飯場で働いたら人生観が変わった話

家や寮を追い出されて有り金が底を尽き
こんなはずではなかったと後悔しても時すでに遅し

頼る親類や友人が居なければ絶望的だ

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でも

それでも生きて行かなければならない

頭の悪い私でも
食べる物や寝る所を確保するべく住み込みで働こうと考えた


寮がある業界といえば

パッと思い付くのは新聞配達やパチンコ店、風俗や製造派遣てところか


しかし手持ちのカネが全く無いと寮に入れても飯が食えない。

それなら土方という選択
3食付いて個室の部屋に大浴場があって給料が頂ける
それが飯場

運とオツムが足りないパチンカー

人生舐めてた20歳の頃。

給料出てすぐ仕事先(寮)から逃げた

カプセルホテルで宿とりながらパチプロ気取りで打つも博才が無いのであっという間に破産

手持ちわずか100円2枚だけ

馬鹿だね 無くなって初めて我に帰る

放心してても腹は減るのでスーパーに行き半額の値札が付いたパン1個とショートホープ1個を買って見事残金0円になった

はじめてのホームレス

私には身寄りが居ないので寝る場所がない

右往左往するも金が無ければ何もできず
公園のベンチで立ち尽くし夜を明かした

初秋もあって程よい気温で蚊も出なかった
けれど固いベンチで寝たが故に、背中と腰が酷く痛む
二度と寝るまいと思った

気が付くと胸ポケットに入っていたショートホープが誰かにスられた事に気付く

盗られた悔しさと一服できない悔しさで最低の朝を迎えた。

それもこれもパチンコ行かなければ、いや、職場から逃げなければこんな思いをしなくて良かったのに。


金も無いのに開店したばかりのパチンコ屋に入る

オシボリで顔と身体を拭き、フリードリンクのお茶をすする

漫画や新聞が置いてあるので時間は潰せる

しかし3時間過ぎると急激に腹が減る

お茶だけでは当然腹は膨れない


なんと床に500円玉が転がっていた

誰も気付いてないのでサラッと頂いて足早に近所の吉野家で牛丼の大盛りを食べた

これ、結構イケるんじゃないか?
飯代稼げるのではないか!と、混んでるパチンコ屋に出向き、金が落ちていないか足元を探し、サンドの返却口を見て廻った

結果、閉店までに2000円程落ちていた

食べていけると思ったが甘くはなかった

モニターで見ていたのだろう数人の店員に囲まれ事務所でこんこんと説教を受けた

拾った金を返却し、二度と立ち入りませんと誓約書にサインして退店した。

警察沙汰になってもおかしくない事だったので強く反省をした

これではいかんぞと

同じ事して捕まってもしょうがないので働く決意をした

当時、名古屋地区の無料求人誌に載っていた寮付きは栄付近にあるカジノのディーラーや、そのスタッフがほとんどだった。

経験あるパチンコ屋で働こうとしたが名古屋市内は何故か寮無しがほとんど
あっても入社して暫くしてからとか条件つきで


で、拾ったスポーツ新聞の求人欄に土工や鳶と募集があった

経験は無いがどうだろうか?悩んでも仕方ない

【未経験歓迎 寮付き 温かい食事有り!】

1番大きい広告の渥美組に決めた

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履歴書不要で即入寮

適当に登録書類にサインして翌日から仕事だ

必要最低限の工具やヘルメットや軍手など貸与されたので初期費用は要らなかった。

長袖とチノパンがあれば現場に入れた

飯場とは?

日本において鉱山労働者や大規模な土木工事や建築現場での作業員用の給食および宿泊施設のこと。現在では、町中で行われる建設工事現場の(宿泊を伴わない)休憩所や食堂の意味で使用されることもあるが、清潔感などに欠ける表現であるためいくぶん否定的な意味でのみ用いられる傾向がある。
Wikipediaより


渥美組ってどんな所?

関東、関西に数多くの支店を持ち土工や鳶など建築に携わる大手の人材派遣会社


働いて2日したら事務所に呼び出され関西に行って欲しいと。

阪神大震災があって復興するのに人手が足りないからと泉南支店に半強制的に回された

小牧は鉄筋コンクリート構造で4畳程の個室だから比較的快適だった

泉南はプレハブ作りだから壁が薄いベニヤだけ

薄いから隣の鼻かむ音や放屁の音が丸聞こえ

とても耐えられる環境じゃなくて。

しかも食事マズイ(笑)

それもこれもパチンコ行かなければ、いや、職場から逃げなければこんな思いをしなくて良かったのに。


飯場の生活

朝4時に寮内に音楽が流れる(チャイムだっけか)

朝メシを食べて準備して事務所前に集まる

『お前はココ!お前はここな!』現場ごとに振り分けられる 市場のセリのように

泉南自体仕事が多い訳ではなかった。

で、残った人は西成本社に回される

マイクロバスに乗り合わせて西成まで(片道1時間ちょい)行って、また振り分けられる

決まった人は電車賃を現金で貰って各現場に直行する流れだ

この間、給料は発生していない
8時から17時迄が労働だから

残業扱いにならない 朝早いくせにさ

早く15日を終え退職しようと頑張った

自宅から通う人は仕事終了時に給料を受け取れるが寮生は土工の場合、日当9000円
で15日契約。契約期間を終了する事を満期といって縛りがある
寮費と飯代は確か3000円程

そのほか諸式(そしき)といって仕事終了時に2000円前渡しで貰える
満期になっても前渡しが多い程、目減りするのでしない方がよい

会社にによっては金額が変動する事があるから下調べは必要だ
阪神大震災の爪痕

関西来て初めての現場は神戸市長田区

一生忘れる事はできない光景

元は綺麗な街並みだったであろう

全てがペシャンコで姿形がないんだ

震災後3週間後だったから余計生々しく感じた

直後は想像するにさぞ大変だっただろう

請け負った仕事はビルの内装のハツリ

総勢10人で解体してトラックへ運び出す作業

仕事内容は誰でも出来る作業だったが、いつ来るか分からない余震への恐怖と今居るビルが崩れるのでは?と常に不安で精神的に疲れたのを覚えている

先生は沢山居た

飯場にいる人は過去にいろんな経歴を持っていて明るく話してくれて退屈はしなかった

行き帰りのマイクロバスの中で色々な話を聞いた

甲子園の話や株で損して失踪した話

拘置所での話もしてくれたっけ

実際、本当か嘘か分からないけど、その業界でしか分からない内容を教えて頂いた

話がうまいんだみんな。先生みたく噛み砕いて面白おかしく話してくれる

でも、

必ず会話の最後は

『早くココを出なアカンで。』

『若いんやし、他にもあるやろ』

決まって諭してくれた。

隣のオヤジがAVで抜いて『シュッ』とティッシュ取り出す音聞きたくないから急いで頑張って満期まで勤めあげる事ができた。

退寮するとき番頭に言われた【戻らんでええ】が響いたなぁ

最後に

飯場に行くことを決して勧めないが人生に迷っている人には良い刺激になるのではと考えてる

いろんな人が居て、飽きないし楽しめると思う

ただ、記述にあるように拘束時間に対して給料が安い!出発から帰宅まで実に14時間!

時間給に割ると(笑)やってられんよ

行ったこと無い大都会東京 帝国ホテルのラウンジにて珈琲を頂く為の旅費と珈琲代にします