隣の犬に癒やされている。


数年前から猫ブームが続いている。
我が家にも猫がいる。
父親が拾ってきた猫だ。
拾ってきたはいいものの当時、存命だった祖母の許しが出ず(父は母と随分前に離婚して祖母と暮らしていた)
【ええ歳して親の許しがでないとは情けない】と肩を落とす父を見かねて預かることにした。
母親は私が猫を飼うことを嫌がるだろうなと思った。
今にして思えば同居しているわけではないのだから、どうということはないのだけれどその時は、母親に反対されたらどうしようとそんなことを思っていた。
子猫は手のひらに乗るほど小さかった。
手のひらに乗るほど小さい子猫は、3歳になったばかりの息子のあとをヨチヨチとついていった。
母親が言った。
『虎柄のズボンを履いてるから仲間やと思ってるのかもしれんな。』
息子が履いていたハーフパンツは、
山吹色と黄色と黒色が交差したチェック柄だったけれど私は
『そうかもしれない。』
と合わせ
『○○○【息子の名】は、寅年だから、これも何かの縁だと思う』
と江原啓之や下よしこの本を所持している母親が喰い付きそうなセリフも付け加えた。
『守り神かもしれへん』
と母親が言いうので
『そうかもしれへん』
と頷いてみせた。

妹は猫を『キララ』と呼び夫は猫を
『あんこ』と呼んだ。
間をとって『キナコ』と名付けた。

キナコが我が家に来たときに私は臨月だった。
陣痛が始まり病室のベッドで赤ちゃんをいきんでる最中も
私がここでくじけたらキナコが・・あっ、違う違う 長男が・・・
と脳内訂正するほどに私はキナコのことを思っていたのにキナコは私に、
まったく懐かなかった。
そのかわり夫のことは大好きだった。
夫も満更ではなさそうだった。
よく漫画で猫の気持ちを察知する飼い主の話があるが私はまったくわからない。
私をみるキナコの目はガラス玉のようである。

そんな日々だったのだが、隣の家の人がポメラニアンを買い始めた。
ポメラニアンは、真っ直ぐに私の方へとかけてくる。
撫でると嬉しくてたまらないというふうに尻尾をふる。
動物と気軽に触れ合えるなど夢のまた夢だと思っていた。 
そんなわけで隣の犬に癒やされている。

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