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東京五輪 ポルスカ初戦、イラン戦での勝負をわけたポイント

ご存じのとおり、ポルスカの五輪初戦は、因縁の対決とも言えるイラン相手にフルセットの死闘の末、敗北でのスタートとなってしまった。


この試合の、勝負をわける象徴になってしまったプレーが、個人的には第1セット早々の、7-6でポルスカ1点リードの場面だったように思う。
(動画では18分50秒くらいの場面から。)

ジズガの恐らく意図的に緩く打ったサーブが、イランのコート中央、ゾーン8あたりに飛んで行き、それをイランのリベロが身体をコートに投げだして(ダイブして)レセプション。そのせいで、後衛OHのbick助走路を潰しかねない状況が作り上げられ、ジズガの狙い通りにそのbickが白帯に当たるスパイク・ミスとなり、ポルスカの得点。

それまで一進一退の攻防だったところから、この1点でポルスカが抜け出す契機となり9-6までジズガのサーブは続き、この中盤でのリードを保って、25-18と幸先の良いスタートを切ったポルスカ。


ジズガのサーブが恐らく狙いどおりだったのは、MBのビエニエクがイランのクイックにコミットして跳んでいるところからも伺える。サーブでこの位置を狙ってリベロを転ばせることに成功すれば、bickは万全の体勢では使えない、だから恐らくは他の3ヶ所の攻撃選択肢を相手セッターは選んでくるはず・・・


だが、イランのセッター・マルーフは、その状況で「敢えて」後衛OHのbickを選択したのだ。

結果は確かに、助走路が邪魔されたためかどうかは別にして万全のスパイクにはならず、ポルスカの得点になったが、マルーフが「この選択肢」を選んだことで、ポルスカのMB陣は試合最後まで、迷わされることになった。


2セット目以降、試合が緊迫してくるにつれ、両チームのビッグ・サーバーたちが本領を発揮し始める中で、幾度となく「あっ、ポルスカのブレイク・チャンス」と思った次の瞬間、何ごともなかったかのように、あっさりレセプション・アタックを決めてしまうイラン。

「アウト・オブ・システム」になるはず・・・という状況でアウト・オブ・システムになってくれない・・・

一方のポルスカは同じような状況で、結果的にスパイクが決まってはいても「そこに上げざるを得ないよな・・・」という連続。ジズガは、イランが狙い通りにサーブで攻撃選択肢を消しに来ると、自らその選択肢を「最初からなかったかのように」してしまうのだ。


クレクもレオンも途中出場のノヴァコフスキーも、アタッカー陣は十二分に仕事をしていたので最終的に紙一重の点差で決着するところまで追い詰めたが、少なくともこの日のイランには、負けるべくして負けた感が否めない試合だった。

ポルスカ・サポーターとしては、この試合が、予選ラウンドで本当によかった。

photo by FIVB

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