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詩集 柔らかい檻
普段は石ばかり読んでいますが、縁あって
『詩集 柔らかい檻』
をじっくりと読む機会をいただきました。
詩集を手にしたのは何十年振りだろう…
詩そのものについて書けるほど、私は詩というものを知らない。
だから、石を読むかのように『柔らかい檻』を読んでみた。
< 時を得た 詩集だ >
そう感じた。
この詩集には、長い時間が折り畳まれて入っている。
読み進めているうちに、題名だけを書かれたページをめくる度、丁寧に折られた時間を開くような気持ちになっていた。時間という折り紙があるようだった。
予言って詩的だったな。
過去という時間の折り紙を折ることもできれば、未来という折り紙を開くこともできる、詩ってそういうものかもしれない。
そんな風に思えた。
『柔らかい檻』の二章には戦争の記憶を織り込んだ詩が並ぶ。私がこの詩達を読んでいる今、この時。
2022年のこの今を、近い未来には「戦前」と呼ぶ可能性だってあり得る。
詩を読みながら、頭の片隅でそんなことを考えた。
締めくくりの詩『月酔い』
そこに著者の本質を感じた。
詩を書くから詩人なのではない。
詩人だから詩を書くのでもない。
日々の生活で生じる心のガラクタを
捨てて、捨てて、捨てて。
その後に残るもの。
彼女にとって、それが詩なんだ。
なんの義務や目標が無くても、彼女はきっと詩を作る。日常から詩を生み出す。
だから詩人、なんだ。
石の読むように、読んでみた。
この機会を与えられたことに感謝します。
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