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【チームの対立のダイナミクスに関するレビュー】Optimizing team conflict dynamics for high performance teamwork

 (レビュー論文)

概要

本レビューでは、課題、関係、プロ説の対立に関する理論と研究を展望する。近年のメタ分析を参考に、チームのパフォーマンスとイノベーションの関連を調査する。次に、対立プロファイルの形式で対立の種類の相互作用を調査した研究を展望する。
チームの対立のダイナミクスモデルを発展させ、心理的安全性、対立マネージメント、チームパフォーマンスなどの主要概念と対立プロファイルを関連付ける。このモデルは、時間の経過に伴う対立の変化、対立マネージメントプロセスの相互作用及び負のフィードバックループを調べることによって検討する。さらに、このモデルには、チームデザインと組織環境に関係するコンテキスト機能が組み込まれる。

問題と目的

  • Korsgaard et al (2008) がマルチレベルでダイナミックな対立に関する展望を行って以降、メタ分析が実施されている

  • Korsgaard et al (2008) は対立の先行要因に焦点を当てているがその結果も加味したモデルが必要

  • Loughry & Amagson (2014) 及びBradley et al (2015) は、課題の対立が効果に結び付く条件を検討している

  • 以前のレビューは組織や環境など文脈の要因を含めていない問題点がある

マーケティングとコミュニケーションチーム

  • レビューのために設ける架空のチームを説明する

  • 「マーケティング及びコミュニケーションチーム」は金融サービス業界の大企業組織内でさまざまなマーケティングとコミュニケーションを担当する11人のメンバーからなるチームである。このチームは幸運なことにメンバー数が数年間安定しており、メンバー間の経験レベルも多様である。

  • しかし、チームは課題関連の問題を含む建設的な対立を検討する時間を設けることに苦労しており、メンバーは自分たちが「会議のトレッドミル」にいることに気づいている。言い換えれば、日々の意思決定への対処、マーケティングやコミュニケーションの問題について組織内の他の部門と協議のためにチーム内外の会議が延々と予定され、ほぼ連日会議がある。さらに、事前準備の時間が少なすぎるため、会議中の見解が十分な情報に基づいているかもわからない。

  • それにもかかわらず、会議は課題に焦点を当てており、チームメンバーが直面している決定への解決策について議論するため、かなりの課題の対立が生じている。さらに、課題に重点が置かれるため、人間関係の構築が優先されることはほとんどない。そのため、このため、ミスコミュニケーションや誤解によるぎこちなく不快な対人関係が生じている。

  • チームメンバーは、各メンバーの固有のスキルを理解するために役割と責任を再検討する必要があると考えている。さらに、他の組織がマーケティングおよびコミュニケーション チームにサポートを求めているため、優先順位を付ける方法や、誰がどのような役割で関与するべきかを明確に決定する方法がわからない場合があると感じている。これは、過去数年間、正式な戦略計画や戦略的議論が欠如していたことが部分的に原因である可能性がある。

  • この仮のマーケティングおよびコミュニケーション チームは、本研究を通じて参照される。

対立状態の背景

①初期の対立研究

  • 簡潔には、

  • 認知vs感情の対立、または課題vs感情の対立として研究がなされた

  • しかし、後続するメタ分析での使用 (e.g. Loughry & Amason, 2014)、二次元モデルを拡張しプロセスの対立を導入して尺度を開発した理由からAmason (1996) のグループの用語である課題の対立、関係性の対立、プロセスの対立という用語が定着した

  • その後、この用語を用いたtripartite modelが作成された (Behfar et al., 2008)

②対立の利益と弊害

  • 理論的には、課題の対立は議論の深化や意見交換の促進を通じて恩恵をもたらすと考えられてきた

  • 実際、異なる意見の交換による多用な知識の集積 (Badlke-Schaub et al., 2010)、他者視点の獲得による深い理解 (Simons & Peterson, 2000)、創造性や改革 (DeDrew & West, 2001)、悲惨な結果の回避 (例えばスペースシャトルチャレンジャー号の墜落は低気温下でのシャトル打ち上げの悲惨な結末に関する認識がありながら反対意見が提示されなかったためだとの考察もある、Esser & Lindoerfer, 1989)

  • 関係性の対立は、不安・怒り・恐怖などの感情を生む

  • 課題に関する新たな視点など学習や体験を困難にさせる (Behfar et al., 2008)

  • 関係性の対立は、threat rigidity theoryから理解できるプロセスを生じさせる (Staw et al., 1981)

  • また、social self-preention theory (Lamarche et al., 2012) からも理解できる

  • いずれの理論も、社会的脅威の認識により、ストレス反応とfight or flight反応の増加、狭い推論、認知の硬直、防衛、閉鎖の激化を生じさせることを示している

  • つまり、思考や感情を硬直化・閉塞化させる

  • プロセスの対立の利点は、チームが役割の割り当て、計画、資源の割り当てにおける非効率性を見出して最小限となるようマネージメントできること (Jehn & Mannix, 2001)

  • また、プロセスの対立は、仕事の負担、役割の割り当て、スケジュールの割り当てへの不当さの結果の可能性があり、手続き上の不正 procedua inusticeを示している可能性がある (Jehn et al., 2008)

  • (明記している文献があってよかった

  • (すなわち贔屓などタスクの実施に当たり不適切な処理方法がありそれは手続き的なインジャスティスであると感じられる

  • (そしてプロセスの対立がのちの課題・関係性・プロセスの対立のすべてを予測する強い因子である

③早期のメタ分析のエビデンス

DeDrew & Weingart (2003) は、課題の対立 (-0.23) および関係性の対立 (-.022) のいずれもチームのパフォーマンスを抑制し、関係性の対立は理論を支持するが、課題の対立は理論を支持しない結果となった

④近年のメタ分析のエビデンス

  • 理論と反対に、課題の対立はチームのパフォーマンスを抑制し (DeDeru & Weingart, 2003)、イノベーションとは無関係であった (関係性の対立も、Hulsheger et al., 2009; プロセスの対立も、O'Neill et al., 2013)

  • 課題の種類もこの関連をモジュレートしない (de Wit et al. 2012)

  • (すなわち、対立の精神的・退職への負の影響を考慮すると何一ついいことがないというデータで、昔から言われている「課題の対立を通じて相互理解が深まり団結してパフォーマンスがあがる」というのはただの言説であり労働者の負担をふやすだけ)

  • 関係性の対立、プロセスの対立はチームのパフォーマンスに負の影響を及ぼす (DeChurch et al., 2013; de Wit et al., 2012; O'Neil et al., 2013)

⑤各対立に関するまとめと実践への示唆

  • これを先述のマーケティング及びコミュニケーションチームに援用する

  • 課題の対立がチームのパフォーマンスとイノベーションに無関連であるため、課題の対立を奨励したり阻止するのは時期尚早と考えられる

  • 一方で、関係性の対立とプロセスの対立はチームのパフォーマンスを抑制するために対処の必要がある

  • チームリーダーは個人的な緊張のない雰囲気を維持する戦略、例えば互いの価値観を理解して新人がその価値観に適合できるよう促すことが推奨される

  • 価値観ワークショップでは、チームの中核となる価値観(チームへのコミットメント、職場環境を楽しくするなど)を特定できる。 新人はチームの価値観を重視し、各チーム会議に「価値観の瞬間」を追加して、チームの価値観を実証するために模範的なチームメンバーを指定できる。

  • 人間関係の対立に早期に対処し、潜在的なミスコミュニケーションを明確にするため、人間関係の対立を伴うマネージメントの規範も明確にする必要がある (たとえば、その人に直接アプローチし、その後リーダーと会うなど)

  • チームの感情的な雰囲気のマネージメントは重要な役割を果たす

  • プロセスの対立に関しては、マーケティングおよびコミュニケーションチームは、課題の活動を実施するプロセスについて概ね同意しており、改善の余地はあるものの、プロセスの対立はほとんどない。

  • チームメンバーは、戦略的な優先順位、役割と責任、各人のスキルセットを完全には認識していなかった。プロセスの対立を解決するための実際的な推奨事項の 1 つは、チーム憲章を作成することである。チーム憲章にはチームの目的、戦略、メンバーの責任、スキルセットが指定される。

  • 効果的なチーム憲章は、独立した見解を提供できる人事またはコンサルティング会社のファシリテーターと協力して、または構造化された対話型ソフトウェア プラットフォームを通じて作成する必要があります。(そこまでは普通できない)

  • チームメンバーをプロジェクトの管理と計画に参加させることは、タイムライン、役割、およびプロジェクトの見方について話し合うもう 1 つの有益な演習となる可能性がある。

  • 責任を負うことにより、プロセスの対立に対処できるようになる

  • チームのライフサイクルの早い段階でプロセスの対立が解決されると、長期的にはチームの効率が向上する可能性があるため、表面化したプロセスの対立はマーケティングおよびコミュニケーションチームで積極的にマネージメントする必要がある

  • (繰り返しになるが、チームのタスクの処理方法に相違がなくなれば様々な問題を抑制しうるという興味深い問題提起

  • 人事担当者に対する上記の推奨事項に対する注意点の 1 つは、タスク、人間関係、プロセスの対立が変化しにくい可能性があるということである

  • たとえば、プロセスの対立は、メンバーの役割が明確ではないという単純な問題である可能性もあるが、仕事の割り当てや期待に関する不公平に対する深く根付いた認識の結果である可能性もある

  • 以下では、対立の種類がが規範論的ネットワークの他の変数よりも介入に反応しにくい可能性を示唆する追加の研究をレビューする

  • むしろ、介入はこれらの他の変数に影響を与えることでチームの対立に間接的な影響を及ぼしうる

  • 以下、チームの対立のダイナミクスモデルを提案し、そのもとで考察する

チームの対立プロファイル

①対立の相互作用

  • 課題の対立は関係性の対立に及ばなければエスカレーションしない (de Wit et al., 2013; Peterson & Behfar, 2003; Xie & Luan, 2014)

  • プロセスの対立は、当然ほかの対立と併存すると危険になる (Jehn & Mannix, 2001)

  • 課題の対立が有効に機能するには、関係性の対立が低い必要がある (Bradley et al., 2015; de Wit et al., 2012; de Wit et al., 2013)

  • チームメンバーの情動制御が高いと課題の対立がチームパフォーマンスを促進するという研究もある (Jiang et al., 2013)

  • 近年の進歩により、潜在的な対立のプロファイル分析を行える (Morin & Marsh, 2015)

②チームの対立プロファイルに関する先行研究

  • Jehn & Chatman (2000) は対立の比例構成理論、つまり三種類の対立は互いにほかの2種の対立の比例関係にあるという理論を提案した (意味が分からない)

  • 具体的には、例えば関係性・プロセスの対立が少ない中程度の課題の対立はチームメンバーのパフォーマンスを促し、課題・プロセスの対立が少なく関係性の対立が中程度であればあらたな課題の対立において意見交換や解決能力に乏しくパフォーマンスは低下する

  • このように、現在の対立を総合的に検討すべきだとする

  • Jassen et al (1999) は、実際に課題と関係性の対立は相互作用してチームの意思決定の質に影響を与えることを示した

  • O'Neil et al (2008) は、対立の3種類の強度によって、対立のプロファイルが4分類されうることを示した

  • また、O'Neil et al (2008) は、同グループによる対立プロファイルの分類が反復して観測されるとともに、分類と建設的な議論・心理的安全性の間に関連がみられ、特に関係性の対立・プロセスの対立が低い分類で望ましい特典が見られ、他にもバーンアウト、同僚評定によるパフォーマンスとも関連がみられた

  • また、建設的な議論に関する研修 (Tjosvold, 2008) を実施し、その結果、課題の対立は多いが、関係性・プロセスの対立は少ない対立プロファイルへと変化した

③まとめと実践への示唆

  • マーケティングおよびコミュニケーションチームへの実際的な影響は、人間関係とプロセスの対立が最小限に抑えられている場合 (つまり、チームが健全な対立プロファイルを示している場合) にのみタスクの対立を促進する必要があることを示唆している

  • 関係またはプロセスの対立が存在する場合のタスクの対立は、タスクの対立が破壊的な対立と混在する可能性がある別のプロファイルを示す

  • したがって、タスク、関係、プロセスの対立の評価を通じてチームを診断すると、チーム環境がタスクの対立を促進するのに十分なほど健全であるかどうかを特定するのに役立つ

  • チームの対立プロファイルが最適ではないことが判明した場合は、対立プロファイルをより健全なプロファイルに移行させることを目標とした介入が推奨される場合がある

  • マーケティングおよびコミュニケーションチームのメンバーは、タスクの対立が比較的多く、人間関係やプロセスの対立が少ないことを考えると、RC/PC マイナー プロファイルに分類される可能性が高くなる (関係とプロセスの対立には重要なレベルがあるため)

  • したがって、人間関係とプロセスの対立の減少を強調しながら、より大きなタスクの対立をサポートする介入が推奨される

  • たとえば、オニール氏が説明した建設的な論争のトレーニングでは、心理的に安全で前向きな環境での視点の促進と探求が強調されています。

  • したがって、対立レベルは、対立マネージメントに影響を与えることで間接的に変更される

  • 以下では、対立タイプではなく、対立を対象とした介入の利点について解説する

チームの対立ダイナミクスモデルの提案

①対立システムとチームのパフォーマンス

  • 先行研究によって、対立に関連する変数と、対立マネージメントの変数の相互作用を指摘しているため双方を考慮する必要がある

  • DeChurch et al (2013) は対立の種類とマネージメント変数の関連を報告した

  • グループ規範と同様に、チームメンバーが許容できると見なす対立マネージメント行動について、対立の種類がチームメンバーの行動レパートリーを制限するとの報告がある

事例の適用

  • RC/PCminor (関係性とプロセスの対立が低く、課題の対立が高い) プロファイルを持つマーケティングおよびコミュニケーション チームを例にとる

  • このチームは、協調的な対立マネージメントを行う可能性がある (関係性とプロセスの対立が低いため)

  • 比較的協力的な対立マネージメントは、RC/PC-minorプロファイルを強め、潜在的にTCDプロファイルを促進する可能性がある (課題の対立が強く、関係性とプロセスの対立がほとんどない)

  • しかし、おそらく議論の余地のある問題が表面化してチームの分裂や関係性・プロセスの対立が生じる可能性がある。個々のアジェンダを推進するために、勝ち負けの交渉、脅威、横暴な戦略を含む、競争的な対立マネージメントに移行する可能性を秘めている。すると、MRC (Mild Range Conflict: 三種類の対立がすべて中程度) などのより不健全な対立プロファイル移行する可能性がある。このスパイラルが続くと、チームは機能不全に陥った対立紛争プロファイルと、非常に競争的または回避傾向にある対立マネージメントを行う可能性がある。

  • 上記を踏まえて、チーム対立ダイナミクスモデルの中央部ボックス内で、対立プロファイルと対立マネージメントの相互関係を指摘する。この継続的な双方向の影響が「チーム対立システム」を表していると考える。チーム対立システムは、グループ内の対立のダイナミクスに対するチームの集合的な認識を表す、相互に強化する対立マネージメントと対立プロファイルとして理解できる。

  • 文献には多くの対立マネージメントが指摘されており、本研究ではDeCurch et al (2013) の、集団主義的 (協調的、協力的、およびその他の同様の対立マネージメント)、個人主義的 (競争、回避、およびその他の同様の対立マネージメント) なカテゴリを援用することとした

  • 集団主義的な対立マネージメントを使用するチームは、関係性やプロセスに関連した干渉を受けることなく、アイデアを議論し、異なる視点を使用する可能性が高い(つまり、健全な対立プロファイルにある)と推測される

  • 一方、より個人主義的な対立マネージメント(競争、回避など)を使用するチームは、異なる視点を共有することが少なく、関係性やプロセスの対立に苦戦することが予想される

  • これは、集団主義的な対立マネージメントが健全な議論のための安全な場を提供するのに対し、個人主義的な対立マネージメントは競争と撤退を促すためである (Jehn & Mannix, 2001; Tjosvold, 2008)

  • 上述のように、対立の種類が特定のチーム内で許容される対立マネージメントの範囲を狭める可能性があることを考慮すると、対立の種類は対立マネージメントに関連してくる

命題 1. 集団主義的な対立マネージメントがより高いチームは、健全な対立プロファイルを持つチームに属する可能性が高い

命題 2. 個人主義的な対立マネージメントを持つチームは不健全な対立プロファイルを持つチームに属する可能性が高い

  • 図 2 は、チーム対立システムからのチームパフォーマンスとの直接的な関係を示しており、DeChurch et al (2013) のメタ分析から推定した の結果のパターンから推定された

  • 具体的には、対立マネージメント変数の方が、3 つの対立タイプのどれよりもチームのパフォーマンスを予測しやすいことを示した。これは、課題と関係性の対立を統制しても維持された

  • 一方、課題と関係性の対立は、対立マネージメントによって与えられた予測よりもわずかに説明率を増しただけであり、対立マネージメント変数の方が、対立プロファイルよりもチームのパフォーマンスに最も近い先行事象である可能性があることを示唆している

提案 3. チームの対立マネージメントは、チームの対立プロファイルとチームのパフォーマンスの関係をモジュレートする

②チームパフォーマンスのフィードバックループ

  • フィードバックループは、パフォーマンスから心理学的な安全性へのフィードバックを指している

  • Worchel et al (1997)は、パフォーマンスに関する負のフィードバックの後に集団の協力が減少することを指摘

  • ネガティブなパフォーマンスフィードバックは課題の対立と関係性の対立を増やす (Peterson & Behfar, 2003)

  • ネガティブなパフォーマンスフィードバックの効果は心理的安全性 (信頼) と関連しており、個人的な対立マネージメントは心理的安全性を抑制し (Tjosvold et al., 2016)、集団的対立マネージメントは心理的安全性を促進する (Edmondson, 2004; Edmondson & Roloff, 2009)

提案4:チームの心理学的安全性はポジティブなパフォーマンスフィードバックが集団的な対立マネージメントを促進する関係をメディエートする

提案5:チームの心理学的安全性はネガティブパフォーマンスフィードバックが個人的な対立マネージメントを促進する関係をメディエートする

(この時点で、ダイナミックモデルの検証をしようと試みていることがわかる
(ダイナミックモデルが今一つなので検証自体に意味があるかは保留

  • パフォーマンスフィードバックの影響は、心理的安全性と対立マネージメントを通じて継続され、最終的にはその後のチームの対立プロファイルに影響を与える可能性がある

  • たとえば、過去に集団主義的な対立管理を使用していたTCDプロファイルを持つチームでは、パフォーマンスに関する否定的なフィードバックが発生した場合、チームメンバーは、心理的安全性が低いチームの特徴である、非難したり、態度をとったり、距離を置いたりする行動を起こす危険にさらされる可能性がある (Edmondson & Smith, 2006)

  • これらチームのメンバーは、より競争的で、防御的で、用心深くなる可能性があり、その結果、チームはより個人主義的な対立管理アプローチを採用する可能性があり、チームが不健全な対立プロファイルに移行する可能性が高まる

  • より一般的には、否定的なパフォーマンスのフィードバックは、心理的安全性の低下と個人主義的な対立マネージメントの強調を通じて、不健全なプロファイルを強化したり、以前の健全なプロファイルを損なう傾向がある可能性がある

  • 複数のネガティブなパフォーマンスフィードバックのエピソードに直面すると、チームは不健全な対立プロファイルの下降スパイラルに陥る可能性があり、心理的安全性がさらに低下し、集団主義的な対立マネージメントが弱まり、パフォーマンスが低下する可能性がある (Behfar et al., 2008)

  • 一方、パフォーマンスに関するポジティブなフィードバックは、健全な対立プロファイルを強化したり、以前は不健全だったプロファイルを増強したりする可能性がある (Peterson & Behfar, 2003)

提案 6. パフォーマンスに関する肯定的なフィードバックは、より強力な心理的安全性と協力的な対立マネージメントを通じて、より健全な対立プロファイルへの移行の可能性を高める

提案 7. ネガティブなパフォーマンスフィードバックは、心理的安全性の低下と個人主義的な対立マネージメントを通じて、より不健全な対立プロファイルへの移行の可能性を高める

  • (ここで重要なのは、心理的安全性→対立状態・対立マネージメント→アウトカム→フィードバックのループが存在しているとしてきしておりこれはある程度間違ってはないと思われる、物足りない感じは強いが

  • (そして、アウトカムのフィードバックによってこのループが負のスパイラルに向かうかどうかを操作できると指摘している

  • (マネージメント方法を変える、安全性を高める、対立を収めるのではなく、アウトカムのフィードバックを介入対象としている点で独特の発想である

③対立プロファイルの時系列変化

  • 対立の生起と推移の治験が必要

  • Latent transition analysisで可能となる (Colins & Lanza, 2010)

  • 潜在クラスへの時間経過に伴う所属確立の推移をモデル化するもの

  • 本研究では、基本的にチームの対立プロファイルは時間経過に伴い変化しないと考える

  • 次に、変化は段階的で、シングルセルの移行によると考える

  • 第三に、例えば段階的に下降をたどるチームが介入を求めた場合にプロファイルの推移は変化すると考える

  • この理論のカギ概念は、状態維持傾向、段階的な上昇下降、介入による変化である

提案8:t(k+1)の対立プロファイルは、t(k)のプロファイルが最も確率が高く、次いでt(k)と一段階の差があるプロファイルとなる

  • 対立プロファイルの時間的推移は、心理学的安全性、対立マネージメント、チームパフォーマンスに依存する

  • 対立プロファイルが移動するとき、心理学的安全性、対立マネージメント、チームパフォーマンスは影響を受ける

  • したがって、対立プロファイルの推移の可能性は、心理学的安全性、対立マネージメント、パフォーマンスフィードバックの変化も予測する

  • トレーニングプログラムによる介入は、対立ダイナミックモデルに影響を及ぼす (Salas et al., 2008)

  • Tグループと (これは古すぎて使えないだろうが)対立マネージメントの学習エクササイズは信頼性と対立マネージメントのスキルを向上させる (Marks et al., 2001)

  • 生産性マネージメント・向上システムProductivity Measurement and Enhancement System (ProMES: Pritchard et al., 1988) およびコーチングの併用 (Wageman, 2001)によってパフォーマンスフィードバックはポジティブになる

提案9:チームのパフォーマンスフィードバック、心理学的安全性、対立マネージメントへの介入は、対立プロファイルの時間的推移確立に影響を及ぼす

(パフォーマンスフィードバックにより安全性に影響があり)
(フィードバックという変更可能な要素に焦点を当てている点は素晴らしいしわかりよい)
(モデルとしてはよくないのだが)

④チームデザインと組織の環境

  • Hackman (2002) (書籍のため参考) におれば、チームは適切にデザインされなければ成功することは珍しい

  • チームデザインには、課題、チーム構成、チームの規範という設定可能な要素があり、さらに報酬、情報、教育システムという組織の環境も影響する

  • そして上述のチームデザイン、組織の環境は任意に設定可能である

チームデザイン:課題

タスクの設定にはタスクの相互依存性が含まれる
タスクの相互依存性は、プール型、逐次型、相互型、集中型に分類される
(これはほとんど現代的にエビデンスにかけると思われるが) 相互のインタラクションのない、タスクの相互依存性に乏しいと、チームのパフォーマンスはさがる (Wageman, 1995)
(多くの企業では、相互依存性を排除することで業務の効率化を達成しようとしているはず)

提案10:チームの対立システムの健全性は、チームのパフォーマンスを向上させるために、チームのタスクの相互依存性 (例: 順次→相互) を強化することで改善される

チームデザイン:構成

  • チームの心理的安全性につながる信頼は、信頼傾向と、信頼に値すると感じさせる信頼されるもののの認識された能力、慈善、誠実者による

  • 信頼性傾向は安定した特性とされている

提案11:対立マネージメントシステムの健全さは、チームの心理学的安全性を改善するようなチーム構成の介入によって促進される

チームデザイン:構造

  • チームの規範設立の介入が対立マネージメント能力を向上させたという研究もある (O'Neil et al., 2018)

  • 建設的な議論の方法に関する講義 (Tjosvold, 2008)は、健全な対立プロファイルを増やし、集団主義的な対立マネージメントを増やしたという報告がある

  • Weingart et al (2015) は、高い直接性と低い強度の対立マネージメントが重要であると指摘しており、他にもエンゲージメントを高めるとの報告もある (Todorova et al., 2014)

提案12:健康的なチームの対立マネージメントシステムは、対立マネージメントの改善を目的とする、チームの規範への介入により改善する

組織的な環境:報酬

  • 高い結果の相互依存性 (チームの報酬の共有) は、タスクや目標の相互依存性よりチームパフォーマンスを予測する (Hertel et al., 2004)

  • フィードバックが個人・チームのいずれのパフォーマンスに向けられるかに応じて、個人・チームの課題に注意が割り当てられるため、チームレベルに向けた組織報酬はメンバーの注意をチームの課題に向けさせる (DeShon et al., 2004)

提案13:健全なチームの対立マネージメントシステムは、チームパフォーマンスの改善を目的とするチームへの報酬によってうながされる

組織的環境:情報

  • 自由な情報交換を可能にするとチームの心理学的安全性を促す (Edmonson,1999)

  • 情報共有は集団の凝集性と相関する (Mesmer-Megnus & DeChurch, 2009)

提案14:健康なチームの対立マネージメントシステムは、心理学的安全性を改善するための情報共有システムへの介入で促される

組織的環境:教育

協力的な対立マネージメントと建設的な議論は、他者からの学ぶ機会を与える (Vollmer & Seyr, 2013)
その他の詳細なエビデンスはないが、

提案15:健康なチームの対立マネージメントシステムは、対立マネージメントプロセスを改善するための教育の機会を提供する介入によって促進される

文献

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