突然照明が消えて真っ暗になった。もうそんな時間になってしまったのか。 何度も来ている、はわい温泉の足湯である。夜九時になると、自動で照明が消える。一日の仕事…
旅館水郷 岸田篤周
2023年2月10日 01:26
突然照明が消えて真っ暗になった。もうそんな時間になってしまったのか。 何度も来ている、はわい温泉の足湯である。夜九時になると、自動で照明が消える。一日の仕事を終えた温泉宿の従業員が、次々と車に乗り込んで帰って行くのを横目に見ながら、今日はもう進展はないだろうと腰を浮かした瞬間のことだった。「歌蓮ちゃん、お酒はだめだよ。これから忙しくなるからね。」 まるで心中を見透かされたかのように、鋭い声