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『すぐに』

「ご注文をお受けしてから発送し、すぐにお届けいたします!」
 

ウソや。もう注文してから二週間や。注文してすぐに送られてきたメールでは、       「現在の配達日数の目安は七〜十日間となっております。」って書いてたやん。        このメールは注文して「すぐに」送られてきた。もう秒で。それが「すぐに」ちゃうんか。  

いや、まあな、海外からの発送やからな、わからんでもないねん。国内よりも手続きあるやろうしな。                     せやから七日できたらラッキー、くらいで一週間は過ごしてたわ。一週間過ぎたぐらいから、まだけえへんのかなってちょっと気になってくるやん。ほんで発送状況見たら、注文されてから二日後の午前中に、              「引受 取扱局: NETHERLANDS」      ってなっててん。てことはな、十日前にオランダから発送されてねん。            海外発送てことを、もちろん考慮した上でやねんけど、

     え、そんなかかる?  


ほんまにいろんな事情があると思うねん。こういう国際状況やしな。うん。ありがとうございます。俺の荷物に関わってくれてる人たち。それはわかってる。ほんならな、 

「ご注文をお受けしてから発送し、すぐにお届けいたします!」

ってやめてほしい。

「ご注文をお受けしてから発送し、すぐにお届けしますが十日以上かかる可能性が十分にございます。何卒ご理解のほどよろしくお願いします。」


みたいな感じでええやん。「すぐに」に騙されたみたいな感じなってまうやん。何なら最後のびっくりマークも何か腹立ってくるわ。俺今日までの宿題あんのに、毎分確認してまうわ。最悪や。全然他のこと考えられへん。そもそも「すぐに」ってなんや。ネットで調べよ。

   すぐー 時・距離などの間がなく。
       時をおかずに。直ちに。
       ちょっとした事にも簡単に。

 そりゃそうか。んー。
そう言えばこの前、おばあちゃんと話してた時、「七十年なんかあっという間やでぇ。すぐにヨボヨボになってまう。」ってゆーてたなぁ。   ほんまにそれ「すぐに」なんか?       だって七十年やで。俺なんか、さっき、まだ水曜日か、って思ったのに。そうや、母さんに聞いてみよ。


「母さーん」
「何や?」
「先月って短かった?長かった?」
「何でそんな事聞くんや?まぁ、先月は三十日しかあらへんかったから三十一日ある月よりは短かったなぁ。」
「いや、そーゆー事じゃなくて、そのぉ、感覚的に?」
「あぁ、感覚的にかぁ。そうやなぁ。先月は長かったな。」
「そうかぁ。ほんなら、高校生のときは?」
「短かったたなぁ。学生時代なんかすぐに過ぎ去ってしまうわ。」
「そうか。ありがとう。」
「う、うん。でも、何で?」
「いや、別に。」


 あかん。わからんくなってきた。絶対に、「すぐに」じゃないのに。絶対に「すぐに」やのに。「すぐに」の沼にはまってしもた。とりあえず、宿題は今はできひんわ。それよりなんかお腹減ってきたなぁ。
「母さん、お昼なんか食べるもんある?」
「せやなぁ、昨日の残りでええか?」
「え、ハンバーグ残ってんの?」
「そうや。昨日お父さん帰ってくんの遅かったから結局食べてへんねん。」
「え、ほなハンバーグ食べるわ。」
 ハンバーグ二日連続で食べれんのはラッキーやなぁ。最近そうめん飽きてきてたから丁度よかった。

      「ごちそうさまでした。」


 はぁ。もうお腹いっぱいや。ご飯食べたら、なんか眠たなってきたなぁ。そやそや、配送状況確認。


「現在、お近くの配送所からお持ち出ししております。 配達予定日:本日中」


 え。配送状況が一気に更新されてる。昨日の夜にはもう大阪に着いとったんや。ほんで午前中には近くの配送所に送られてたんか。そうやったんか。


      なんや。すぐに来るやん。

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