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#sp11.この冬のヘビーローテーション

おはようございます。2月最後の水曜日。もうすぐ3月、いよいよ本格的な春がやってきます。というわけで、第5水曜日ではないけれど、いちおう一区切りということで、この冬のヘビーローテーション。

今回はわりと自分に自信満々というか、主体性を持った自己肯定感の高い自分自身を歌った曲の3曲。自己愛と自己肯定感って紙一重のようにも思えるけど、今回の3曲の主人公たちは、ちょっと間違えば自己愛に陥ってしまいそうな自己肯定感の持ち主ばかりです。

3月はそんなふうに高めの自己肯定感でいきたいですね。まあ、わたしはいつもそうだろって言われればそうかもしれないけど。


「友達以上恋人未満」の関係の異性って、ある程度の大人になるといなくなるんじゃないかな。考えてみれば、ある程度の年齢になって結婚して、それなりに責任ある大人に「友達以上恋人未満」の存在がいたら、ちょっと面倒なことになりそうな気もしないでもない。

そういう意味では「友達以上恋人未満」という関係の異性は、ある程度若いときに存在するもの、みたいな感じじゃないかな。若いときの特権というかね。

まあ、結婚してある程度の年齢の大人に「友達以上恋人未満」の存在がいたって別にいいんだけど、自分だけの問題じゃなくなるでしょ、みたいな思いがどうしても先立ってしまう。責任ある大人は異性の友達くらいで止めておいた方がいいかもね。

ところで、英語(のスラング)で"Boo Thang"というと、「付き合ってないけど好きな異性」みたいな意味合いのようです。仲の良い異性の友達、みたいな意味合いかな。まさに「友達以上恋人未満」という感じでしょうか。

Paul Russellの"Lil Boo Thang"は「友達以上恋人未満」の関係にある異性への想いを歌った曲。邦楽でも「友達以上恋人未満」を歌う曲だってあるので、それのパリピ感が強いヴァージョンみたいな感じですね。

ただ、「友達以上恋人未満」ではあっても、この曲の主人公である男性は、この"Boo Thang"のことがどうも好きみたいで、「次の彼氏は俺だ」みたいなことをとにかく明るく歌ってます。

歌詞には「自分の歯にはゴールドが入っていて、すごく似合ってるんだぜ」みたいな、よくわからない自慢めいたフレーズもあります。日本人の感覚だと、歯にゴールドが入ってるって、そりゃただの金歯じゃないか、みたいに思わずつっこみたくなりますが。

とにかくそれだけ自己主張が強くて、自分にものすごい自信があるというか、自己肯定感が高いというか、そういう感じがひしひしと伝わってきます。まあ、へたにジメジメベタベタしてなくて、明るくカラッと朗らかに歌っているところがまたいいですね。

Paul Russell - Lil Boo Thang (Official Video)

ちなみのこの曲は1977年に発売されたThe Emotionsの"Best of My Love"をサンプリングした曲。こちらの元曲の方は、恋人へのストレートな愛を歌っています。

The Emotions - Best of My Love (Official Audio)


自分の体型を気にしている人は多いと思います。痩せていても太っていても人それぞれだし、無理に理想の体型に矯正することはないよね、とは簡単にはならないところがまた難しいところ。そもそも「理想の体型」を手に入れている人ってどれくらいいるのかな。

そりゃまあわたしだって「理想の体型」かと言われれば、それは違うなあとしか言いようがないんだけど、これはもう今あるものをことさらに否定したってしょうがない。今こうなってるんだからしょうがないよねえ、くらいのメンタルでいいような気もします。

とにかく、「理想の体型」なんて価値観を押し付けて危機感を煽り、商品やサービスを買わせたりするのは業界や企業の目論見だ! と言ってしまえばそれまでだけど、痩せてるにしても太ってるにしても心身の健康を害する場合もあるので、一筋縄にはいかない。

さて、英語の"thicc"には「厚みのある」、「がっしりとした」、「太い」などの意味があります。これがスラングになると、ふくよかな体型の女性、しばしばお尻の大きなセクシーな感じの女性のことを指すようです。

日本人の感覚だとお尻の大きな女性にセクシーさを感じるかどうかは人それぞれですかねえ。どちらかというと、当の女性はお尻の大きさで悩んでいる人の方が多いような気がしますが。まあ、ここではそのあたりには深入りしません。

Shygirl & coshaの"thicc"は、まさにそういうふくよかな体型の女性が熱烈な愛情を訴えている曲。「一口だけ(飲ませて)ほしい」とか、「分厚くてジューシーな私」みたいなふうに求愛を飲食でたとえているので。

Shygirl - thicc (ft. Cosha) (official music video)

この曲くらいに、自分の体型に対してポジティブに考えたほうがいいというメッセージも込められているのかもしれないね。そんなふうに聞くと、多くの人々が体型を気にしすぎなんじゃないかな、という気もしなくもない。


友人、恋人、夫婦など、あらゆる人間関係はいつまでも同じ状態が続くとは限らず、ささいなことからヒビが入ってしまったりしますね。いったん入ってしまったヒビは修復が難しい。アリが開けた小さな穴から水が侵入して堤防が決壊するみたいに。

特にこれが恋人関係だとちょっとしたすれ違いから関係が壊れてしまうのもよくあること。Sabrina Carpenterの"Feather"の主人公の女の子もまた、恋人とのささいな行き違いから相手とのあいだに決定的な亀裂が走り、そして別れを告げます。

Sabrina Carpenter - Feather (Official Video)

この曲の主人公である女の子、恋人に別れを突きつけたあとに羽根のような軽さを感じると歌います。あなたのことを考えなくなったら、羽根みたいに心がラクだと。あなたとの思い出を思い出すのも時間の無駄だと軽やかに言い放ちます。

人間が生きていれば人間関係から離れられないもの。恋人や片思いの相手みたいな恋愛だけじゃなく。家族や友人、上司や同僚、先輩後輩などなど……、ありとあらゆる人間関係が複雑に絡まり合っています。一気に切り落としてしまいたいくらいに。

だから、すれ違いの生まれた恋人などの特定の人間関係を断ち切ったら、心が羽根のように軽くなるのは、ちょっとうらやましい感じの軽やかさですね。ささいなすれ違いを我慢したり、あるいはそこから言い争いなどに発展して疲弊するよりはずっと健全ですよ。

もちろん現実にはそんなふうにドライに割り切ることができないからこその人間関係なんだけど、だからこそ上記の公式動画の中で、女の子(サブリナ・カーペンター)は次々に男たちを残酷な方法で葬り去ります。それこそ人間関係を一気に切り落とすように。

こんな残酷な方法で次々に男を葬り去ったなら、スッキリして心が羽根みたいに軽くなるのかもしれないけれど、なかなかのホラーですよ、これは。気持ちはわかるけどね。


※ひつじのはなし|Good Morning! Musicは、水月羊(the Maverick Black Sheep)が大胆不敵にも音楽(主に洋楽)エッセイを書こうという目論見と試みです。洋楽の曲を聞いての感想や解釈のエッセイ、コラムとなります。気になった曲の歌詞の意味はそれぞれ訳してみてください。また違った見方ができるかもしれません。


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