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2022年、上田にシアターホームステイ④ 【勝山】

2022年4月22日、金曜日

朝から昼にかけて、デザインの仕事をリモートで。犀の角を長期利用している人たちとも随分と話すようになれて嬉しい。夕方、犀の角スタッフの皆様と、今後の話を改めて。
「やどかりハウス」や「のきした」、「イロイロ倶楽部」などに参加している人たちと何か一緒につくることはできないか、などと。まずは大阪から芝居を持ってきて見てもらうのか、勝山が滞在して何かつくるのか。どうやって?どのようにはじめれば?可能性の話をする。有難い。


2022年4月4月23日、土曜日

昨年「INDEPENDENT in上田」でご一緒した夢猿さんこと杉浦さんが、松本にある劇場「ヴィオパーク」のイベントにてふたたび一人芝居をすると加藤さんから伺い、同行することに。16時から開場、16時半から開始。
お昼に松本で人と会う約束をする。先日、茶色さんから「勝山さんと話したい人から連絡が来たんですけど」と聞いて。はじめて利用する電車で乗り継ぎを失敗したりと道中ヒヤリとしたけれど、時間をお金で買い、なんとか待ち合わせ時間までに松本駅に到着。

金で時間を買いました

会ってみると、何と勝山が2回ほど宣伝美術を担当させていただいた北海道の劇団「弦巻楽団」の主宰、弦巻さんの演技講座に参加していた方だった。「ワンダーランド」という作品のチラシを見て、名前を覚えてくれていたとのこと。

まつもと市民劇場の屋上

劇団「れんげでごはん」の篠原誉さん。一緒にそばを食べた後、松本の劇場や施設を案内してもらう。
まつもと市民芸術館の美しさにも驚いたけれど、それ以上に上土劇場に感動した。映画館を改装してつくられた劇場。重ねられた時間をこれでもかと感じさせてくれる。いつか上土劇場で自分の作品を上演したい。そう強く思わせてくれた。

上土劇場。いいところ。

篠原さんのご厚意で、ヴィオパークまで車に乗せてもらう。
最初は山の中にある公園施設の小綺麗な建物なのかなと思っていたけれど、見た目はもう完全に山小屋。まわりはもう山。野生の山。純然たる自然の中に佇む表現空間としての山小屋。ヴィオパーク。

マジで山小屋でした。いいところ。

なんてこった、素晴らしい。イベントがはじまるまで時間があったので、篠原さんと周辺を散策のち加藤さんと合流、3人でイベントを楽しむ。
目的だった杉浦さんの演目は、「INDEPENDENT」の演目と同一作品。めちゃくちゃ良くなっていて感動。杉浦さんの前は「3日満月」さんという素晴らしい音楽デュオで、(3日満月さんの次が杉浦さんとは。可哀想…)なんて思ったりしたけれど完全に杞憂でした。特に芝居の導入が素晴らしかった。すいませんでした。本番が終わった後にご挨拶。

杉浦さんからは時々「上演決まりました?」と連絡が来る

軽口を叩き合った後、なにか一緒につくりましょうよと軽い口約束のふりをした固い誓いを合ったのち、加藤さんの車に乗せてもらって、犀の角に帰宅。
長野の山中は「大丈夫?人間滅んでない?」と思えるくらい電灯もなく車も通らず暗くついでに風もほとんど吹いておらず静か。で、夜空の星が満天に綺麗だったので「これは流れ星も見えるかも知れませんよ」などと加藤さん。タバコ休憩がてら山中に車を停車してもらい夜空を眺めていると、流れ星が!
勝山は流れ星に嫌われているのだと確信していたくらいには流れ星を目の当たりにしたことが無く、そのこじらせた確信や実感をテーマの一つにした「テレグラキ」という作品を書いたりしたのだけれども。そのこじれというか、負い目というか、兎に角大変に感動し、嫌われてなかったのだと安心した。


2022年4月24日、日曜日

滞在最終日。これまた加藤さんから、人にお話を伺いにお花見に行くのですが、よければ一緒に行きませんか。とのお誘いをいただき同行。
目的はと聞くと、「夜明け前」の主人公である半蔵が狂人となってしまったことを安易に表現してしまいそうになる事に対し抵抗を覚えているから、こころの病を患っている方にお話を伺うんです。とのこと。身が引き締まる。
天気は生憎の曇天だったけれど、雨が降り出すまで時間はまだありそうだったので、満開の桜の木の下、お花見スタート。

花見

手作りのちらし寿司やパン、重箱に入ったご飯などをいただく。どれも美味しく、表情に出してしまったところ、お土産にちらし寿司をたんといただいた。ありがとうございます。
やがて雨が降り出し、お花見も終了したのち、ご好意で幻聴が聞こえる方のお話を加藤さんとお伺いする。その話ぶりと内容に始終圧倒される。帰りの車内、その内容に触れるだけでも迂闊な行為だという感覚が離れず、頭の中を整理しようと試みるも、うまく整理できるはずも無く。その方が書いた小説を、犀の角に帰着後、拝読。これからの創作において、とてつもなく大きく深いものをいただくことができた。
表現には責任が伴う。これ迄何度も自分に言い聞かせてきたし、自分の書いたフィクションは誰かが体験したノンフィクションという可能性について、それが人を傷つけるものだとした場合、娯楽を提供しているつもりでも観客の人生の中で起きていたトラウマを容易に想起させるものであるかも知れないという事実について、改めて慎重に、責任もって取り組もう。そう誓った。
どこまでできるかわからないけれど。やれるだけやる。
犀の角に着いたのち、荒井さんに滞在した日々の所感を報告。バス出発時間まで時間があったので、犀の角のスタッフの皆や、宿泊している人たちにご挨拶。
やがてスタッフの皆は何かしらのミーティングへ。忙しい人たちです。
静かに犀の角をあとにして、電車に乗るために上田駅へ。
途中、梓さんとばったり遭遇。謝意を述べる。
上田駅から電車に乗って、長野駅へ。
のちバスに乗り、大阪へ。


2022年、レポートの締め

シアター・ホームステイという機会をつくってくださった全国小劇場ネットワークのみなさま。
勝山という人間を推薦してくれたインディペンデントシアターグループ代表であり、ウチの劇団彗星マジックプロデューサーの相内さま。
忙しい中やさしく迎え入れてくれた、荒井さんをはじめとする犀の角スタッフのみなさま。
出会ってくれたたくさんの方。決して大阪ではできない体験を、たくさんたくさんできました。また会いましょう。会ってやってください。
また、このとりとめもなく書かれた拙い滞在記を読んでくれたあなた様。台本はもうちょっとまとめて書いているのでご安心ください。
ありがとうございました!!
夏、犀の角へ芝居を持っていくことになりました。
秋、どうやら芝居をつくらせてもらうことになりそうです。
ほんとうにほんとうに、お世話になりました。
これからもよければ、お世話してあげてください。
11日間におよぶ滞在の日々は、何としても芝居に還元し、御礼に代えます故。
これからもシアター・ホームステイが続き、素晴らしい交流が各地で産まれ、豊かな芝居の種となりますよう。
咲かせますよ花を。無理でも枝葉を。
枯れても栄養になってやりますよ。
心から。有難うございました。

彗星マジック 勝山修平

花を載せれば締まる!


2024年2月5日、月曜日

更新は火曜日なのですが、この文章を書いてるのは見出しの通り月曜日です。
何故かって明日は火ゲキPair.200の台本「卑怯な友達」を書きたいから。
うーん、ライブ!

レポートの締めに書いた顛末について追記させてください。

夏、犀の角へ芝居を持っていくことになりました。

は、「スーパー短編劇場ズ2022-23@犀の角」。
劇団員のヨネと、客演のさかな(金澤宏美)による二人芝居を上演しました。
この時観に来てくれた長野県に滞在している某プロデューサーから「とても良い作品でした。必ず再演する機会をつくりますので連絡先を教えてもらえませんか。私は約束を守ります」なんてお言葉をいただいてからもう3年が経とうとしています。
「アルバート、はなして」初演のときも某大学の教授が観に来てくれていて、ぜひウチの大学で上演を、連絡しますので(以下略)でしたが連絡は未だ来ていません。
そうやってどんどん人を信じられない演劇人になっていくんだ。ぼくは。

近所のガキに追い掛け回されるさかな

秋、どうやら芝居をつくらせてもらうことになりそうです。

は、ものすごい紆余曲折を経て「やどかし文化祭」というイベントになりました。

ものすごい紆余曲折

そしてそして、

11日間におよぶ滞在の日々は、何としても芝居に還元し~

について。
もう芝居に還元しました。
「釈迦を汲む」という彗星マジックの本公演にな!

鹿児島から東京までを行脚するってェ芝居だ

此方も「やどかし文化祭」ほどではないですが、内容がぐんと変化した公演で。
そこらへんは次回以降に書き進められていけたらなと思っております。

ではまた!

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