Adrianne Lenkerに癒やされKim Gordonに引きしめられた-2024年3月に気になった音楽-
Bright Future/Adrianne Lenker
個人的に2月の中頃からプレッシャーが重く感じる暮らしをしていたのですが、ついに心が弾けてベッドから動けない状態になっていしまいました。そんな時に楽しみにしていたエイドリアンの新譜。もう少し体調が良くなってからの方がいいよなと思いながら聞きだしたらあまりにもいい歌過ぎて心が優しく包まれるようなそんな感覚がして抱えていたストレスが和らいだ感覚がしました。初めてエイドリアンの歌を聞いた時から彼女の歌の凄さはわかっていたのですがSNSでも称賛の声を多数見かけてこんなに沢山の人に広まっているのだなと僕まで嬉しい気持ちになりました。どれだけデジタルやAIが進化しても"歌"だけは人間を超えることはできないと勝手に思っていて、理由を聞かれることがあればエイドリアンみたいに心に響く歌を歌える人がいるからだと答えたいです。
Fool/Adrianne Lenker
The Collective/Kim Gordon
コードがあってないようなノーウェイブのような雰囲気も感じました。同じノーウェイブだとGilla Bandが最近好きですがどちらかといえばアグレッシブなバンドの肉体感があるサウンドです。キム・ゴードンの今作は真綿で首を絞められるようなじわじわとした緊張感を感じました。RPGの薄暗い機械的な工場、地下水道がモチーフのダンジョンででいつどこから敵が出てくるのかわからないみたいな。久しぶりに音楽を聞いてゾクッとしました。
I'm a Man/Kim Gordon
Where's My Utopia?/Yard Act
2022年のBlack Midiのアルバム以降「ポストパンク×〇〇」みたいな掛け算を成功させるバンドが多くて面白いシーンだなと思っています、UKのポストパンク。去年のSquidのアルバムも素晴らしかった。初期作品の粗削りで感情むき出しのサウンドも一興ですが個人的にはバンドのキャラクターを残しながら良い部分をブーストしてくれるような新しい切り口を持った作品が好きなので今回のYard Actの作品は当たり前に好きでした。
軽快なんだけどフックがたくさんあって、ビートはかっこいいけど後ろでベースとギターが悪さしてる感じ。最近サイケを取り入れだしたR&Bアーティストでもやってないだろうと勝手に思い込んでいます。
We Make Hits/Yard Act
Y'Y/Amaro Freitas
前情報無しに初めて聞いたアマーロ・フレイタス。Xでは直感的なことを語りましたが↓の柳樂さんの記事を読むとより解像度が上がって聴き直すことができました。
プリペアドピアノを使っていたというのが衝撃で、ジョン・ケージを少し聞きかじったくらいの自分からすると実験的なことをしていた作品なのだなと感じました。特に2曲目の↓はプリペアドピアノっぽい音がするなと思います。
初めはガットギターの音だと思っていたのですがプリペアドピアノと聞かされるとたしかに独特な音のミュート具合はギターでは出せないかと思ってしまいます。
作品のからくりはなんとなくわかったものの作品を聴き込んで感じることはXで述べたことが大きいです。ここまで深い作り込みを感じられた作品は個人的に久しぶりかもしれません。
Speak To Me/Julian Lage
ギターが鳴らせる美味しい部分を詰め込んだギターを聞きたい作品です。ガット、エレキ中心に奏でられるジャズ、ブルース、カントリーの楽曲群。"Northern Shuffle"で見られた少し歪ませたギターのコリッとしたアタック感が好きです。アルバム表題曲の"Speak To Me"のギターソロも好きです。トーンを絞ったまろやかなサウンド、スライドやチョーキングの音の掠れ具合にギタリストの熱を感じました。
Speak To Me/Julian Lage
Super Legend/阿部芙蓉美
11年ぶりの(!!!)ニューアルバム。ナタリーのコメントだとその間は音楽への興味が薄れていくような日々だったらしいです。
そうなのか…戸惑ってしまうくらい意欲的に音楽のトレンドを取り入れて素晴らしい作品だと思いました。Tombarlinを思い出してしまったのですがフォーキーで静かな中にシンセや打ち込みが溶け込んでいく非現実感がほんとに好きです。
Daniel/Real Estate
最近の個人的なトレンドとして"只々いい曲が聞きたい"という考えがあってそれの最たるものがReal Estateかなと感じています。美しいメロディーとジャングリーで温かみのあるトーンのバンドアンサンブル、時折見せる深くディレイのかかったアンビエンス。一見どこにでもいるじゃないかと思われるかもですがだからこそ「あぁ…良いなあ」と思わせる何かが必要でReal Estateには何かがあったと思っています。個人的には歌とメロディに心を揺さぶられました。
Flowers/Real Estate
その他
・Niel Young、Joni MitchellのSpotify復活
ニール・ヤングは何枚か聞きましたが"After the Gold Rush"のフォーキーでグッドメロディな感じが一番好きです。キーが比較的高めでニール・ヤングの鼻にかかった歌声がすこしへろっとなる感じが味があって好きです。
ジョニ・ミッチェルは"Blue"を事あるごとに聞いてはなんかしっくり来なかったのですが、変則チューニングでギターを弾いてると知ってからはコードのぼやっとした感じが逆に気持ち良いと感じるようになりました。
この2組を聞き出した頃+Adrianne Lenkerの影響でグッドメロディを聴きたい耳にすっかり変わってしまいました。
Tell Me Why/Niel Young
All I Want/Joni Mitchell
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?