試作7 物錬磨

二律背反とは何事にも付随するもので、仕事のような専門的なものから日常にある何気ないものにまで蔓延っている。美味いものが食べたいが、金がない。そもそもこの金を食費に使うべきか。格安だった品物はたった今壊れた。私は出不精なもので大量消費よりも末永くという思想に適している。物持ちがいいというよりは往生際が悪いという感じで、昨今のSDGsには馴染むのかもしれない。相反する感情に振り回されながら値札を見比べる。50円の違いについて1時間悩むのだとしたら、時給50円といったところか。それでも、高価なものほどすぐ壊れる、気がする。気のせいだとは思うが。そのような失敗体験を積み重ねるとより安いものを求めるようになるのかも知れず、戦々恐々としている。もしかすると必要最低限度から下回って切りつめを行っているのではないか。生命の危機が訪れているのではないか。不安である。やはり最低限度のものは自らに回答を付与しておきたい。礼節や愛は自給しておきたい。食事や衣類、嗜好品を自給するには何が必要なのか。田舎に閉じこもるしかないのか。インターネットが発達し、テレ何某が普及している今こそ好機なのでないか。もはや不安でなく欲求不満としか言いようがない。そのくらいの悩みである。

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