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水道局との懇談(解説編)

前回の続きで懇談の内容について解説します。

前提

私たち市民の会は水道料金の値上げ分で公共設備である水道管更新や耐震化をすべて賄うことに疑問をもっています。決して「水道料金を払わない」と申し上げているのではありません。

「水道」の会計は実に複雑で、一つの事業なのに「収益的収支」と「資本的収支」とで構成されています。皆さんの支払う水道料金は「収益的~」に含まれ、この分だけで言いますと川口市の場合は黒字です。しかし、「資本的収支」に含まれる水道管や浄水場・配水場の設備維持・管理に要する部分は赤字で、これをみなさんが支払う「水道料金」の黒字で補っているのです。

複雑だと申し上げました。ここまでに登場したのは利用者である「市民」と事業者である「川口水道局」しか登場していません。少し乱暴に金銭的なことを表現すると、川口市水道局と川口市は別個の存在になっています。川口市は、財源的にはほとんど「水道」にコミットしていないのです。つまり財源補てんをしていません。どうしてかと言うと、「水道事業は独立採算で」という規定(地方公営企業法)があるからです。この設定ではとても無理だ大変だ、というのは私たちばかりか川口市議会も認めている事で、国に補助を求める意見書を市議会全会派一致で採択しています。
その事を踏まえて、私たちは、単純な水道料金の値上げだけではない方法はないかと、「準備編」に書きましたように、水道協会の報告書やアクアプランを読み込んで、水道料金(=皆さんの支払い分だけ)に依拠するのではなく、黒字である市(財源)の一般会計から補填できそうな分は無いかと、探したり考えたりしているのです。

懇談の内容

さて懇談ですが、水道協会の報告書について川口市の水道局も同意しており、水道局も水道料金を値上げせずに済むようにしたいと、私たちと同じ思いであることが伝わってきました。──── なんだか奇妙な同感なんですけれど・・・・。

口頭での3つの意見

①「水」は市民が暮らしていくのに欠くことのできないもので、憲法25条の観点や公衆衛生の面から福祉医療の部分と捉え、公費負担も考慮する必要があるのではないか?

②消防という面では災害対策の意味もあり、そうした捉え方をすると水道管や施設の管理はまさに「公共の基盤」であるにもかかわらず、私たちの水道料金だけでその維持費用を賄うというのは不適当なのではないか?

③コロナ感染が収まっていないまま、現在の仕組み(独立採算)のままでは公衆衛生という点で大きな不安がある。他方で川口市は、駅前の再開発に36億円の補助金を一般会計に繰り入れているではないか!

以上3つの意見を懇談の場で述べました。

水道局の主張

水道局は、国の法律(公営企業法)の規定があり、水道事業は独立採算で運営しなければならない、コロナ対策も考慮して4ヶ月値上げを延期したが市の一般会計は限りがあり、一時の延期に限定せざる得ない。と水道料金を値上げするのは仕方がないことだと主張します。

低所得の子育て世帯に対する減免については、さいたま市を例に、さいたま市が減免を恒久的に行えるのは、川口市よりもずっと高い水道料金設定になっていて、それを財源にしているから実現できることなんです。との説明でした。
また、今回の値上げ率について、事業者の値上げ幅が一般家庭より低い理由(使用量に応じて単価が変動する=「逓増度」とか「逓増率」といいます)の説明では、これまで開きが大きかった(県内平均では2倍程度、川口市は4倍以上である)ので公平性の観点から幅を狭めた。という考え方であることが分かりました。多量に水をつかう方と(例えば市内事業者)、そうでない方(例えば市民)との使用量単価をより近づけるために少量利用者の料金値上げ率を上げた。ということです。
川口市水道局は、逓増率が拡大したままでは市内の事業者が他所に移転しまう、という心配もされています。しかし公平性で差を狭めるならば、今後も少量使用者(例えば市民)の水道料金は値上げの率を含めて上昇を続ける、という結果になりはしないでしょうか?

懇談を振り返って

司会者が言うように、堂々巡りや行き違いの感があるやりとりになりましたが、最後の方で、水道局Bが「国の制度を変えて欲しい。それで地方公共団体にお金をくれれば値上げしなくて済む」、水道局Cも「我々もそうしてほしいですよ。みなさんもそうではないですか。言っていることが同じな気がする」との言葉がありました。

しかし他方で、市税を入れて水道料金を値上げしないでいると福祉や教育の予算に影響が出るという水道局側の指摘には腑に落ちないものです。どうしても「値上げありき」の感想を抱かずをえません。水道局に財源を指定する権能があるのでしょうか?もしその権能があるなら、駅前再開発などのハコものから再検討の対象にしていただきたいです。「水」は直接「命」ですから。本来は市長にお尋ねするべき事柄なのでしょうが!市長に言うべき事を水道局に言ってしまった感があります。

まとめ

短時間であり、私たちもなかなか署名用紙に書いてあること以上の事についてうまくお伝えできないもどかしさを感じました。ですから、もう少し時間を頂戴して再懇談する必要があるのです。また不覚にも、TBSテレビが私たちの運動に注目していただくとともに全国で起きている「水道料金値上げ」問題をとりあげ放送された(21年11月14日)ことについての感想や、川口市の水道水の大部分を占める「県水」が値上げされた場合の対処方針についても質問ができませんでした。
しかし水道局の対応には誠意を感じました。文書の回答や次回の懇談にも大いに期待します。回答が到着次第、会議を開いて今後のことを考えたいと思います。値上げしないで済むよう、共に協力しあえたら幸いと考えています。

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予告

川口市市長選挙
2月6日(日)07:00~20:00
投票率を下げないように選挙権のある方は投票に行って下さいね。

スタンディング署名集め
2月14日(月)10:00~11:00
川口市市役所第一本庁舎前
埼玉県川口市幸町1丁目6−17
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