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知覚されたストレス尺度 (Perceived Stress Scale) 日本語版における信頼性と妥当性の検討

概要

日本語版PSS (14-item/10-item) の心理測定尺度としての特性を調査した。852名の大学院生及び大学生を対象に調査を行った。また、本対象者のうち435名には、PSSに加えて、Daily Hassles Scale, Hopelessness Scale, Hopkins Symptoms ChecklistのSomatization, Depression and Anxiety 下位尺度への回答も求めた。その結果、探索的因子分析及び確認的因子分析の双方で、PSSの2因子構造が確認された。また、PSSとその他の心理測定尺度の相関から、PSSの独立性と心理学的な苦痛の予測的妥当性が示された


問題と目的

ストレス評価の先行研究

  • ストレス過程における認知的評価の重要性が指摘されているが、同時に定量評価の困難さも指摘されている

  • その中で用いられる尺度には

  • Stress Appraisal Measure (SAM; Peacock & Wong, 1990)

  • Stress Questionnaire (Folkman, Lazarus, Dunkel-Schetter, DeLongis & Gruen, 1986; Folkman, Lazarus, Gruen & DeLongis, 1986)

  • がある

  • 日本版では認知的評価測定尺度 (CARS; 鈴木・坂野,1998) 

  • などがある

PSS (Perceived Stress Scale)

  • PSS (Cohen et al., 1983) は、個人によって知覚・評価されたストレスの評定を行う

  • 対処能力を超える環境からの要求を近くした程度を示している (Cohen, 1986)

  • 予測不可能性、制御不能性、過重負荷をたずねる

  • 特定のイベントやデイリーハッスルではなく個人の生活・経験の総体ストレスを指している

  • PSSの作成、信頼性と妥当性の検証および心理学的ディストレスの予想可能性を検討

方法

対象者

修士課程の大学院生及び学部生の921名を対象
欠損のない852名を分析対象
そのうち435名はPSS+ほかの尺度への回答及び3WあとにPSSと日常苛立事尺度以外への回答を行い、欠損のない387名を分析対象

調査内容

①PSS

0:まったくなかったー4:いつもあった、の5件法
RangeはPSS-14/10 (56/40)

②日常苛立事尺度 (Daily hassles scale)

③Hopkins symptoms checklist

結果

探索的因子分析・確認的因子分析

  • 2因子構造が示唆された

  • 各因子は、文章表記がポジティブ・ネガティブなものを区別したものだった

  • しかし、尺度は一因子を測定するものであるため構造を区別する必要性はないとして一因子構造を採択 (意味がわからない)

尺度得点・信頼性係数

女性のほうがストレス知覚が高い傾向

妥当性の検討

(せっかくなので、HSCを統制してPSSとDHSの関連を分析してほしかったが、、、それが先行研究の活用につながったのにと思う)
(ストレスの本来的意義について分析が浅くなり、ただの信頼性・妥当性分析になってしまっており、ストレスやストレス知覚の妥当性に関する分析になっておらず残念だと感じる

文献

  1. 宗像恒次・仲尾唯治・藤田和夫・諏訪茂樹 (1985).都市住民のストレスと精神健康度 精神衛生研究,39,486-500.

  2. 鷲見克典. (2006). 知覚されたストレス尺度 (Perceived Stress Scale) 日本語版における信頼性と妥当性の検討. 健康心理学研究, 19(2), 44-53.


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