見出し画像

【重要】学校法人専修大学事件

概要

 業務上の疾病により3年以上にわたり労災保険法の療養補償給付を受給して休職を続けている従業員に対し、休職期間満了後に打ち切り保障を支給して解雇したのは有効だとされたものである。

 本件従業員は、肩こりなどの症状を訴えて頸肩腕症候群により就労できないとして、中央労働基準監督署長より業務上の疾病の認定を受けて労災保険法の療養給付及び休業補償を受給して業務災害による欠勤を継続した。欠勤が3年間継続したが就業できない状況が続いたため、学校法人の規定に基づき2年間の休職となった。
 休職期間終了後も学校法人からの復職の求めに応じなかったため、打ち切り補償として平均賃金の1200日分相当額を支払ったうえで同日解雇した。

注意点

 労働基準法19条第1項は、業務上負傷しまたは疾病にかかった労働者が安心して療養できるように、療養のために休業する期間およびその後30日は解雇してはならないと解雇制限を定めており、これに基づき業務上の負傷または疾病による休職期間満了による解雇を無効とする判断はすでに掲載したとおりである。
 しかし労働基準法第19条1項のただし書きで、使用者が打切補償を支払う場合は解雇制限は適用除外とされており、業務上の負傷または疾病による休業であっても解雇が可能となる。
 この際、解雇制限は適応されなくなるものの、解雇権乱用法理と照らして有効と判断されるためには、回復と就労の見込みをより慎重に判断するべきである。

(打切補償)
第八十一条 第七十五条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の千二百日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。

労働基準法






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?