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ライブに行く理由

大規模なライブが開催されなくなって3ヶ月が過ぎ、一部のアーティストは生配信でライブを届けるようになった。観客と演者が同じ空間を共有できなくなった一方、様々な事情で会場に足を運べない人も同時にライブを楽しめるというメリットも生まれた。

今まであまり考えた事がなかったが、ライブに行くというのはとても面倒臭い。まずチケットを購入するところからだ。一般発売でも容易に入手できるなら未だよいが、先行予約やそれに伴う会員登録など煩わしい点は多い。そしてこちらで指定する事のできない決まった日時・場所にわざわざ出向き、一定時間拘束される。自由が大好きな僕だが、このシステムは圧倒的に不自由だ。そして何よりお金もかかる。チケット代数千円、購入時の手数料、交通費、ドリンク代、時にはグッズ代。何本も行くと、その額は結構バカにならないものだ。

その点、配信ならばたとえ有料でも実際のライブよりチケットは安くなり、場所を選ぶ事もない。また会場に比べて各々が自由なスタイルでライブを楽しむ事ができる。家で寝っ転がりながら、好きなものを食べながら、携帯をいじりながら。何でも可能だ。

しかし僕は、今のところ生配信ライブにあまり乗り切れていない。アーカイブが残る場合は未だよいのだが、プレミア公開のような一度きりの配信の場合は高い確率でやめてしまう。

配信の方が便利で参加するハードルも下がるのに、こんな気持ちになるのはどうしてなのだろう。そんな事を考えていると、過去参加してきたライブにはきちんと行く理由があり、ある程度パターンの分類ができる事に気付いた。

<ライブに行く理由8選>

1.単にそのアーティストが好きだから。
最もシンプルで健全な理由。ただただ好きなアーティストを観たい。至極純粋な欲求だ。

2.解散、活動休止、脱退等の節目になるタイミングだから。
大好きなアーティストは勿論だが、多少思い入れのあるアーティストであれば節目のタイミングに立ち会いたいと思う事は大いにあるはずだ。普段と違う演出や選曲が観られる可能性も高い。

3.周年にあたるメモリアルなライブだから。
結成若しくはデビュー○周年の大箱ライブは、特別な演出やセットリストになる可能性が高い。普段そこまで熱心に追っていなくても、ヒット曲を中心とした贅沢なステージは楽しめる事請け合いだ。例えばB'zでいうとPleasureシリーズがこれにあたる。

4.一度観ておきたいから。
大好きな曲を一度生で観たい、このタイミングで観ないと人気が拡大してチケットを取りづらくなりそう、あまりフェスに出ないのでこの機会に観てみたい、など。この場合、該当ミュージシャンのライブに継続的に参加する気はあまりないが、予想外にうっかり沼に入ってしまう場合もある。

5.次にいつ観られるか分からないから。
来日のスパンが読めない外タレ、不定期に復活するアーティストなど。次の機会が訪れないケースもあるため、ちょっとした保険でもある。

6.観られるうちに観ておきたいから。
いつライブ活動から引退してもおかしくないレジェンドは、メンバーが元気で活動しているうちに観ておく事に意味がある。その他、解散や活動休止が決まっているバンドなども、現役のうちに行っておくのが重要だ。

7.ライブの趣向が興味深いから。
シングル全曲披露、アルバム全曲再現など、コンセプチュアルな内容が自分の求めるものに合致した場合には、行ってみるのも手だ。セットリストで裏切られる事なく、満足度の高いものになる可能性が高い。

8.ロケーションがよいから。
野外フェス、一風変わった場所でやるライブ、海外でのライブなど、特別な体験を求めてライブに行った事、音楽ファンなら一度はあるのでは。フェス以外では、個人的には銭湯や洋館などが思い出深い。

ライブに行く理由。考えてみたら答えは簡単で、それは僕が好奇心の塊人間だからだ。昔は毎年新しいジャンルを開拓するほど、音楽を通して新しい世界を知る事に喜びを感じていた。そしてライブによって、その体験は立体的なものになっていった。

そもそもライブの現場では、感じ取れる情報量がとても多い。

行くまで(チケットを購入する/開催に向けて発信される情報/電車に乗って会場に向かう)

客層や会場の雰囲気はどうか(野外の場合は天気やロケーション)

セットリストや演出、場合によってはゲストやセッション

メンバーは何を話したか

グッズや入場者への特典のような"残る"アイテムや、終演後の物販でのコミュニケーション

ファンはどう感じたか(事後SNS)

ライブ配信は便利な一方で、上記のうち幾つかがどうしても削ぎ落されてしまう。生の現場での情報量に慣れてしまった身にとって、配信の物足りない面はそこにあると思う。しかし、参加者同士のリアルタイムでのコメントなど、ライブ配信にしかできない価値もある。生のライブと如何に差別化し、配信での価値を高められるかが今後の課題だと感じる。

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