消えたがりの僕と君①

僕はゆうと。15歳男

賑わう人混みの中1人静かに歩く。
まるで僕だけ違う世界にいるみたいだ。

大人には子供の声が聞こえないらしい。皆僕が見えてないんだ、でもね僕が悪い事をした時はやっと僕が見えるみたい。

僕は小さい頃から親に嫌われていた。もちろん周りからも、親は僕を望んで産んだわけじゃ無いんだって。まぁ、結果的に僕が産まれたせいでお母さんは彼氏と別れて1人で育てる事にしたけど彼氏さんの事まだ根に持ってるみたいで僕を恨んでる。

だからよく夜のお仕事を終えた母は帰ってくるなり僕に包丁を突き立てたりする。僕はもう慣れている。だからあえて何も言わない。正直殺されてもいいと思ってる。そして母はいつものように僕を殴って物置部屋まで連れていき鍵を閉めどこかへ行ってしまう。

暗くて狭く、ずっとほっとかれていたのかボロく埃臭い。でもここは小さい頃からずっと居たシェルターのような場所で結構気に入っている。

そんな事を考えてぼーっとしていると大泣きしながら母は戻ってくる。ごめんね、こんなつもりじゃなかったのと、お酒臭い母が泣きながら僕を抱きしめる。だから僕は母が泣き止むまでしばらくこうしてそばに居る。こんな生活を小さい頃からずっと繰り返している。

だからもちろんご近所さんもこのことを知っている。でもこんな母に何かされては困ると、皆見て見ぬふりだった。

でも僕はそれで良かった。僕にも頼れる友達が居たからだ。