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地域のハブとなるカルチャーホテルをつくりたい。元教員志望のDJ支配人の挑戦|HOTEL SHE,OSAKA 支配人 伊豆田健人

水星には、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まっている。

HOTEL SHE,OSAKAの支配人伊豆田健人さんは、コロナ禍の真っ只中の2021年に人材業界から水星に飛び込んだ。HOTEL SHE,OSAKAに配属後は、DJであるという一面を活かしながら、音楽イベントの企画や「ローカルハブ」というコンセプトの提案など、アフターコロナのHOTEL SHE,OSAKAの挑戦を牽引している。
そんな伊豆田さんに、これまでの経歴や現在のお仕事の内容、HOTEL SHE,OSAKAの魅力などについてお話をうかがった。

伊豆田健人
1997年生まれ。大阪府出身。和歌山大学教育学部卒業。新卒でパーソルキャリア株式会社に入社。求人広告の営業として、100社以上の企業の中途採用を支援。その後、株式会社水星に入社。HOTEL SHE, OSAKAスタッフとしてフロントに立ちながら、イベント企画や、HOTEL CAFUNEの開業支援など幅広い業務を経験。2023年5月に、HOTEL SHE, OSAKA支配人就任。

元々教員志望のDJ支配人

ーー今でこそイベントでDJをやる名物支配人として地域の人たちにも愛されている伊豆田さんですが、元々教員を目指していたと聞きました。

大学は教育学部で、小学校の教員免許と中高の英語の教員免許を持っています。就職活動をするまでは、教員になることを考えていたので、学生時代は、塾講師バイトを4年やりながら、子どもたちによさこいを教えるボランティアや公立高校でのテスト前自習補助ボランティアなどに取り組んでいました。自分で言うのもなんですが、結構、真面目な学生だったんです(笑)

ーーちょっと意外でした(笑)
教育の道に進もうと思ったきっかけは何かあるのでしょうか?

母親が幼稚園の先生で、幼い頃から家に帰ったら職場で楽しかった話とか、かわいい子どもの話とかを聞かされていたんです。ぼくは3つ上の姉がいるんですけど、その姉は幼稚園の先生をやっています。大学に入って、本格的に教育について学ぶようになってから、さらに魅力を感じるようになりました。特定の科目の知識を教えることが目的ではなく、知識の習得を通して人間性を育てるという点や、人との交流を通して、信頼関係を構築していく点に特に関心を持っていました。その時に学んだことは、今の管理職の仕事にかなり活きていると感じています。

ーー最終的には新卒では一般企業を選んでいますが、
この選択の背景について教えてください。

教員を目指す過程で色々な先生のお話をうかがっていると、尊敬する先生たちはみなさん「社会を経験してから先生になれ」と言う人が多かったんです。教員は免許を持っていたら、社会人採用枠の採用などもあるので、まずは、一般企業でビジネスの現場を経験してみたいという思いが強くなって、新卒では学校の先生にはならずに、一般企業に就職することにしました。

100%自分が自身を持ってサービスを提供できる仕事がしたい
コロナ禍の真っ只中に観光・宿泊業界に飛び込む


ーー前職は、大手人材会社で営業をやっていたと聞きました。
この時のお仕事について教えてください

営業の仕事を経験してみたいという理由から、新卒で人材会社に入社しました。求人広告の新規営業をやっていて、テレアポや飛び込み営業、商談に繋げ、案件獲得に繋げるサイクルを回しながら、各フェーズのKPI分析や行動改善に取り組みました。
求人広告は無形商材なので、こちらの提案次第で大きく成果が分かれる世界なのですが、企業様ごとにどのように提案をするかを考えるのは面白かったです。慣れてくると営業部の月間MVP(達成率167%)を獲得するなど成果を出すこともできました。
こちらの提供価値をどのように相手に伝えるかについて思考錯誤していた経験は今のホテルのマネジメントの仕事にも役立っています。

ーーその後、水星に転職した経緯について教えてください。

営業の仕事は面白かったのですが、続けているうちに、大企業の中で毎月の目標達成のために広告を売るという仕事に自信が持てなくなってきたんです。これは本当に自信を持って提供できるものなのかという疑問を感じるようになりました。100%自分が自信と責任を持って提供できるものでお金をもらえる仕事はないのだろうかと考えるようになりました。

こうした価値観に繋がるひとつの原体験があります。中学生の頃、吹奏楽部に入っていたのですが、自治体主催のイベントに出演した際に、出演料をいただく機会がありました。もちろん個人がもらえるわけもなく、学校の予算になるのですが、顧問の先生が「今回の出演にはお金をいただいている。お金をいただいている以上、中学生でもプロとして立ち振る舞わないといけない」ということをちゃんと伝えてくださったことがずっと心に残っています。そんな経験から、働く上で自分が嘘いつわりなく提供できるものを仕事にしたいと考えるようになりました。

また、全くの偶然なのですが、前職で働いていた時に、HOTEL SHE,OSAKAのある弁天町で一人暮らしをはじめたんです。
程なく、DJの先輩がイベントするということを知って、はじめて、HOTEL SHE,OSAKAに行きました。そのイベントには地元の和歌山の友達が友達がたくさんいて、運命みたいなものを感じました。
それから、当時HOTEL SHE,OSAKAで働いていた、大学の先輩の(清原)祥太郎さんと出会って、転職のことやHOTEL SHE,OSAKAの仕事について色々と話を聞きました。この環境であれば、当時、自分が思い描いていた「そこで働いている自分が好きになれる」ことができると思って、魅力を感じていました。

ーー伊豆田さんの入社は2021年とコロナ禍の真っ只中でしたが、
この時期に大企業から観光・宿泊業のスタートアップに転職する上で不安はなかったですか?

正直かなり悩んでいました。仕事の内容や人は間違いなく魅力的だと思っていたのですが、当時は、観光業界全体がどうなるか分からないという状況でした。ただ、そんな誰もが頭を抱えるような状況の中で、水星は、「未来に泊まれる宿泊券」や「HOTEL SHE/LTER」「泊まれる演劇」等の新しい取り組みにどんどん挑戦していて、SHE,OSAKAでも当時はホテル内に幼稚園をつくるというプロジェクトを進めていました。そんな枠組にとらわれない発想、柔軟な思考の転換、スピード感に圧倒されたんです。
逆境ではあるのですが、同時にすごくワクワクして、 ここでなら成長できると確信して、入社を決めました。

レコードを聴くと音楽との向き合い方が変わる
はじめての人に音楽を探す楽しみを伝えたい

-HOTEL SHE,OSAKAと言えば、全室にレコードプレイヤーを設置していて、気軽にアナログカルチャーに触れられることが大きな特徴の一つです。
また、DJとしても活躍される伊豆田さんは、定期的に音楽イベントを企画して、新しいHOTEL SHE,OSAKAのブランドイメージをつくっている印象ですが、改めて、そんなHOTEL SHE,OSAKAで音楽を楽しむことの魅力について教えてください。

HOTEL SHE,OSAKAでは、音楽を楽しむ手段の一つとして、ビギナーの人でもレコードを楽しんでもらえるように様々な工夫をしています。
レコードを聴くと音楽との向き合い方が変わります。レコードってめんどくさいんですよ。回転数を変えたりしないといけなかったり、しばらくしたらひっくり返さないと次の曲が流れなかったり。音楽のストリーミングサービスだったら、自分の好きな曲を無限にかけてくれることを考えると相当手間ですよね。でも、その分、アルバム1枚、1曲に対する思い入れが変わると思うので、そういう意味では貴重な体験だと思っています。

レコードには、聴く楽しみの他に、ジャケットを見たり、触ったりする楽しみなどがあるのですが、ぼくが一番大切にしているのは「探す楽しみ」です。ぼく自身、DJとしてよくレコードショップにに行くのですが、行き着けのお店の店主さんは、「最近こんなのにハマってるんです~」って言ったら、「だったらこんなの聴いてみたら?」とその時の気分にぴったりの音楽をその曲の知識や時代背景と共に。ぼくはそのお店にいくことをひそかに「カウンセリング」と呼んでいるのですが(笑)その時の気分にあった音楽を提案する、自ら発掘するという体験を提供出来たらと考えています。

また、HOTEL SHE,OSAKAでは、ひとつひとつのレコードに解説を書いてるんです。どういう時に聞きたいかということを書いているので、選ぶ際に、それを参考にしてもらってもいいなと思います。そうした体験すべてがレコードの魅力だと思うので、探す楽しみまで体験してもらえたら嬉しいなと考えています。

音楽イベントについては、コロナ禍の最中から手探り状態ではじめて、約2年間色々やってきた中で、ようやくHOTEL SHE,OSAKAらしさが見えてきた気がします。HOTEL SHE,OSAKAでは、どちらかというと、パーティー系というより、ラウンジ系のイベントが合うなと思っています。

ホテルとしてのちょっと格式があって非日常感がある雰囲気と、HOTEL SHE,OSAKAならではのカジュアルでストリートな雰囲気を上手く合わせた空間として、音楽、食事、お酒がちょうどいいバランスになっているということを意識しています。すべての要素において、同じ価値観を共有した仲間たちがひと手間をかけたものを提供したいと思っています。

-伊豆田さんはDJとして活動していて、最近ではホテル内のイベントだけでなく、外のイベントでもフロアを湧かせていると聞きました。

DJ活動はありがたいことに最近忙しくなってきました(笑)
夏は毎週イベントに出演している時期もあって、11月には東京のイベントに出演する予定です。ぼくはレコードでDJをやってるんですけど、本格的にDJをはじめたことがきっかけで、レコード屋さんとの繋がりができたりして。同世代でレコードDJをやっている子は少ないので、狭いコミュニティーならではの繋がりで活動の場が広がっていってます。

HOTEL SHE,OSAKAのイベントの常連さんでぼくの母親と同じ年くらいの常連さんがいるんですが、ぼくの外のイベントにも来てくださったりして。その人は昔めちゃくちゃディスコとか行ってた人らしくて、「最近。こんな音楽いいですよ~」みたいな話をしたら、結構聴いてくれていて、いつも音楽がいいからと言って来てくれたりしているんです。そんな風に音楽を介して世代や立場を越えて繋がることができるのは楽しいですね。

HOTEL SHE, OSAKAを大阪が誇る随一のカルチャーホテルへ


-今年(2023年)の春に支配人に就任されてから約半年になりますが、現在のお仕事の内容や今後の展望について教えてください。

支配人になってからは、接客などのオペレーション業務の他に、接客や清掃などのマネジメント、スタッフの育成業務、ホテルのブランディングに繋がるイベントの企画やSNSの運用管理、ホテルのP/L管理など、ひとつのホテルを運営していく上で必要な様々な業務をマルチタスクで担っています。また、直近では、個人のミッションとして、ホテルのレベニューマネジメント(販売価格の管理等)にも取り組んでいました。現場では、調整役としてスタッフみんなの「このホテルをどうしていきたいか?」という思いを尊重しながら、最終的に意思決定をするのが支配人の役割だと思っています。まだまだ、個人としても、ホテルとしても改善できるところはたくさんあると思うので、これから頑張っていきたいです。

また、今年になってから「LOCAL HUB」というコンセプトを掲げているのですが、大阪のお店、地元の人たちともっと繋がっていきたいと思っています。そうした思いもあって、HOTEL SHE,OSAKAのイベントに地域のお店さんをお招きしたり、逆に地域のイベントにHOTEL SHE,OSAKAが出店したりしていました。もっとたくさんの地域の人たちにこういうホテルがありますよってことを知ってもらえるといいなと。徐々にそうした繋がりが広がっていて、SHE, SIDE DINERのトーストは、地元のCARABINA BREAD STANDというお店のものを使っています。

将来の展望については、個人的にはキャリアプランはあまり定めないタイプなんです。常に目の前のことに一生懸命取り組んだ先に見える景色が見たいと思っています。ホテルとしての目標は HOTEL SHE, OSAKAを大阪が誇る随一のカルチャーホテルとして認知していただけるブランドにすることです。また、支配人としての目標は、HOTEL SHE,OSAKAのメンバーが、僕のマネジメントを必要とせずとも適切に自走できるよう成長できる状態にすることを目指しています。
先のことは分かりませんが、奥さんがいて、子供がいて、好きな仕事をしていて、レコード買うお金があって、色々なパーティでDJがプレイできる時間があったら超幸せだと思います(笑)

-水星で働くことの魅力や一緒に働きたい人物像について教えてください。

ぼくもDJ活動など趣味を活かしながら仕事をさせてもらっていますが、水星の良いところは、自分の好きなものや個性をそのまま長所として受け入れてもらえる点にあると思っています。
水星では本当に多様なバックグラウンドの人たちが活躍しているのですが、人の良さを伸ばしていくという組織のカルチャーがあるので、自分も是非、この素晴らしいカルチャーを継承していきたいと考えています。
なので、自分の好きを起点にサービスとして幅広い方に届けられる人と一緒に働けたらと考えています。どんなことでもいいので誰にも負けない明確な「好き」がある人と一緒に働けることを楽しみにしています。

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