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生き物で溢れかえる世界は。

いやぁ、これまたイイものを観ましたよ・・・

という3月31日の筆録。

何を隠そう、タスクに追われておりました。4月公演『ぼりサー学園』すらとっくに終わっているのに今更の『変ウシ』です。やめとこかなぁーと思ったのですが、当時の手書きのびっちりメモが涙ながらに訴えてきたので書かざるをえなくなりました。というのは本心じゃない。書きたい、と思い続けて1か月経っただけです。それほどに素晴らしい作品を観たのです。ブランク&彼方の記憶ゆえの駄文、お許しください。。



『キャップスマホ』

あー~いるいる。完全に目ぇ合ってるんだけどーってやつね

振り向いた瞬間の「キャップスマホだぁ~!!!」はもう掴まれすぎましたね。キャップスマホかぁ~!!!

高圧的な喋り方なのに、どんな相手にも寛容なツユタニさん。真っ直ぐで、アニメチックな青年。この2人はきっと世界を救ってくれる。

”ココロ”を言葉に変換するのが本当にお上手だな、と改めて。「心のバッシュ」は「恋」よりも”恋”を表してますもんね。


何て言うのか分からないですが、このOP前のコントの位置づけがすごく好きです。そのライブの方向性をかっちり決めるわけでもなく、かといって今回のカラーみたいなものはそれとなく伝わってくる。公演中をふわふわと漂う一本。意外と一番練ってたりして。。

《この人の電話相手は、なんかすごい所に芯があるんだよな》



『トントン』

うん、どこからでも切れるんだもんね、真ん中をいく権利はあるもんね

泣き言に付き合ってくれる優しいお友達。台詞以外の「うん、あぁまぁそうやなぁ」みたいな拾われているのかすら怪しいあの相槌と、あの感情と連動する絵に描いたようなへの字眉に、どれほどのファンがいることでしょう。あぁ尊い。。

しかしまあ、優しさと寛容さは一対ではないということを知らしめてくれた作でもありました。と言いますと、、そらぁ理不尽にうだうだ言われたら「まだ言うかっ!」だし、歩道橋スキップ野郎には正論ぶつけないと悲劇は防げないからね。うん、そう、なんやけど…笑、、面前の哀しき人によう言うたなそれ、で笑ってもいいよね? コント以外でも彼らを観ている人には分かっていただけると思います。この作は紛れもなく、”浦井のりひろ”を魅せるために作られている。平井さんが、肌で感じてきたウライノリヒロが、ここにある。

《その優しさが、もっと前にあったなら》



『推理』

あー好き、コレ

グッドパートナーな探偵と刑事。純粋に演技の上手さが際立っていました。前半すごく臨場感があって、ワイン開けだす人とか、猜疑心に満ちた空間とかまで見えます。「…そうか、そういうことだったのか…!!」が綺麗にはまった上での「えええぇっ?!」(分かっとらんのかいっ!)までの間・トーン・表情が完璧。

つかつか歩き寄る→肩組む→引き寄せて離すの繰り返しがたまらんでしたね。よくアイドルファンの方々が、メンバー同士の距離が近づく瞬間にキャー!(≧∇≦)っと萌えるじゃないですか、それです。チカイっ…!肩組む時ににやけてるのっ!演技なのっ?照れなのっ?可愛いかよっ←

平井さんの髪をくしゃくしゃする動作がすごく好きで、もうこれはフェチと言ってもいいんじゃないかと思っています。そして、時間稼ぎの足踏み中に紡がれる言葉のバライエティ加減。「灯台下暗しだ。ここにあったからぁ。あそこにあったならぁ。でもここにあったからぁ。(ジェスチャーつき)」がお気に入りです。平井さんを見すぎて最近自分も手の動きが大きくなった気がします。。

《あんパン(座)には、ロマンが詰まっている》



『手品』

ほぅ、新しい…!!冒険すると同時に仕上げに来てるなこれは。

引きずっちゃってるんですね、色々←。なんにせよ、こんなにも想われた人は幸せ者ですよ。んで手品に逃げるんだ。んで逃げ切れてないんだ。褒められるのを阻止するのは、カノジョとの時間がフラッシュバックするから?男性って「すごーい」って言われるのが嬉しすぎるらしいですね、女子からしたら軽い感じでまあまあ使う相槌ですけど。それに気付いた上でコレ作ってたりしたら面白いですね。(妄想が甚だしいですね。)

ハイすごくないデース、センキュセンキュセンキュ...これ結構発明だと思うんですよ。同じシチュエーションでこの人の心の状態を表すのに例えば、浦「すごいやん!」平「ん、ぁあまぁ」みたいに言葉を充てないこともできるじゃないですか。でもこの棒読み言葉を充てることで、展開すなわちこの人の現状の読めなさが高まっていると思うのです。「すごい」と言わせたくないって、どういう…?? 解としては、混乱・放心・空洞・自暴自棄・人間不信あたりでしょうけど、それらを伝える為にこの表現を選ぶおもしろさとセンスを、推したいのであります。

《あたかも手品のように》



『デニム』

口角もロールアップ。いいお顔。今日も可愛い。

いや、よく見て。

絵画のようにシンメトリーな面。笑っているのに冷たい表情。虚ろな眼。今彼には、心が欠けている。そんな彼の隣でにこにこマイペースで居るのは、「モノクロだった景色は鮮やかに色づいた?」...世界の彩を知る人。他人の痛みが分かる人。誰かのために一生懸命になれる人。

この作品って、ありふれた所に落とし込んでいないんですよ。要するに、”他人のためを思って行動したことで見え方が変わったよ!”ではないのです。行動した彼(平井さん扮:B)の景色は初めから変わっていない。そして彼(浦井さん扮:A)は、Bの”他人のために頑張る姿”を見て、世界が変わった。与えたわけでも獲得したわけでもなく、自ら感じて気付いたのです。さらには「そのまま世界に放ちな!」と輪を繋げようとしている。...新しい道徳の教科書に載りませんかね?眼福、いい言葉。ありがとーーーう!!

《デニムの意思は無視して》



『来ました』

一瞬、何のことか分かりませんでした。盆ちゃんと正ちゃんが、、あぁそういうことか。他の方も仰ってましたが、今のお二人の心中を投影されているのかと。忙しいってのは、ありがたくて、めでたくて、幸せなことなんだ。自分に言い聞かせて奮い立たせている、半分はそうかもしれません。でも、無理しないでって止めないでほしい。今しか出来ないことばかりだから。

今回も衣装とか小道具とか台詞のセレクトがいいですよね。”おじいさん”に敬意を表した魅せ方といいますか、ちゃんと年の功を感じられます。あと、”泣き”の上手さ。ぐっと来ちゃった瞬間とか、こらえて呂律が回らなくなるとか、言葉を詰まらせて泣き始めるとか、泣きながら指し合うとか、すっごく細かい。人間らしさを慈しむ作品だなぁと。おじいさんになっても、こうやって二人で居てくれたら嬉しいな。



『闇』

心の闇、か。なんか色んなことを考えさせられた一本でしたね。

”闇がいい奴”っていう設定は勿論おもしろいですし、思春期・反抗期な小僧との対峙もなんだか微笑ましい。『親子』を想起しました。でもその外枠だけじゃなくて、”自分の内なるものと対話している”という状況(設定とは区別したい)。これが、男性ブランコ独自の視点であり技術であると思うのです。要は、闇(心)を具現化/擬人化してパーソナリティを乗せているのですが、所有者と内包物の関係性は崩さない。「お前には心の闇しかいないから、だから、見るに見かねて、ちょっと光みたいなこと、してみたんだよ」...読点ごとに声がしぼんでいく読み方が、これ以上ないほどに美しく巧妙です。自分の役目を超えることはどうしても出来ず、致し方なく引っ込もうとする。所有者の彼は自身の心の二面性に気付き、”心”と共に闘う決意をする。。

...「だぁめだぁ」(だめなんかいっ!)



『ウミとウシの隔たりを合致させる仕事』

可愛い。以上。

ひとつ気になるとすれば、コレ、どういう説明受けたん?



『 その島』

これはもう、演劇ですなぁ、、ずっと観てられるし、これだけでお金とってもいい位よ。さっきまでネタがポンポンと置かれてきたギャップで、明転時の雰囲気とウミネコの鳴き声によって、ちょっとした緊張感と共に世界観にぐっと惹き込まれました。

丁寧な言葉選びで、”彼ら”を表す。カマタの、気持ちを乗せた愉快な言葉と、アズミの、大人の振りしたストレートすぎる言葉。そんな二人が見せてくれる景色。うん、見えました、兄弟杉とその間からの海。筆舌に尽くしがたい自然の宝に目を遣り、固まっていた心を解きほぐしていく。。

「よそ者だから助け合う、勇気を持って信じ合う、礼儀を重んじる、この島に敬意を払う。それがこの島を生きる資格だ。」「帰りたけりゃ帰ればいいし、居たけりゃ居ればいい。」...社会の暗黙の条理であろう。

『その島は、地球の上に生きている』...なんと深いことか。反芻するほどに鳥肌が立つ。嗚呼、本当に良いものに触れたなぁ。んで、タメっていいね。あったかいね。



【雑感】

烏滸がましいのは承知で書かせていただきます。

本ライブのネタ一本一本から感じたのは、”降りてきたな”

一番は『手品』です。日常×実体験で、東京03感がありました。『キャップスマホ』『推理』もコントコントしていて笑いどころを固めてるなぁ…ちょっとハナコ感がありました。要は、ほんの少し男性ブランコの世界から離れて”コントの世界”に歩み寄ってきている、雲の上から”地上”に降りてきている感じがしました。もう言わずもがなですよね。時は確実に進んでいるんだな、と思いました。努力が実を結び、憂いなく好きなコントを出来る日までのカウントダウンは始まっている。


あ、気になりました?《←コレ→》筆者が、訳わかんなかったお気に入りのフレーズです。正確には、《分かりそうでよく分からない》。。異空間を漂うような、ここにしかない言葉のような。

平井さんの意地を感じます。僕らのセカイは、譲れない。言葉遊びは、止められない。意味なんて、なくてもいいじゃない。



皆様の明日が、美しく彩りますように。

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