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美しい彼を語ろう!2(ドドドネタバレ)

このnoteは美しい彼に日常生活に支障が出るほどハマってしまった女が、自分の好きを整理するために書いたものだ。
目標は美しい文章で書くことと、なるべく整然と書くこと。
今回はドラマS1について語っていこう。
このnoteのなかで書いてることは私の中の推測の域を出ない世迷言である。人には人の世迷言。あまり真に受けず軽い気持ちで読んでくれ。

あとネタバレも含むから気をつけてね。

青春って甘美で痛い!

思い返せば私にとってドラマ『美しい彼』S1の魅力は青春の痛みと美しさだった。

学校生活は思春期の子供たちにとって戦場だ。少なくとも私にとってはそうだった。未発達な人間たちが何人もひとつの箱に閉じ込められて、無理やりに育てられる。閉ざされた空間の中で徐々にヒエラルキーが形成されていく。
主人公の平良はそのヒエラルキーの最底辺に、清居はそのトップへと据えられていた。2人とも青春の濁流に流されて流されて、ついに出会う。
その出会いのシーンの鮮烈さが今も頭を離れない。
桜の花びらが舞う中の清居は本当に「美しい彼」そのもので、平良は彼を見て一目で囚われてしまうのだ。

私が初めて美しい彼を見たのはおそらく大学1年生の頃だったと思う。大人と子供のあわいの不安定な痛みを実感として理解出来て、それが少し苦しかった。
私はドラマを観て平良のように心を奪われたが作品を何度も見返すことはなかった。今思うとあの作品の痛みは当時の私には少し近すぎた。そのくらい『美しい彼』S1には夢のように美しい映像とは裏腹にリアルな痛みがあった。

この世界はどうにも生きにくい!

では私はこの作品のどこに「リアルな痛み」を感じたのだろう。
映像も物語もキャラクターも非現実的に美しい。リアルとは程遠いように思えるがそれぞれから時おり苦いリアルが顔をのぞかせる。
おそらく私が『美しい彼』から感じたそれは作品の根底にある世界観のリアルだ。
他人は理解し合えない。搾取やいじめは確かに存在していて、この世界はどうにも生きにくい。理不尽にいくら耐えたって報いが来ることは少ない。
そんな諦念じみたリアリティがこの作品の根元に流れてるように感じる。

そんな中でも唯一無二に出逢えたら、世界は輝いて見えるかもしれない。
だからこそ、この作品の映像は夢のように美しい。私にとって美しい彼はこんな世界を生きる私たちへの救いの提示のように思える。

春の夜の夢ェ!!

春の夜の夢という言葉を知っているだろうか。
短く儚いことの例えだが、まさに美しい彼にぴったりな言葉だ。
美しい彼の中では絶えず変化し続ける時間感覚が大事にされているように感じる。
時間は人の感情に関わらず淡々と流れ、時間が流れる限りあらゆるものは絶えず変化し続ける。
このテーマは主にS2と劇場版において強調されていると思うが、S1にもその片鱗が見える。

例えば、S1の前半は彼らの出会いと高校生活、そしてその終焉までを描いている。それに対して後半は春の夜の夢から醒めた彼らがどの道を選び何を得て何を失うのかといった物語だ。
この前半と後半の対比がひどくノスタルジーを呼び起こす。

前半はほとんどが平良の立場から描写されるのに対し後半は清居と平良両者の立場の描写が多い。
つまり前半の高校生活は平良が観た夢なのである。
幸せで甘美な片思いとまさしく神のごとく描かれた清居。しかし清居は1人の人間であったのだと後半に私たちは理解することになる。

清居はどうしようもなく人間だった。キングの殻をかぶり孤独で愛に飢えていた。
恍惚とした、恋心と信仰のこもった目で見つめてくる平良に対して時間と共に明確に対等な恋心を持ってしまった。
不可逆だ。もう心を元の形に戻すことは出来ない。高校時代に過ごした痛くて美しい激しくて穏やかな時間にはもう戻れない。
キャラクターの想いも周りの環境も少しづつ、しかし確実に形を変えていく。
不可逆な変化を続ける無情な時間感覚の中で彼らは苦しみながら自分たちなりの答えを見つけていくのだ。

時間が進む限り私たちは何かを失い続けるし何かを得続ける。幸せ不幸せ正しい正しくない関わらず全ての過去はもう私たちの手の届かない場所にある。
この残酷さがたまらなく好きだ。
彼らは幸せな結末にたどり着いたが、一方であの美しい高校時代には決して戻れない。私はそのノスタルジーにどうしようもなく惹かれてしまうのかもしれない。


自分の好きという感情を少しは理解出来たかな。これでいつ美しい彼のプレゼンを求められても安心だね。
これ書いてて思ったのは、美しい文章と自分の感情の整理はあまり相性が良くない。本当は表とかにまとめた方がいいと思う。けど、この美しい文章で美しいものへの愛を語る行為、祈りのようで結構私は好き。
本当は演出とか音楽とか俳優さんの演技とかにも注目して事細かに書きたいんだけど、異常長文書になっちゃうから今回は省きました。いつか書けたら良いなぁ。

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