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滞在許可発行の確認書?

 スイスへの90日以上の留学では、入国時にこの書類が必要になるので大学を通じて入手せよ、ということが在日本スイス大使館のHPに書かれています。自分のケースでは、結局この書類なしで入国することになりました。

入国までの準備

 以下はスイス外務省および大使館からの引用で、滞在許可に関するおそらく最もオフィシャルな情報です。

90日を超える滞在
スイス・日本間で締結された条約により、日本国籍の方は、スイス入国の査証は必要ありません。
(中略)
ただし、スイス入国前に、将来の居住地を管轄するカントン当局に「滞在許可発行確認書」を直接申請しなければなりません。
(中略)
スイスへの留学:
留学にあたり、スイスの大学が管轄するカントン当局に滞在許可の取得手続きをする事になります。当大使館は、この手続きに関与いたしません。

https://www.eda.admin.ch/countries/japan/ja/home/visa/entry-ch/more-90-days/do-i-need-a-national-visa.html

これを読む限り、大学が手続きしてくれるか、少なくとも問い合わせたらどうすれば良いかは教えてくれるはずです。実際、ネット上で見つけたほぼすべてのスイス留学記録で、大学から(入学手続きとは別に)必要書類を送ってくるよう指示があったなど、該当する手続きを行なっている様子でした。なので、特に問題なく済むものだと思っていました。
 自分が関連の手続きを始めたのは、予算の目処が経ち滞在期間が確定した2022年1月でした。Visiting Doctoral Studentとしての登録に必要な書類を提出し、同月末には入学許可証をゲットしました。なお、EPFL側のデッドラインは、ビザ不要の国からの場合は2ヶ月前までです。 
 続けて、上記の手続きの窓口となっていた大学のオフィスに、確約書の取得について大使館のリンク付きで問い合わせます。ところが反応が良くなく、何度かやりとりした結果、「日本人なので確かにVISAはいらないが、滞在許可自体の申請を入国後ではなく事前に行うこともできる。」といった返事が返ってきました。具体的な指示が与えられるものとばかり思っていたので、拍子抜けでした。滞在許可自体の申請となると、話が違うように思えます。カントンのウェブサイトを調べてみても、滞在許可本体の話は書いてあるものの、確約書のような文言は見当たりません。
 その後も大使館に問い合わせたり(冒頭と同じ情報を得たのみ)、研究室の秘書の方に問い合わせたりしましたが、結局はっきりした情報がないままでした。滞在許可自体の発行手続きを国際郵便で行い、書類をゲットしたという強者もネット上では見かけましたが、そんな時間的余裕は既にありません。というかそうなるとVISA取得以上の労力が必要になるので、何のためのVISA免除なのかと思います。そもそも、到着後に滞在許可を申請するのはカントンではなくコミューンのはずですし…と謎が深まります。また、ローザンヌ(コミューン)では滞在許可の事前電子受付が1ヶ月前から可能で、そこで情報を得ることもできたと思うのですが、自分の場合、滞在するコミューンであるSaint-SulpiceのHPにはそのようなサービスはなく、ただ到着後に申請に来るよう書いてあるだけでした。ただ、ローザンヌ市のサイトには気になる情報が書いてあり、”Andorre, Brunei, Japon, Malaisie, ..."から来る人は«Demande d’autorisation de séjour temporaire pour études dans le canton de Vaud»と関連書類を添付せよとのことでした。でもこれも結局滞在許可本体の申請書類では?となります。
 もう一つ、ヴォー州のサイトに気になる情報がありました。EUからの入国者向けの情報で、同じくVISAは必要ないのですが、"foreign persons who are not subject to the visa requirement to enter Switzerland can apply, before entering Switzerland, for residence permit insurance that may be useful in particular to simplify border crossing procedures." (仏語をSafari 翻訳)との記述がありました。これはまさしく上記の確約書のことを言っているように思えます。これを読む限り、該当書類は無くても問題ないが、有ると入国手続きがスムーズになるみたいです。ただあくまでEUの人の移動の自由化に関連した記述なので、日本の場合に当てはまるのかは不明です。ひょっとするとVISA不要の国はこれと同じ扱いなのかもしれないですが、正確な情報はわかりません。
 結局どうしたかというと、カントンや滞在するコミューンのウェブサイトの情報をもとに、滞在許可本体の申請に必要な書類を全て揃えて(どのみち必要です)、入管で何か言われたらこれと入学許可証、さらには大学に問い合わせたメールの返事を印刷したものなどを用意して、がんばって説明することにしました。

日本出国〜スイス入国

 大学関係の書類一式と、滞在先の予約完了メールを印刷したもの、滞在許可申請に必要な書類を一通り、さらに銀行口座の残高証明など、持ちうる全てのそれらしき書類を持ち込み手荷物に忍ばせ空港へと向かいます。成田でチェックインする際、案の定VISAの所持や確約書の所持を聞かれます。ここで拒否されてはたまったもんじゃないので、しっかり説明し、無事にチェックイン・出国しました。
 チューリッヒ到着後、いよいよ入管へと進みます。入管では、滞在目的、ワクチン証明(まだギリギリ必要でした)、滞在期間の後にVISAの所持を聞かれました。いらないはずと答えると、大学からのレターを見せるよう言われ、入学許可証とインビテーションレターを提示します。それらの書類を確認して、無事に入国スタンプを押してもらえました。

滞在許可の申請〜受け取り

 滞在先に到着した翌日にコミューンの役所に行き、滞在許可の申請を行います。特に何事もなく受理されました。戸籍謄本のアポスティーユなどは付けていなかったのですが、日本語の書類のまま受理されました。何か言われたらジュネーブの総領事館まで行って作ってもらう予定でしたが。パーミットそのものの受け取りには時間がかかるのですが、その間に銀行口座を開設するため、滞在許可を申請したという証明書を15フラン払って作ってもらいます。これが件の確約書のことなのでしょうか。でもフォーマットはコミューン独自のものなので、やはり「カントン当局に申請する」という大使館の情報とは合わない気がします。

証明書はその場ではもらえずメールで送ると言われていたのですが、1週間経っても何も来ないので確認に行くと、既に準備できていて手違いで送られていなかっただけでした…。口座の開設が遅れました。 

 許可の申請から約10日後に生体データの登録に関する案内が郵便で来て、言われた手続きをすませます。この際に撮る写真が滞在許可証に載ります。そこからまた10日ほどで"invitation à retirer un envoi"と書かれたお知らせが届き、指示に従って郵便局で封筒を受け取ると、中身は滞在許可証(Titre de Séjour)でした。半年の滞在なので、L許可証です。いろいろと不安でしたが、これにてめでたく滞在許可関連の手続きは完了しました。

まとめ

 確約書なしで入国したという情報がネット上にあまりなかったので、自分の場合の経験談として書きました。冒頭に挙げた情報の通り大学経由で確約書が得られるのならそれに越したことはないと思います。交換留学等の大学間プログラムや、雇用がある場合であれば、この辺りもしっかりサポートしてくれるのでしょうか。いずれにしても、カントンやコミューンによって手続きは異なるはずなので、確認は必須です。2022年末からETIASなる入国管理システムが導入されるようですが、手続きがよりクリアになることを期待します。

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