決めていくべきか?社長の顔なのか?マーケティング資料か?

米国の大手バイクブランドは、ネーミングする時に数百のアイディアを検討します。しかし、そこに「個人的な好み」とか、「語呂が良さげ」とか、「横文字だから」とか、そういう要因はありません。このゴツイバイクに乗る革ジャンを羽織ってサングラスをかけたライダー達が「許し、受け入れてくれる物」をひたすら探していくのです。テーマパークの名前なら、家族で訪れてみんなが笑顔になり、家族が「今日は●●に来てよかったな。楽しかったな」と心底幸せを味わってもらえそうな名前なのか?表装だけ格好つけた喋りにくい名前でないか?過度に説明じみていないか?こういったものは、センスの光るノンプロ応募者が、プロの緻密な企画を陵駕するシーンも稀にあります。感覚的に本質を掴んで何となく言葉に出来た場合です。しかし、ほとんどのノンプロ応募者にそれを期待するのは酷です。そこまで絞って狙っていない事が多いですから…。

ネームやフレーズは、「この言い回しが本当に我が社らしくてスキだ!」とみんなから愛されないようでは、意味をなさないのです。その上で「熱さまシート」でも「冷えピタ」でも人々が無理なく口をついて言葉が出てこなければ意味がないのです。その言葉を聞いて商品がパッと思い浮かばないと言葉が勝手に空回りするだけなのです。こういった事を軸に、我が社のお客さんは「これなら愛してくれるかも」と考えられるのなら良いのですが、そうでなく競合社のネーミングが「●●●」だから、「なんとなくそれに習って」とか、上がってきたアイディアでも好みの多数決だけで決めてしまったりとか、そもそもコンペを依頼して上がってきたものをしっかり決められる体制があるのか怪しい依頼者様も実際に認めます。

そういった場合、やはりそこには、アドバイザーがいた方が良いでしょう。とはいえ、アドバイザーも外部の人間なら会社のDNAまでは直に理解出来ていません。でも「〜らしい」「流行り廃りでなく、ウチの本質」と言うところに議論を引っ張っていく事は可能です。実はそのためのサービスを著者は運営しています。少し宣伝をお許しください。

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●営業での提案力が足りない。何かうまく説明できるツールが欲しい。

●マーケティングをもっと強化すべきだがわからない。

●コストを抑えて効果的な販促物がつくれないものか。

●頼んでいたデザイナーが退社して困っている。

●デザインができず、素人作りで信頼が得られない。

●印刷会社でデザイン力の強化ができない。
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ネーミングでもマークでも、とにかく発注する前に、決める基準がなければ、発注したものの決定が難しいという事になりかねません。

会社のスローガンや、マークなら「ヴィジョン」「会社の在り方」になりますし、webでも紙でも広告なら、「目標」(=コスト パー オーダー などから割り出した売り上げ目標や、リピートへの引き上げ、囲い込みできる獲得した見込み客データへのアクセス等)が、軸、背骨になります。これが選定基準になっていないと、そもそも失敗です。

スローガン、マークは「ヴィジョン」に照らし合わせるとして、広告のコンペの場合、売り上げが取れるかなんて誰にもわかりません。チラシを打っても雨の日のアイスクリームフェアでは駄目です。そこには戦略が必要なのです。「どのメッセージが伝わるのか」「どういう印象を与えているのか」「問い合わせまでがスムーズにできるのか?」「信頼できる説明なのか?」「読者の感情が動く表現になっているのか?」最終的には、買う人の気持ちになって判断していくしかないです。自分では難しいなら、身近な人に頼む事になります。

その基準に沿った提案をコンペで求めるならば、やはり提供できる資料をしっかりと準備しないといけません。簡素な依頼文、例えば「ロゴはアルファベットで誠実で信頼感ある感じで、ブルー基調で」程度で、質の良い提案が集まるなら運が良いです。ほとんどは、表層だけをなぞったデザインになる可能性があります。

企業の骨まで染み入るような作り込みを求めるならば、長文過ぎる資料でも構いません。多過ぎる資料でも構いません。ただ、一つ注意してほしいのは、発注者さんが、資料の多さに溺れて迷子にならない事です。マークやスローガンなら「ヴィジョン」、広告なら「買う人の心理」です。単なる文書の資料だけでなくても良いです。クラウド時代なのだから、社長や担当の熱い想いを動画で語るのも大事です。クリエイティブの半分はデータですが、半分はエモーショナル(感情)から起こっていきます。

最後に、個人的にどういった企業スローガンが良いかという、完全に著者の見解、考えでの意見になりますが、例をあげておきたいと思います。

一つは、教科書通りでは、ありますが、apple社の「Think different」。とても有名です。これの説明は、もう不要でしょう。apple社の凋落から再興、隆盛と見てこられた方なら、このスローガンと、この企業の提供した製品、そして人々の支持、しっかりと結びついて前進していることが見て取れます。

もう一つは、マニアックかも知れませんが、個人的には、タワーレコードジャパンで箭内道彦さんと木村透さんのスローガン「NO MUSIC, NO LIFE.」をあげます。

英語ネイティブからすれば、少々ネガティブなのかも知れませんが、強さを求めた強烈なコピーです。日本の音楽シーンや文化に関わっている、支えているという思想を感じます。タワーミュージック社は各店舗からのボトムアップ形式の自由な社風で、細かいブランドのハウスルールにとらわれずに作れた要因もあるのですが、自由なままに撮影したポスターが、本当に「生きていく側に音楽がある」と人々に伝えていると思えます。

そして、旧来のCD販売やプロ契約ミュージシャンというシステムから、ネット配信やインディーズという新しい形態まで入り乱れる音楽業界で、それに携わる社員たちは音楽を通して君たちに何かをしたいんだ!!」という事が伝わってきます。そのメッセージは、消費者ターゲットだけでなく、リクルート向け、株主向け全方位に影響を与えていくものです。少々トンガッったメッセージで、堅苦しい社風の会社では無理かも知れませんが、「君たちに●●したいんだ!!」と言えているかは、コンペ作品を見る上でも、そのメッセージが乗っているか判断基準になります。その上でデザインセンスや、トーンやという部分をチェックしていかないといけません。「なんでもOK、みんなの、あるいは社長のお好みで」なんてのは失敗します。

そうなると、クリエイティブも1回の説明からの提案で伝わっていないかも知れません。何度も伝え、中身内容を磨いてもらい「骨のある」物が出てくるまで頑張らないと良いものは手にできません。

コンペ形式は、その辺の説明とチェックフローが非常に甘いのですが、そこをサポートしていく必要もありますが、私に限らず、ベテランのディレクターなら、しっかりとしたプレゼン企画を提案できると思いますので、提案された「企画、マーケティング、狙い」をしっかりと検討する事が大事でしょう。人は見た目に左右されがちですから気をつけてください。

ちょうど今(2018年7月)渋谷109のロゴコンペの投票がありますので、考えられてはいかがでしょうか?

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(引用)SIBUYA 109ロゴコンテスト

そして、公開コンペでは難しいかも知れませんが、業者と密にコミュニケーションを事前に取り、どれくらい自社のメッセージを理解し、形にできるのか?を見極めなければいけません。クラウドなどは、個別メッセージもできますので、顧客との連絡を嫌がるクリエイターは問題児ですから、気兼ねなく、連絡をすべきでしょう。

つづきを読む(来週以降にお待ちください)→ 3.これからの時代を見据えたクリエイターのコンペへの臨み方

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