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新しい友よ 誰よりもきみとがいい

今回の演奏会の指揮を務めます、粋声・Coro Ponte指揮者の吉田と申します。

『遠くはるばるきた人の目は わが身のゆがみ 映す鏡』(木島始 詩 路標のうた より)

このジョイントコンサートの見どころ(聴きどころ?)は、近い世代、同じ人数規模、同じ指揮者の2つの混声合唱団が、違うテイストを持ち、それぞれの演奏と合同演奏で、決して均質でない音楽が飛び出すであろう、と言う事にあると思っています。


私は合唱、そして趣味の活動と言うものは、そこに集まる『人』が何よりも重要だと考えています。
それは単に、1人では合唱は出来ない、と言う意味を越えて、『人』が集まりあらゆる才能を持ち寄って何かをする、と言う営みから生まれる可能性にこそ価値があると感じているからです。

ころぽんは、同じ高校の先輩後輩の集まりです。同じ高校といっても、もとより互いが顔見知りということではなく、また全員が在学時に合唱部だったわけでもありません。それでも確かな一体感がそこにはあります。

粋声は、様々な集まり方をしていますが、多くは団員の紹介で、「この人は粋声にいて欲しいと思った!」なんて言う枕がつく事が多いように思います。別々の親友を引き合わせるような、不思議で心地よい緊張感が団の風物詩かもしれません。

そんな2つの合唱団の雰囲気のよさは、どちらも団長の人柄の良さの上にあると思いますし、団員一人一人がもっと良い音を出したい、という強い意志をもっていることもとても頼もしく思っています。

私ごとではありますが、芸大受験を決心した理科大時代に、大変お世話になった担当教官に「30歳になる迄は好きに思うようにやってみて、そこでダメなら見切りをつければ良いし、軌道にのればそれでよし」と仰って頂き、その言葉を大事に30迄は振り返らずにやってみよう、と思いやってきました。今回の演奏会は30歳になって最初の指揮の舞台です。20代をふりかえり、30代を迎えるにあたり、私の周りにはこんなにも素敵な仲間がたくさんいて、こんな素敵な舞台を共にすることが出来ます。これはほんとうに幸せなことと思いますし、仲間に恩返ししていかなければならないと思っています。
改めて、全ての関わってくださっている皆様に感謝申し上げたいと思います。


ころぽんの単独ステージは《花に寄せて》。いつも声部の多い曲ばかりを取り上げるころぽんには挑戦になる選曲です。今だから歌えるこの組曲があると思いますし、10年、20年後にふと思い出して大切な思い出になると良いなと思って選びました。
粋声の単独ステージは、フランスの作曲家たちによる傑作たちを。グレゴリオ聖歌をモティーフに取った作品から、フランス音楽の色彩を持つものまで。『声』を大切にする粋声だから取り組める曲があると思い選びました。
合同曲は、複群合唱ならこれだろ!という曲。いずれの曲も両群を合唱団を混ぜずに、二つの個性をそのまま対話する様にパートを配置しました。

いずれの曲も、その曲の持つ魅力と共に、今回のこの舞台だからこそ持つ魅力ものせて、一つの音楽会として楽しんでいただけたらと思います。

全体を通して聞き応えのある演奏会ではありますが、是非会場でお楽しみください。
そして、この演奏会をきっかけに新しい『であい』があります事を。

吉田宏

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