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パーティーはほどほどに

「君たちには今から、あるゲームをしてもらう。」

デスゲームの冒頭でよく聞くようなセリフを言い放ったのは、最近『ぶどうがり』というトリオを結成した、"めっちゃ明るくてめっちゃ楽しい"でお馴染みのホセマイアミだ。

「ゲームとは!?まさか…!命をかけた殺し合いのゲームのことかっ!?!?」とアイアンパラドックスの堤(※ワンナイトたこ焼き 参照)が叫ぶ。
スーパーフライデー深田は堤の陰に隠れて震えながら怯えている。

フッと不敵な笑みを浮かべたホセは、堤、深田、私の三人にニンテンドースイッチのコントローラーを渡した。

「君たちには今から、マリオパーティーをしてもらうぜ!もちろん俺も参加する!!」

私たちはほっと胸を撫で下ろし、四人でマリオパーティーをすることになった。
そういえば、四人のグループLINEで『マリオパーティーをする為に集まろう!』とみんなで予定を合わせたんだった。

「ちょっとタイム、タイム!」

マリオパーティーで盛り上がって14時間が経った頃だろうか。ホセが突然声を上げた。

「ホセ、どうしたん?」

私がそう聞くと、ホセは一点を見つめながらこう言った。

「俺の相棒、ヨシダの様子がおかしいんだ。」

ホセの言うヨシダと言うのは、マリオのキャラクター・ヨッシーのことだ。
ホセはマリオパーティーのキャラ選択でヨッシーを選んでいた。

「様子がおかしいって、どういうこと?」

「画面を見てくれ。」

水分宅の50インチのテレビの大画面(すみません、自慢したいが為にわざわざインチを言いました!)を四人で凝視した。そこには信じられない光景があった。

ヨッシーがこちらに背を向けて、なにやらえずいている。朝方の道頓堀や宗右衛門町でよく見る、吐く寸前の酔っぱらいかのようなシルエットだ。

「おい、ヨシダ!!大丈夫か!?水飲むか!?水分、ヨシダに飲ませる水をくれ!」

緊迫感のあるホセの要望に、急いでコップに水を注ぎ持って来た。
ホセはその水を私の50インチのテレビにぶっかけ、大声で叫んだ。

「ヨシダーーーーー!!!!!生きろーーーーーーーー!!!!!!」

ホセの思いが届いたのか、だんだんとヨッシーの背筋がピンと伸びて来た。
するとヨッシーがこちらを振り返り、どんどんアップになっていき画面いっぱいにヨッシーの顔が映された。

「ヨシダ…!元気になったか!よかった!!」

目に涙を浮かべて喜ぶホセ。それを見て私も堤も深田ももらい泣きしてしまった。

「14時間もパーティーされたらさすがに疲れるわ。帰りまーす」

大画面の中でヨッシーはそう言い捨て、どこかへ行ってしまった。
残されたクリボー、ヘイホー、ピーチは、ただただ天を仰いでいた。

「もうやめようぜ、こんなこと。ヨシダの言う通りやわ。14時間もマリオパーティーするなんてどう考えても狂ってる。」

まさかホセマイアミが常識人だなんて、誰が想像しただろうか。
真っ当なホセの意見にみんなで頷き合い、パーティーはお開きにしようということで合意した。

長いようで短い夜が終わった。
なんて楽しい時間だったのだろう。
じゃあな!と手を振り帰って行く三人の背中をしばらく見つめた。そしてゆっくりと玄関のドアを閉め、空っぽになった部屋でテーブルに散らばるお菓子のゴミを片付けながら、パーティーの余韻に浸る。


楽しかったなあ。本当に楽しかった。


私はその余韻のまま、水没した50インチのテレビの弁償代をホセマイアミに請求する準備を始めたのだった。

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