防音物件の落とし穴

演奏家にとって共通の願い、それは

「24時間いつでも自由に演奏できる家に住む」

でしょう。私もそんな桃源郷を目指し、いろんな物件を回りました。

演奏可能な物件なのに、ほかの演奏家(しかも私と同じトロンボーン吹き)から
嫌がらせを受けたり、近所の公民館を利用する際はローカルルールがあったりと、わりとすっぱい経験をしました。

「なんでこんな思いをしなけりゃならないんじゃー!私はただ楽器を演奏したいだけなのに!ふざけんなうおー」

って思いながら日々を過ごし、行き着いたのは
「24時間楽器演奏可能なマンション」
でした。

正直家賃はかなり上がりました。でも本当にこの悩みがこれで解消されるなら・・・と思い、エイヤっと契約しました。
ちなみにめちゃくちゃ人気があるようで、空きができるとその日のうちに契約しないともう他の方に取られちゃうくらいで、「迷っいる暇はない!」という心理も後押ししたと思います。

で、引っ越してみてみると確かに防音はしっかりしているようでした。
ただし防音なのは部屋の一部だけで台所や風呂場などは防音でない家と変わりません。そして皆さんに一番伝えたかったことは

「防音物件に住みたい人が必ずしも演奏家とは限らない」

ということです。私が管理人さんに最初聞いたのは
「リモートワークをする人が集中して仕事ができる家を探してここに住む場合が多い」
と言っていました。
なので私が住んだマンションは演奏家が比較的少ない状況だったそうです。
つまり

「音に敏感な人たちが逆に集まってしまっているマンション」

ということになります。
なので確かに練習できる部屋は防音なのですが

「○月○日○時ごろ、洗濯機の回す音がうるさいと報告がありました」
「スピーカーの音がうるさいと報告がありました(防音室以外で使用した疑惑)」

このような管理人さんからの貼り紙が絶えない状態でした。
こうなると他の物件と住んでいる感覚としてはそんなに変わらないように思え、
いやむしろ普通の物件より生活音でのクレーム多過ぎんか?とさえ思え、
家賃の高さとバランスを考えると自分は合っていないと感じ、結局1年経たずで
引っ越してしまいました。
現在は穴場の練習場を見つけたので満足しています。

引っ越す前にどうせなら夜中の3時にオーケストラスタディをして
本当にクレームが来ないかだけ実験したかったので、それだけは心残りです。
今住んでいる方でどなたか実験してみてほしいです。

私としては防音でなくとも「お互い様物件」でガンガン音が聞こえる方が気が楽ですね。今はそれも減ってきたり厳しくなってきているようですが。
結局これをいうとミもフタもないんですが、どんな物件だろうと
お互いの気遣いと多少の寛容さは必要だと思います。
ご近所さんとの信頼関係を築くことは音出しに限らず大切なことかなと
改めて思うのでした。