夕方の風

懐かしい風、夕方の風。
過ぎ去った過去、遠くで聞こえる声。
散り散りに泳ぐ、群青の雲。
サラサラと流れる、肌寒い風。
自転車を漕ぐ、ハンバーグの匂い。
あの時のあの風、似ているようで違う。
変わらない風、変わってしまった僕。
懐かしい風、手に入らない思い出。

思い出すことしか許されない、残酷な風。
それでも覚えているからこそ、思いを馳せ。
手放したい苦しさも、僕のものだ。

夕方の風。
僕を苦しめ、理不尽を魅せる。
この風が好きだ、ずっとこの時間が続けばいいのに。
窓を閉める、夕方の風。
思いは遠く過去に、明日の風もきっと。
あの時と変わらない、夕方の風。


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