すいひよ

水瀬彗(@suisui_ikiyo)×宇禰日和(@une_hiyori)による、交換日…

すいひよ

水瀬彗(@suisui_ikiyo)×宇禰日和(@une_hiyori)による、交換日記。 お好きなことを、お好きなように。 ※二人ともぼちぼち人間してる為、記事の更新、季節などはランダム。ご堪忍。

最近の記事

さくら ちるち る

少しだけ甘えてみてもいいですか、手に触れてみたいんです どんな世も本当の救いなんてないこと知りながら帰り道買うハーゲンダッツ(まっ白な味) タータンチェックが交わる前は みんな色鉛筆みたく並んでいるの? 幼子の拙い舌を見るたびに 空っぽの腹、過り 呑み込む あなたを産みたかった 。 。 。 。 、、 。 。 、 好きなひとを産みたかったと思ったことはありますか? それは、この人がもうさみしくかなしい思いをしなくてすみますように、という思いにも似ているし 穏やか

    • 向こう側

      記憶の中のあなたはいつもフィルムカメラを持っている。何でもないような仕草で、何でもないような顔をして、何でもなくない写真を撮るあなたが、わたしにはずっとまぶしかった。あなたが撮った写真が好きだったし、写真を撮る時のあなたも好きだった。趣味で、撮られる仕事、いわゆるモデルみたいなやつ、を始めてからは苦手だったレンズを向けられることも克服し、時折、あなたが風景に混じって撮ってくれたわたしはどこかわたしではないような仕草でわたしではないような表情をしていた。まるで別人、みたいな。他

      • わたしは30歳になった 結婚してくださいと言ってくれた人がいるから、東京から離れる予定だ。 落ち込むことが多いわたしが「これがデフォルトです」というと「それは一緒にいるのキツイ」と正直に答える人 出来ないことを責められるとがこわく何も出来なくなってしまったわたしに「出来なくてもいいけどやらないことは怒る」と当たり前のように告げる人 わたしは生活をしていけるのだろうか ひとりはとてもこわい そばにいてくれることで何かが変わる可能性があるなら、それをみてみたい。 向

        • 桜の樹の下には

          桜の樹の下には屍体が埋まっている! 誰かがそう言っていた。それを聞いてしまった幼い頃から、わたしは桜が怖くておそろしい。 もとを辿ると梶井基次郎の『桜の樹の下には』らしいのだが、まだ読めてはいない。 きみは、あたたかな雨の日に、桜を見に行こう、と急に言い出した。それがわたしが18歳の時。快晴で満開の桜の樹の存在感威圧感ったら、、でも今日は雨だし少しはやさしくしてくれるだろう。靴も靴下も、ズボンの膝下だってぐしゃぐしゃになりながらわたし達は近場の4つの公園をまわった。なんとな

        さくら ちるち る

          赤いラベルのあまいそれ

          夏はピーチネクターが恋しい。 ベッドの上で、すべてが終わったあと、なまぬるくなった甘ったるい液体がゆっくりと喉を流れるあの瞬間は色んなものごとを都合よく不明瞭にしてくれる。 夏も、行為もどうも好きになれないわたしは、ぽつんと何処かもわからない場所にただ浮かんでいて、今夏24歳を迎えるのにも関わらず、何が正解か未だに解らない。夏が嫌いなのに夏生まれで、毎年きっかり歳を取るのも気に食わないし、行為が嫌いなのに、行為無しでは成り立たない関係がある事実にも嫌気がさしてしまった。

          赤いラベルのあまいそれ

          こころゆたかに

          道徳の授業で先生が黒板の真ん中に 家族 と書いて 今日の議題はこちらです。さぁ、家族と聞いて思い浮かべるものを答えてください。とおっしゃいました。 道徳の教科書の表紙はさわやかな水色で こころゆたかに と書かれていたのを覚えています。 先生に当てられた順に答えます。 「こども」「結婚」「愛」「しあわせ」 わたしは何も思いつかなくて「家庭内暴力」と答えました。 先生も教室もクラスの子も一瞬ぴたっと止まってしまって、そこで失敗したことに気がつきました。道徳は、数学や国語や理科

          こころゆたかに

          指先

          歳のわりにサラッとした、水面をすぎさる夏風のような人 そんな第一印象でした。 共通の知人にあなたを紹介されたとき、わたしは少し戸惑ったことを初めてここで告白します。その戸惑いはおそらくあなたに対して失礼なものなのではないかと考え、あなた自身を見てみたいと思ったのです。 わたしはくだらない人です。 男だとか女だとかそういったものに囚われて、後から後天的に知識を溜め込むような脳みその持ち主です。 初めて2人で話した喫茶店を覚えていますか? わたしは、やや緊張気味に、先

          独白

          「手紙」はその一通で完結するものでなくてはならない、そう言った彼女は元気だろうか。そしてこれは恐らく、彼女の言っていた、「手紙」の類いになるんだと思う。 あなたは、その彼女にすこし、似ていた。アンニュイな雰囲気や、纏っている紫に似た色とか、あとはちょっぴり、この世の中で生きづらそうなところとか。 友だちの写真展で初めて逢った日から、 わたしはあなたに見初めてしまった。 正確には、初めて逢ったのは写真の中のあなたで、なんてつよい表情をするひとだろうと。目が離せなくなったその

          些細なる誓い

          なんで、言い出しっぺが泣くの。 赤らんだ頬と鼻、濡れて艶のある睫毛 無造作に机に散らばるティシュー、 なにか堪えたように噛み締めた下唇、 震える肩、俯いた横顔、 ところどころハゲかけたペディキュア、 吸いかけで口紅の付いた煙草も、ずるいでしょ、 ぜんぶ、愛おしいもの、わたしには。 飲み込んで飲み込まれて、 もう許すしかないじゃない、わたしは。 こうやって幾度だって、ふたりで死と再生を繰り返して、それでも続いていけたら。もう他に望むものはないなあ。 折角、どうせ泣かせる

          些細なる誓い

          ニトロ

          思い出をひとつひとつ溶かして生きていけたら、それはきっと幸福のかたちなんだろう。 舌下に誰も見えないように毎朝一錠ずつ飲み込まずに溶かす。溶ける速度がゆっくりであればある程、身体に確実に浸透していくような気がする。 散歩で歩いた車通りの多い道も 加湿器と暖房がマックスでついて肌がベタつく室温も お風呂上がり差し出されていた冷たいルイボスティーも 声も匂いも 眠っているとき呼吸がくるしくなるくらい抱きしめられた腕力のきつさも 全部全部書き表せないくらいの何の変哲も

          わたしの中の河原

          爪を短く切った。 ずっと長い爪でそれにとても慣れていたし美しく飾り立てると誇らしく、世間の嫌な面倒なことに爪を立てて引っ掻いてでも立ち向かっていけそうで好きだったのだけれど、流石にパンを捏ねたりするには邪魔で一度短くしようと切ってしまった。 久しくみていなかった、短い素肌の爪はしじみの貝殻のような所在なさげな弱々しさだった。 そうだ、わたしはずっとこんな姿形をしていた。 幼い頃からやることなすこと全て叱られた記憶しかなく、そのうち何か行動することがこわくなった。他人の

          わたしの中の河原

          親愛なるレイラへ

          台風の中、わたしに荷物も履いてたハイヒールも持たせて裸足で雨の中駆けてゆく彼女を追いかけながら、うわー好きだーと、思ってしまった。 彼女はとても自由なひとだから。 本人曰く、私は鳥籠で飼われてはいるけれど鳥籠の中では別に自由に飛び回れるでしょう?との事らしいけれど、その不自由の中にある自由さを愉しむ事のできるところにわたしは惹かれたのかもしれない。 何度、羨ましいと思っただろう。 彼女のその愛嬌が、その見た目が、そしてその奔放さが。昼夜問わず、とにかく、その時は眩しくて

          親愛なるレイラへ

          拝啓 友だちのわたし

          あの子と会えるのを、遊ぶのを、話すのを楽しみに待つわたしはあの子の友だちになれたのだろうか。 大人になって、職場や、仕事終わりに寄ったバー、居酒屋などで仲良くなった人たちが増えていく。物質的なiPhoneの重さは変わらないのに、連絡先が増えるたびに重たく感じる。 仲良くなりたい、と、あの子に興味があっても、わたしの指はあの子には連絡をしてくれない。気まぐれなあの子から連絡があれば、わたしたちは会う。そうやってくっついたり離れたりしながら、時間は流れていく。 いつだか、1季

          拝啓 友だちのわたし

          2020.0831

          からだからつるつると熱が落ちていってどこまでわたしは凪いだ海なのって、泣きながら思う。 好きなまま別れて これが最後のさようならなんだと実感する 会えないままのさようなら 東京での生活も、友達も、人も、仕事も、趣味も 全部捨ててもいいと思っていたけど 結局全部捨てきれなかったからさようならをすることになった。 わたしの腕を見て 「死ななくてよかった。って思う」と言ってくれた。 いつも抱きしめて眠ってくれた。 プレゼントしてくれたパジャマは着るたびにあなたに

          還る場所

          何年ぶりかに会った、高校生の頃好きだったひとに「あなたつまらない大人になったのね」と言ったことを、今でも後悔している。 こんな世の中の社会人になんてなるもんか、と息を巻いてタトゥーを入れたのは高校を卒業した18歳の頃。あれから5年が経ち、うまく社会に適合することも儘ならぬまま、わたしは半分ぽっきり、大人になった。 きっと傷つくだろう、そう確信を持って悪意を込めて言ったのに、ただあなたは笑って、「これは私がなんとか生きていけそうな方法だから」と。 そんなのってない、出会った

          還る場所

          世界平和の扉

          眠れなくて4時 時計は6時をさしている わたしは一瞬寝たのだろうか 眠気はあるのにうまく眠りにつけなくて、からだを丸めてみたり、楽な風に寝っころがりかたを変えてみたけれど、どれが楽な転がりかたなのか分からなかった。 イライラして、身体を締め付けているのがいやになって、むくみをとるための靴下を無理やり脱いで、パジャマにしてるシフォンのワンピースを脱いだ。裸のまま布団に寝そべってみたけど何も変わらなかった。窓を開けてそのまま風をいれたけど変わらなかった。 変わらないことは悪いこ

          世界平和の扉