見出し画像

Workplace bullying and sleep:e A systematic review and meta-analysis of the research literature

概要

職場いじめと睡眠に関する文献を整理し、研究方法の質を評価し、研究で用いられている理論的枠組みを明らかにし、モデレータ・メディエータを決定し、将来の研究のガイドラインを示す。26の研究を対象にメタ分析を行い、職場いじめと睡眠の問題は、クロスセクショナル研究において2.31倍のオッズ、前向き研究で1.62倍のオッズで高めた。モデレータ・メディエータを加味した研究はほとんどない

問題と目的

  • 睡眠の問題に職場の心理社会的ストレスが影響することが示されている

  • 睡眠問題に影響する要因を抑制することで睡眠に関連する従業員の心身の健康や生産性にも影響を及ぼすことが可能と考えられる

  • 職場のいじめは精神的健康、病欠の主たる問題であり、睡眠に影響を与える仕事に関連した先行要因である

  • 職場いじめはほかのmistreatmentと異なり、継続して繰り返されるターゲットへの攻撃で徐々にエスカレートするもの

  • およそ15パーセントの労働者が常にいじめに遭遇している

すでにいじめの睡眠に及ぼす効果は示されているが、メタ分析にて効果を示すことを目的とする

方法

  • PRISMAガイドラインに従い行われ

  • MOOSEガイドラインに従い報告

  • ピアレビュージャーナルのみ

  • クオリティとバイアススコアを0-14で作成、0-5は低、6-10は中、11-14は高い質を示す

  • 総合的なエビデンスの質はGRADEに従って評定

  • メタ分析はComprehensive Meta-Analysisで実施

  • Odds Ratio及び95%信頼区間、統合した相関係数を算出

  • サンプルが重複する研究はサンプル数が最も大きな研究の統計値を使用

  • もでレーション分析では分散により重みづけし、ランダム効果モデルを用いた

  • Q統計量とI2統計量も産出

  • The one-study-removed procedureで外れ値の影響を受けるか検討

結果

研究デザインは、クロスセクショナルがメジャーだが、前向き・後ろ向き・コホートデザインもある

  • 職場いじめは単一尺度の測定が多いが、定番のNAQもある

  • 睡眠も単一項目もあるが、Karolinska Sleep Questionnaireや、Pittsburgh Sleep Quality Indexも使用されている

職場いじめと睡眠問題

  • いじめへの曝露と睡眠との関連はすべての研究において有意

  • 職種や文化、測定方法に関係なく関連する

  • ほかにも、様々な変数を統制しても両者の関連は有意となる

  • 例えば年齢、家族構成、慢性的な疾患、喫煙を統制してもいじめ曝露と睡眠問題は関連していた。

  • この研究において職場のスケジュール・身体的負荷、就業時間を加えると関連は消えたが、ほかの研究では職業関連のストレスを加えてもいじめ曝露と睡眠の関連はしめされるものが複数ある

理論的構成

  • メジャーな理論はcognitive activation theory of stress

  • ほかの研究は文字数の都合から調査結果の報告を主として背景理論への考察がむずかしいく省いていると考えられる

モデレータ・メディエータ

  • メディエータについては、反芻・ストレス・心配などで別に言及の必要なし

  • モデレータは、心理的リラクゼーション、ポジティブ・ネガティブ感情、身体的余暇活動、年齢、雇用形態であった

  • しかし、身体的余暇活動・年齢にはモデレータ効果はない

  • 雇用形態はモデレータとなっており、期間雇用者のほうが正社員よりもいじめ曝露と睡眠障害の関連が強い

  • 反芻の媒介効果を余暇での高いリカバリーが緩和するという媒介効果も示されている

いじめの睡眠への影響 (すなわち睡眠障害を通じた気分障害への影響) を身体的余暇活動が調整しないのは極めて重要な結果である

メタ分析

  • メタ分析の効果は上記参照

  • モデレーター分析では、性別及び尺度構成による調整効果はなかったが、他項目の尺度を使用したほうが単一項目よりも信頼区間が狭い

考察

  • 職場いじめと睡眠障害に特異的な理論がなく、いつものストレスモデルになっている

  • 現時点では、認知的活性化理論が基本となっているが本モデルの検証が必要(と書いてあるが、1980年代ごろの認知処理過程的な認知心理学の色調を帯びているのであまり意味がない)

  • 確かに予想しているよりも効果は小さいのでモデレータを明らかにする理論が必要

  • 逆に睡眠障害を引き起こすといじめられる確率があがるか検証する必要もある

文献

  1. Nielsen, M. B., Harris, A., Pallesen, S., & Einarsen, S. V. (2020). Workplace bullying and sleep–A systematic review and meta-analysis of the research literature. Sleep medicine reviews, 51, 101289.



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?