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#41.友達でもそんなふうには傷つけない/Nieve Ella - The Things We Say

おはようございます。今朝は新作なんですが、今回の記事内の公式動画にはかわいい羊さんが登場します。こんな変な模様の羊っているのかな。ひょっとしたらペイントでもしたのかなと思ったんだけど、動画を見てると本物っぽく思えてきます。

別に羊が登場するから取り上げたわけじゃないんだけど、今回の記事はこの曲にしようと思って、公式動画を見たら羊が出てきたってわけです。そういう偶然ってあるものなんですね。


大人になって友達とケンカすること、あるいはケンカをしたことって、ありますか? 友達がいない人はケンカのしようがないけれど、子どもの頃になら友達とケンカした経験のある人が多いかもしれません。子どもの頃にも友達がいなかった人は……。

とにかく、サザエさんでもカツオくんと中島くんがささいなことからケンカして絶交を宣言するけど、いろいろあってけっきょく仲直りするというストーリーがときどきありますね。

そういう子どもの頃の友達とのケンカなら後腐れもないけれど、これがある程度の年齢を重ねて、大人になったあとの友達のケンカなら、かえって仲直りするのも難しい、そんな気がします。

大人になってから友達とケンカすることもそんなにないんだけど、だからこそ仲直りが難しい、みたいなね。わたしも経験がないわけじゃあない。それで仲直りしたかというと、そんなことはなく。けっきょくはケンカ別れ、みたいな感じです。

これはまあ、しょうがないですね。そもそも向こうがこっちを友達だと思ってなかった、みたいな悲しい可能性だってないわけではないしさ。

ところで、大人になってからのケンカってさっき言ったけど、「大人」と言ってもそれこそ年齢層は広い。20歳そこそこから80歳、90歳という幅がある。70歳とか80歳くらいの老人になったらケンカする気も起きなくなる、というわけでもなさそうです。

年を取るとかえって怒りっぽくなるのか、抑制が効かなくなるのか、お年寄り同士のケンカが発展して警察沙汰になっちゃったっていうニュースもときどき見聞きしますし。そういった「大人」になっても、やたらケンカっ早い人はそれはそれで困ったものですが。

それはさておき、大人になってからは友達とケンカするよりも、恋人や配偶者とケンカする方がずっと多い。恋人や配偶者といった深い結びつきを持つパートナーだからこそ相手を深く傷つけて、そしてまた自分も深く傷つくこともある。

Nieve Ellaの"The Things We Say"は、誰かを深く傷つけたあとの心情を歌います。

Nieve Ella - The Things We Say (Official Visualiser)

この曲では「私」が深く傷つけた相手について、はっきりとは言及していません。ただ「そんなふうに友達を傷つけることはないだろう」という一節があるので、「私」が傷つけた相手は友達以外の関係の人、ということになりそうです。

いろいろと想像が広がりますね。恋人かもしれないし、配偶者かもしれない。あるいは親子ゲンカかもしれないし、兄弟ゲンカかもしれない。聴く人によって、どんなふうにでも解釈できそうです。だからこそ、聴き手の側の経験を重ねやすいのかもしれません。

この歌詞に出てくる"driveway"というと、有料道路やバイパス道路みたいなものを思い浮かべてしまうけど、ここでは公道から自宅の車庫までの庭を通る道、みたいな感じのものだろう。"driveway"に立つ「私」を近所の人や花が見ているから。

「私」は関係性の深い誰かとケンカしてしまった。友達でもそんなふうには傷つけないだろうというくらいに。そしてその誰かは家から飛び出し、ものすごいスピードで車に乗って走り去っていった。この曲からはそんなストーリーが見えてきます。

そして「私」は、去っていった誰かのことを思いながら、「そんなふうに友達を傷つけることはないだろう」と、何度も繰り返します。去っていったのは誰なのか? どんなふうに傷つけてしまったのか? 想像と疑問は尽きません。答えは聞き手次第です。

あるいは、その誰かに傷つけられたのは「私」で、その誰かが「友達でも(私を)そんなふうに傷つけないだろう」と、恨んでる可能性だってあるかもしれませんが。


※ひつじのはなし|Good Morning! Musicは、水月羊(the Maverick Black Sheep)が大胆不敵にも音楽(主に洋楽)エッセイを書こうという目論見と試みです。洋楽の曲を聞いての感想や解釈のエッセイ、コラムとなります。気になった曲の歌詞の意味はそれぞれ訳してみてください。また違った見方ができるかもしれません。


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