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Coworker exchange, leader-menber exchange, and work attitudes

概要

本研究の目的は、リーダーとメンバーの交換 (LMX) の類似性が同僚間の交換の質に及ぼす影響を明らかにすることであった。本研究はまた、LMX及びCWX (同僚交換) と従業員の組織へのコミットメント及び仕事の満足度の関係も調査した。Sumarangの3つの病院の看護師76名は、上司との関係の質、各同僚との関係の質を評価するよう求められた。お互いを評価している従業員ペアが作成された。ペアリング後、合計146のLMX、CWX、および作業態度データが取得された。その結果、同僚間のLMXスコアの相互作用が同僚間のCWXの質を予測することを示した。また、CWXを統制するとLMXの質は仕事の満足度に正の影響を及ぼすが、組織のコミットメントと関係はなかった。さらに、LMXを統制すると、従業員間のCWXの差は組織コミットメントに負の影響を及ぼすが、仕事の満足度に影響を及ぼさなかった。また、CWXの質と従業員間のCWXの差の口語作用は仕事の態度を予測しなかった。

問題と目的

  • LMX理論では、リーダーとのよい交換がなされているとメンバーからの相互性の感覚が強まり、恩義を感じたメンバーによりチームに望ましい結果がもたらされると考える

  • Average Leadership と比較してLMXは個別に異なる関係性が形成されるため、チーム内での関係性が重要になる

  • LMXは従業員同士のexchangeにも影響すると考えられるが実証研究はなされてこなかった

  • チーム内の関係性について言えば、従業員同士のexchangeは仕事への態度やメンバーのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があり、具体的には相互的で親密な関係性はお互いを励まし支えあうことでグループの凝集性・満足度が高まる可能性がある

  • そこで本研究では、LMXがCWXに及ぼす影響およびLMXとCWXが従業員の仕事態度に及ぼす影響を明らかにする

理論と仮説

①LMXとCMX

  • ある観察研究では、あるグループは相互の信頼に基づく深いexchangeがなされたが、あるグループはリーダーが管理者としてふるまうためexchangeは相互性ではなくトップダウンで行われ課題ベースの関係性であった

  • そしてLMXの質は部下の関係性形成に影響を及ぼし、メンバー間での関係性の質に反映されるとする

(LMX理論に基づく研究は、タスクに焦点づける関係性を職場における好ましくない関係として言及することが多い)

②交換プロセスexchange process

理論的に正しいかはわからないが、LMXのタイプとそれに付随するメンバー間のexchangeが3タイプに区分されている
(要するにLMXの質がメンバー間の関係に影響を与えることを示してたたき台的な分類を示した論文があるということ)

③ネットワーク構造Network structure

  • Structural holeは競争的な雰囲気となる構造だが、直接関係を持たないBとCはAを媒介して関係を持つ

  • Simmelian tieは友好的・協力的な関係を形成する構造である

  • 個別の強い関係性と比較して集団的規範に基づく関係性にはなるが協調的で信頼のある関係となる

  • LMXとネットワークの構造はダイナミックで相互的な関係にあると考えられる

④三角関係Triad Relationship

  • Heider (1958) のバランス理論で説明される

  • リーダーと部下の関係でHeider (1958) のバランス理論がみられることが示されている (Sherony & Green, 2002)

仮説1:LMXの類似性はCWXに正の効果をおよぼす。LMXが類似している従業員同士ほどCWXが高い。

⑤LMXと仕事態度Working Attitude

  • スーパーバイザーのLMXが部下の仕事への意欲や満足度に影響を及ぼすことは知られており、リーダーは部下の能力やパフォーマンスに基づいて異なる関係性を形成している

  • しかしリーダーの高いLMXは部下のパフォーマンスと関連が認められない (Duarte et al 1994)

  • 上司による高いLMXは部下への過度な判断に基づいており (Cecchio & Gbodel, 1984) 客観的なパフォーマンスとは関係がない (Wayne & Ferris, 1990)

  • したがって従業員がLMXの差をどのように感じているかが重要になる

仮説2a:LMXは組織コミットメントに正の影響を及ぼす
仮説2b:LMSは仕事満足度に正の影響を及ぼす

⑥CWXと仕事態度Working Attitude

  • 組織の多様性に関する研究は、多様性があるほど問題解決の機会が増える半面、統一性がなくなり構成員の不満が強まることを示している

  • 観察可能な多様性 (人種、民族、年齢、性別) の多様性は仕事満足度や組織コミットメントに負の影響を及ぼし、類似した属性を持つグループでは構成員の関係性への関心が増加することも知られている

  • 本研究ではネットワークの多様性を検討する

  • ネットワークの多様性とはグループ構成員がお互いに親和性を認める程度として定義される (Higgins & Kram, 2001)

  • 先行研究によればチームメンバーの関係の良さはチームへの関与や仕事に正の影響を及ぼすことが示されている

仮説3a:CWXの多様性は組織コミットメントに負の影響を及ぼす
仮説3b:CWXの多様性は仕事満足度に負の影響を及ぼす

⑦多様性の交互作用とCWXの質Diversity Interaction and CWX Quality

仮説4a:CMXの多様性とCWXの質の交互作用は組織コミットメントに影響し、CWXの多様性が低くCWXの質が高い場合に組織コミットメントに正の影響を及ぼす
仮説4b:CMXの多様性とCWXの質の交互作用は仕事満足度に影響し、CWXの多様性が低くCWXの質が高い場合に仕事満足度に正の影響を及ぼす

方法

対象者

Semarangの看護師
146dyadsを分析対象とした

メジャー

LMX7
CWX7:LMXに準ずる。ただし一つのアイテムはLMXに関連するため削除した6項目
Job Satisfaction
Organizational Commitment
CWX Diversity: 
CWX Quality:
Attribution: 年齢、性別、就業年数、スーパーバイザーとの関係歴

分析方法

  • 仮説1:Rwg(within-group interrater reliability)of LMXとCWXスコアの相関

  • 仮説2:LMXと組織コミットメント及び仕事満足度の関連を回帰分析で検討

  • 仮説3:CWXバリアンスと組織コミットメント及び仕事満足度の関連を回帰分析で検討

  • 仮説4:CWXバリアンスとCWXスコアの交互作用を含む回帰分析により組織コミットメントと仕事満足度に及ぼす影響を検討

結果

LMX及びCWXの級内相関中央値

  • (尚、Rwgは以下の式により求められる (James, Demaree & Wolf, 1984) )

  • (LMX-7/CWX-7 (本研究の場合はCWX-6になる) についてペア間で級内相関を求めてその中央値を評価する手続きをとっている)

.07以上は強い相関と判断されるところ、LMXの級内相関中央値は0.980、CWXの級内相関中央値は0.989

zero-order correlation

  • 組織コミットメントと仕事の満足度は上司とのエクスチェンジによる正の影響を受け、従業員間のエクスチェンジの影響を受けない

  • また、組織コミットメントは従業員間のエクスチェンジの多様性 (分散)) により抑制される

回帰分析

  • 最初にLMXのRwgを算出

  • LMXのRwgのCWXに及ぼす影響を回帰分析で検討

  • 統制変数の投入後にLMXのRwgを投入して傾き及び分散増分を検討

  • その結果、LMXのRwgは19.8%から33.7%に増加した

  • したがって、LMXのRwgが高いほどCWXが高い

  • LMXの質は組織コミットメントに影響しなかった

  • しかしLMXの質は仕事満足度を高めた (R2=0.297)

  • CWX Diversityは組織コミットメントを抑制したが、仕事満足度を抑制しなかった (R2=0.191/0.329)

CWX Diversityは組織コミットメントを抑制するが、CWX Quality とDiversityの交互作用はない

  • CWX Diversityは職場満足度を抑制する傾向があるが、CWXDiversityと質は相互作用しない

文献

  1. Heider, F. (1958). The psychology of interpersonal relations. New York: John Wiley & Sons Inc

  2. Higgins, M. C., & Kram, K. E. (2001). Reconceptualizing Mentoring at Work: A Developmental Network Perspective. The Academy of Management Review, 26(2), 264–288. https://doi.org/10.2307/259122

  3. James, L. R., Demaree, R. G., & Wolf, G. (1984). Estimating within-group interrater reliability with and without response bias. Journal of applied psychology, 69(1), 85.

  4. Sherony, K. M., & Green, S. G. (2002). Coworker exchange: relationships between coworkers, leader-member exchange, and work attitudes. Journal of applied psychology, 87(3), 542.

  5. Wilkaningrum, T. (2007). Coworker exchange, leader-member exchange, and work atitudes: a study of coworker dyads. International Journal of Business, 9, 187-215.

  • 所感

  • もちろん、リーダーとの関係が似た従業員がよい従業員間のexchangeをおこなうのも面白いし

  • LMXが従業員の満足度と組織コミットメントを高める結果も面白いのだが

  • 従業員同士の関係性の質は組織コミットメントと満足度に関係せず

  • それよりも従業員間での関係性の差が満足度や組織コミットメントに影響することのほうが面白い

  • 本来なら、LMX Diversity がCWX diversityを通じて満足度や組織コミットメントに及ぼす影響を明らかにできれば、LMXを統制することで従業員満足度を高められるか明らかにできたのだが、、


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