【原典workplace-mobbing】The content and development of mobbing at work
概要
問題と目的
職場環境に関する法律によって、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーは労働者が身体的・心理学的に健康である権利をサポートしている
それにもかかわらず、近年になってmobbing, ganging up on someone, bullying, psychologcal terrorといえる現象が発見された
本研究は事例の記述から始め、歴史的な記述、mobbingの定義とその原因と生起率を記述する
その後は破壊的なコミュニケーションの生起と推移を記述する
最後に関連する研究を記載する
事例提示
イブの事例
大きな刑務所の食堂責任者が退職し後任が必要となった。 雇用主と人事部門は、この機会を利用して一定の変化をもたらすべきであるという意見を持っていた。 食堂は、節約と同時により健康的な食事を提供する必要があった。 適切なトレーニングを受けた人物が見つかった。
避けられないもめごとがすぐに勃発した。 誰も料理人たちに方針変更の計画を知らせていなかった。料理を準備するための新たな方法は彼らにとって異質だった。雇用主はトレーニングコースを準備することはなかった。料理人たちはすべてのアイデアは新たな上司であるEveによるものだと信じたため、彼らはEveに反発した。彼らは彼女 (Eve) の噂話を流して指示に逆らった。彼女が知的障害の子供を育てているという事実さえ、彼女の性格に原因があるように非難された 。料理人はEveに耳を貸さず、彼女からの仕事の依頼を無視し、意見の相違を生むことを定期的に行った。Eveは責任の範囲をはるかに超えていると主張されてきたが、実際はそうではなかった
イブは何度も刑務所当局から自分の責任について説明を得ようとしたが、幹部は彼女の要求を拒否した。 彼女の絶え間ない要求は反抗と理解された。ここで、心にとめておきたいのは、職務記述書は、経営トップがリーダーシップを発揮できる方法であることだ。組織的階層を定義し、さまざまな領域の能力を定義することで雇用主はさまざまな領域に影響を与えられる制御メカニズムを構築できる。しかし、イブに生じたのは、経営陣が彼女の要求によって攻撃されていると感じて自分たちを守っただけだった。したがって、料理人たちは状況をあたかも経営陣が「味方」であるかのように解釈し、イブに対する料理人らの嫌がらせを正当化するものだった。 嫌がらせは続き、激しさを増してイブは完全に権威を失った。 激しい議論が毎日のように行われた。
そんな議論を偶然聞いた経営陣の一人がイブを呼び出して報告を求めた。 彼女は会議室に入ると、自分が法廷のようなものの前に立っていることに気づいた。状況を説明する機会は与えられず、むしろ激しく批判された。 経営陣は彼女に病気休暇を取るよう命じ、刑務所の医師 (職場の産業医) もそれを認めた。 2 年以上病気休暇をとった後、イブは最終的に仕事を失いました。 彼女は自殺で亡くなったため、二度と仕事を見つけることはできなかった。
Mobbingの歴史
mobbingの語源は、あの有名な動物行動学者のLorenzが、一頭の大きな動物を脅かす小さな動物の攻撃による脅威をmobbingと呼んだことにはじまる
その後スウェーデンの心理学者が子供たちが学校で一人を対象に小グループが攻撃を加えることをmobbingとして援用した
子供のいじめにかんする調査が続いた後、1980年前半に、職場でも同じことが生じていると指摘された
本論文でbullyingではなくmobbingという用語を使用したのは、mobbingはbullyingのような壊滅的なコミュニケーションではないが、センシティブな方法でおこなわれ、それでも強い偏見を生み出すような方法だからである
bullyingは強い身体的な攻撃を意味する
しかし職場のmobbingは身体的な攻撃を伴わない (これです一番ひどいのは)。そのかわり、洗練された行動で、例えば対象者を社会的に孤立させる (まさにこれです)。私は、bullyingを子供や思春期の青年が画工で行う行動、mobbingは大人が職場など社会で行う行動に用いることを提案する
ほかの同義語は、ハラスメント、あるいはpsychological terrorである
最初にmobbingが言及されたのは、"the harassed worker" (Brodsky, 1976) である
しかし彼はのちの研究で明かされるmobbingによる心理社会的職業的影響を述べただけで事例の分析に関心を示さなかった
Mobbingの定義
職場におけるpsychological terrorまたはmobbingは、ひとりまたは数名の個人が一人に対して系統だった方法で行う敵意のあるまたは倫理に反するコミュニケーションで、被害者は絶望的かつ身を守れない状況に追いやられ、逃れられなくさせるものである
これは最低でも週に一回という高頻度で、半年以上継続的に続く
mobbingは一時的な葛藤や一時的な心理学的・精神医学的に委譲を呈するものを含まない
そして、さらには退職の可能性があるところまで追いやることを指す
MobbingとStressの関係
心理学的なフラストレーション (ストレスによる) によってmobbingが生じるとしている (つまり加害者には心理学的なストレスがあるとしている)
MobbingとConflictの関係
mobbingが葛藤解決の文脈で研究されていないために、葛藤解決技法が手助けになるとは限らない
Mobbingの見つけ方
mobbingは次の典型的な行動を含む
これがLaymann mobbing inventoryになっている
ドイツ語の文献だが5因子構造が示されている (入手できれば読むこと)
被害者の適切なコミュニケーションへの影響 (コミュニケートできなくさせる、沈黙させられる、言語的な攻撃、言語的な脅し、拒絶するための発言)
被害者の社会的なコンタクトへの影響 (同僚はあなたに話しかけない、マネージメントによってそうさせられる、ほかの部屋に置かれる
被害者の評判への影響 (噂を流される、陰口を言われる、障害・種族・動きや発言をからかわれる)
被害者の仕事への影響 (仕事を与えられなくなる、意味のない仕事を課せられる)
被害者の身体的健康への影響 (危険な仕事をさせられる、身体的な脅威にさらされたり攻撃される、性的なハラスメントをうける)
Mobbingの典型的な経過
Critical incidents: トリガーの多くは対立・葛藤である。したがってmobbingは対立・葛藤のエスカレーションと思われる。何が対立・葛藤をmobbingへと発展させるか多くが知られていないが、mobbingの最初の時期は非常に短く、次の段階では偏見による同僚または管理者による行動が生じる
mobbing and stigmatizing: mobbingは普通のやりとりなら必要ではない多くの攻撃や追放がある。これらの行動はほぼ毎日、長期間行われて彼らの文脈を変え、被害者を偏見の目にさらすために使われる。実際、観察されたすべての行動は、通常の日常コミュニケーションにおける通常の意味に関係なく、「人を攻撃する」またはその人を罰するという意図に基づいているという共通点がある。 したがって、攻撃的な操作がこれらの主な特徴である
Personnel management: マネージメントの段階に入ると、事例として認識される。前段階の偏見により、状況は被害者の問題として誤って判断される。経営陣は、前の段階で生じた偏見を受け入れ、引き継ぐ傾向がある。 これは、被害者という「悪を取り除く」ために何かをしたいという願望を引き起こすことが非常に多い。 人事管理は労働法によって管理されているため、多くは重大な権利侵害につながる。この段階では、被害者は最終的にマークされ、非難される。原因帰属の誤りにより同僚や経営陣は環境要因ではなく個人の特性に基づいて説明する傾向がある。 これは特に、経営者が心理的な労働環境に責任を負い、その状況に対する責任を受け入れることを拒否する場合に当てはまる
Expulsiion: 職場のmobbingに関していえば、退職以前に労働生活から追放する社会的影響はよく知られており、被害者が医学的または心理的な助けを求める原因となる重篤な病気の発症の原因になっていると考えられる。しかし、これまで議論されてきたように、被害者の話を信じないため、あるいは引き金となった社会的出来事を調べようとしないため、専門家によって被害者が誤って診断される可能性が非常に高い。 これまでのところ最も誤った診断は、パラノイア、躁うつ病、または性格障害である
(Leymannは完璧すぎる)
(すなわち、明確な事実関係とは別の風評や誰かの感情などの偏見に満ちた話題があふれているときそれはmobbingの発生と誰が加害者たちであるかを意味していると疑える)
Eveの事例へのコメント
Evenの事例では以下の経過を伴った
(これは完璧な記述)
最初は対立・葛藤が生じ、それはマネージメントの責任ではあったが解決しなかった
対立・葛藤が長期にわたり解決が提供されず、ハラスメントを受けている人は毎日脅威と敵意にさらされ続けた
偶然にも管理者が行動を起こしたが、本人に審議を訪ねることなくうわさや訴えを信用し、被害者を組織として処分した。これはmobbingの経過に典型的である
管理者の行動によって、疑問を投げかけられた被害者は権威をはく奪されて組織に居続けることが難しくなり、将来にわたるキャリア形成の機会も奪われ、自殺した
ここで強調しなければならないのは、現実的に意味があっても、誰が紛争を引き起こしたか、誰が正しいのかを議論するのは無駄であり、職場での一種の社会的および心理的攻撃について議論する必要がある。これは、個人に重大な法的、社会的、経済的、心理的影響をもたらす可能性がある。これらの結果は非常に深刻で、権利侵害として見られるべきである点に注意が必要となる。
高度に工業化された西側世界では、職場は人々が法廷に持ち込まれる危険を冒さずに殺し合える「戦場」として残っている。 スウェーデンでは、年間自殺者の約 10 ~ 20% に、背景に暴徒化プロセスが働いていることが判明している。
さらに非常に重要な疑問がある。職場での葛藤・対立が制御不能になった場合にmobbingにエスカレートすることを許すべきだろうか。このようなプロセスは、身体的傷害と同等に評価されるべきである。 結局のところ、これらは生涯にわたる損害につながる可能性のある深刻な結果を伴う精神的な職業上の傷害である。さらには、雇用主にとっても非常に高価になる。
mobbingのその後 (影響)
社会的な影響:病気になる、退職する
組織的な影響:病欠が増える、職場の心理社会的状況が悪くなる
被害者への影響:PTSD、労働環境からの追放
疫学調査
以前にmobbingを受けた経験は3.5%で、30年間働くと25%が経験すると見積もられる
男性45%
mobbingは同性間で生じやすいが、異性間でも生じる
年齢は21-40歳が最多
40%程度が2-4名にmobbingされている
学校、大学など教育関係の産業が多い
mobbing被害者の10-20%は深刻な疾患に陥るか自殺を試みる
民間企業のほうがややいじめが少ない傾向があったと売る研究もある
なぜmobbingが起こるか
①組織の要因
組織化されていない環境・仕事の方法、助けがない・無関心な管理者
特に病院、学校、宗教団体
具体的には、例えばあるインタビューした病院では、看護師の多くはだれが自分の上司かしらなかった。具体的には、病院は医者による指揮命令系統と看護師による指揮命令系統が存在しており、双方の上司が指揮権を持っている。
多くの場合、非公式な自発的リーダーシップは物事を達成するために必要になる (組織マネージメントに関する文献では危険とマークされているが)。その結果、看護師が仕事を遂行するために権限を持たないまま、看護師のグループ内で指揮を引き継ぐような状況が生じる。この非公式な手順に関する明確なルールや、同僚がこれを受け入れるかどうかについての知識は存在していない。
したがって、多くの葛藤を生じうる。したがって、マネージメント訓練や葛藤解決の意欲の有無によらず葛藤・対立は長期化しうる。
特に、ほぼ女性だけが雇用されている労働社会では、女性が社会的・協力的な集団関係に依存しているため、紛争が激化する傾向があります。
(看護師のような指揮命令系統が重複したり引き継ぎやその場のリーダーシップなどルール化できないものがあると葛藤・対立のリスクが向上し、それが日々生じると収束しないと言っている)
②対立・葛藤管理の欠如
管理者がグループダイナミクスに入ってしまう場合はどちらかの立場につくことになる
管理者がけんかを無視する (やはり葛藤・対立のエスカレートモデルによっている)
これらは危険であり、葛藤・対立をmobbingに発展させる要因である (あっているしここまで説明している理論は初めてみた)
男女によるいじめの生起の差などほとんどわかっていないが、女性は間接的 (噂話、中傷、ほかの人をmobbingするように促す)にmobbingを行うため、怒り・攻撃という尺度では表面化しない・存在しないことになる点に注意が必要である
(言い換えれば、噂話・中傷・他人へのmobbingの促しはmobberであることを示しているのでわかりやすい)
③被害者のパーソナリティーは?
これまで述べているようにLeymannはmobbingの最終的な帰着として経営層・管理者から被害者のパーソナリティーの要因によってうわさや対立が生じていると原因帰属する立場をとる
対策Measures
National Board of Occupational Safety and Health (NBOSH) in Stockholmは1989から職場いじめに関する教育ビデオを出している
対策についてはmobbingのどの段階に用いるかを検討する必要がある (Leymannはすごい、誰かの引用ではなく自分でここまで考えられる文章を初めて読んだ)
予防段階
管理職がルールを定めて予防する
管理職に葛藤・対立のマネージメント、組織のポリシーを用いたトレーニングを実施する
葛藤・対立が生じた際の振る舞いに関するポリシーが必要
早期介入
管理者はmobbingに発展する最初の兆候を読み取る能力が必要
相談担当者を任命
この担当者には事例に関与できるよう経営者から権限を委任される必要がある
ケーススタディによると管理者による早期介入の欠如は、監督者が葛藤・対立状況における自身の組織的役割に不安を感じていることが反映されている
したがって組織のポリシーが重要となる
早期の予防と介入の 1 つの方法は、社内の組織問題を正し、組織の秩序と行動倫理を形成すること
ポリシーだけでなく管理職同士で合意の得られた行動を明示しておくということ
職業リハビリテーションVocational Rehabilitation
mobbingの段階が進むと管理者は被害者を守る義務が生じる
被害者の偏見から守り職場環境を回復しなければならない
(どうやって回復するかが問題でmobbingが生じる時点で加害者集団は正しい情報を提示しても理解する能力に欠けている可能性がたかい)
またひつようなら休暇や職業リハビリテーションの機会を与えなければならない
弱者を集団被害のプロセスにさらし、その後単に被害者を切り捨てるのは経営上の重大な失敗として分類されるべき
(日本にこの考え方はない、海外はどうかわからない、Leymannが理想論として提示しているだけかもしれない)
法律Law
スカンジナビア半島では (Sweden, Finland and Norway) 法律により労働者の心身の健康に関する権利が認められている
条例の 1 つは、早期に対策を講じることができるよう、雇用主に定期的に労働環境を内部管理することを義務付けている
また職場でmbbingが発生した場合、別の条例で直接介入が求められる
3 番目の条例では、従業員が 1 年間に頻繁に病気休暇をとった場合、または少なくとも 1 か月間病気休暇をとった場合に、雇用主に職業リハビリテーションの責任が求められる
文献
Brodsky, C. M. (1976). The harassed worker. Tronto: Lexington Books; DC Heath and Company.
Leymann, H. (1996). The content and development of mobbing at work. European Journal of Work and Organizational Psychology, 5, 165-184. (this note)
所感
対立エスカレーションモデルとその経過、および偏見による経営陣の誤った判断により一人が組織から追い出されることをしめしたもの
葛藤マネージメント技法について記載がない
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