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『すいかとかのたね6号』のご紹介

こんにちは、漫画雑誌すいかとかのたねの編集長の中山望と申します。普段は漫画出版社でデザイナーをしたりしています。

この度、僕らが作っているインディーの漫画雑誌『すいかとかのたね』の6号を、11月24日に行われるコミティア130にて発行します(その後通販も行う予定です)。

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漫画雑誌『すいかとかのたね』は、2014年に美大の同級生だったメンバー8人によって発行された読み切り漫画の同人誌で、大学の芸祭やコミティアなどを活動の場にしながらこれまでのべ9冊、合計2000部ほど発行してきました。現在はメンバーの多くがデザイナーやイラストレーターとして活動しながら漫画雑誌を制作しています。描いた漫画を読ませたいというだけでなく、「いい漫画雑誌を作ろう」という目線で丁寧に作っているデザインや編集が売りです。
大学在学中に始めたこの雑誌も6年目となり、少しずつ読者を増やしながらここまで活動することができました。6号はこれまでの活動の中でも一番広い範囲に届けたいという思いがあり、これまで以上に内容の充実をはかってきました。
ようやく完成形が見えつつある今号ですが、レギュラーメンバーの力作に加えて、ゲストの方々にも非常に素晴らしい漫画を描いていただき、ぜひみなさんに読んでいただきたいと思えるものができてきています。

というわけでこのブログでは6号のゲストの方々をご紹介します。

INA

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INAさんを知ったのはツイッターにあげていた「DELIVERY MANGA」シリーズでした。そしてこのシリーズをまとめた作品集『DELIVERY MANGA』は、なんと先日行われた「トーチ漫画賞」で大賞を受賞しました!

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DELIVERY MANGA』は、INAさんが実際に行なっていた牛乳配達の仕事を描いたエッセイ漫画です。
生活の中の機微を、非常にセンス良く、そして優しく繊細な視点で切り取る描き方は、インディーの空気もありながら誰が読んでも面白い漫画だと思いました。主人公の生活の変化と、描くごとに洗練されていく漫画技術の変化という、2つの要素が1冊のなかに同居していて非常に面白い作品でした。
そんなINAさんがトーチ漫画賞に応募されていることは知らずにオファーしたのですが、こんなにタイミングよく描いていただけることになったのは、すごく運が良かったなと思っています。

すいかとかのたねに描いていただいた作品『川』は、『DELIVERY MANGA』などでも見られた、些細な日常の切り取りと描写がすごく心地よい作品です。
日常の中の、ドラマにならないドラマ、思い出にならない思い出を一編の漫画にできてしまう漫画力に脱帽しました。繊細で優しい視点と切れ味のある描写がすごく良かったのでぜひ読んでみてください。

※追記 INAさんの受賞作『DELIVERY MANGA』がトーチコミックスから発売されることが決定しました。タイトルを変更して2020年春ごろに出版されるそうです。タイトルを変更して2020年春ごろに出版されるそうです。

②斎藤潤一郎

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斎藤潤一郎さんは今もっとも注目すべきプロ漫画家の一人だと言えるでしょう。2018年にトーチwebから出版された『死都調布』を皆さんはお読みになったでしょうか。暴力と笑いで編まれた無彩色の映像詩ともいえるこの漫画は斎藤潤一郎さんの初単行本であり、多くの漫画好きを震撼させた孤高の漫画です。

僕と野口でやっているpodcast「すいかのラヂオ」でも『死都調布』発売に際して「死都調布とは」という特集回を収録したことがありますが、とにかく語りがいのある漫画で、担当編集者による一番的確な批評でもあるトーチのこのブログは作品のファンならずとも(作品未読でも)読んでおいて損はないでしょう。現在連載中の『死都調布南米紀行』も、テイストは残しつつ表現の幅がどんどん広がっていて大注目の作品です。

斎藤潤一郎さんの映像的センスや黒の使い方、あるいは本人の魅力的な人柄、そして何より作品の面白さに惹かれ、今回オファーをさせていただきました。受けていただき本当に感謝です。『すいかとかのたね6号』に掲載されるのは2ページと短い漫画ですが、斎藤さんのエッセンスが詰まった“やばい”漫画だと思います。

僕も着用しまくっている斎藤さんのTシャツやスウェットなどはこちらから買えますよ!
トースト / 斎藤潤一郎商会 

おおきなお

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おおきなおさんと僕とは、学科は違うながら大学の同級生で、ある座学の授業が一緒だったことから知り合いました。はじめはおとなしそうな印象でしたが、カルチャーへの造詣の深さと幾度もの屈曲を経たかのような独特の視点から、この人ただものじゃない…という印象を次第に抱き、そのうえ洒脱なイラストレーションも描くと知って、いつか雑誌に誘いたいと思うに至りました。

普段はアート分野とは関係ない仕事に就くOLながら、「おおきなお」あるいは「なまやけ」名義でイラストレーションの仕事もしているので、お仕事を頼みたい方はぜひツイッターなどからどうぞ。一冊まるまるイラストレーションを担当している『はたらく女子のオフィスで「カベ」ストレッチ』もチェック!

おおきさんは今回漫画を描いたのがものすごく久しぶりだったそうなのですが、話をまとめる力と絵のうまさ、そしておおきさんらしい視点の置き方に大変感心しました。面白いです!読んで!


④田中杏佳

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(「天使と悪魔」『すいかとかのたね4号』より)

すいかとかのたねでは「普段漫画を描くことのない友達に漫画を描かせてみよう」という意図でオファーをすることがあるのですが、田中さんはその中でも特に驚くほどのクオリティの漫画を描いてくれたゲストでした。2号に描いてくれた最初の漫画は先日noteで公開しています。

田中杏佳『ミノムシ』
https://note.mu/suikatokanotane/n/n5931ce93a28e

2号での『ミノムシ』に感銘を受けた我々は、その後もたびたび田中さんに漫画を描いてもらっています。毎回新鮮な驚きのある意欲作を描いてきてくれるので今回も出来上がりを非常に楽しみにしています。
田中さんの家は先日の千葉県の台風で大きな被害のあった地域だったのですが(実際被災もしたそうです)、それでも描いてくれると聞き、申し訳ないと思いつつもとても頼もしく思いました。

すいかとかのたねイチ押しのゲストです。ぜひ漫画読んでみてください!


『すいかとかのたね6号』の情報

というわけで『すいかとかのたね6号』は11月24日(日)のCOMITIA130で発売です。
これまでで一番のボリュームとクオリティでお届けします。ページ数が多いぶん値段は少し張ってしまうかもしれませんが、それに見合った本になっていると思います。ぜひ見に来てみてください。
それではコミティアでお持ちしています。

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すいかとかのたね6号
メンバー:コバリ、近藤ていゆう、坂上暁仁、中山望、野口明宏、丸山タオ、三橋光太郎、望月浩平
ゲスト:斎藤潤一郎、INA、おおきなお、田中杏佳
デザイン:中山望
判型・ページ数:A5・304P(分厚い!!!)
価格:未定

バックナンバー含めこちらからご購入いただけます。活動の糧になります。 → BASE

完成後の記事はこちら。自信作です。収録作品のダイジェストが見られます。

漫画雑誌「すいかとかのたね」のラジオ・ブログを更新します。