![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/136030838/rectangle_large_type_2_6ba0d9d1ec1744cd27fd8f36378cb599.jpg?width=800)
【高松旅】完全予約制の古書店「なタ書」にて。
これまでの【高松旅】の記事で、旅の目的は銀杏BOYZのライブとサンライズ瀬戸に乗ることだと書いた。ただ、その日は午前中の便で高松空港に着くことになっていたので、ライブの開演時間まではかなり時間がある。どうしよう。とりあえずうどんを食べ、周辺のスーパー銭湯でも行こうかなとなんとなく調べていた時に、ふととあるXのポストで見つけたのが、高松にある予約制の古本屋さん「なタ書(なたしょ)」だった。
お店の写真を見た瞬間に、なんだこれは!と興味が湧いた私。お問い合わせ・予約はお気軽に的なことが書いてあったので、数日前に店主の藤井さんにメールをしたところ、快くOKしてくれて、おまけにおすすめのうどん店も教えていただいた。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/136030888/picture_pc_efafc7ada16cd6e3d86484db8e7a3168.jpg?width=800)
約束した時間にお店に行き、階段を上ると、店内には文庫本、漫画本、雑誌、写真集などありとあらゆるジャンルの本が所狭しと並んでいて、積まれていて、見ているだけで楽しい。ソファに座ってパラパラとページを捲り出すと、本当に時間の感覚を忘れてしまう。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/136030893/picture_pc_0d6cffd794166fcb3a433c510cb513d6.jpg?width=800)
数ある本の中から、なぜか目に留まったのが、結婚のしきたりやマナー、ドレス・うちかけなどのトレンドが載った「83年版結婚オールガイド」。うっかり縁のない本を手に取ってしまった。ここに載っている人たちは今、60代くらいだろうか。メイクもファッションもなにもかも時代を感じる一冊。そして宮沢りえの「Santa Fe」。いつだったか新聞広告にバーンとあの表紙の写真が掲載されて衝撃を受けた写真集の、中身の答え合わせを数十年かけてした気分。若いなあとは思ったけれど、いやらしいともきれいだなとも、思った以上に何も思わなかった。
最初はそんなふうに過ごしていたけれど、私は藤井さんにも興味があったので思い切って話しかけてみる。前情報によると、藤井さんはとにかくお話好きな方で、ちょっとした手伝いを頼まれたり、高松のまちを連れ回したり(!)するというのを見かけ、どんな感じで来るんだろうと楽しみでしかなかったんだけど、実際にお会いしてみて本当に「文字通り」ですごく嬉しかった。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/136030924/picture_pc_9e0c71732eb6a4af436aa72fc0dac011.png?width=800)
翻訳家の小竹由美子さんが来られる。希少なものなので当店に買い取って欲しいと。新年度初日から大きな買取依頼にこちらも気合いが入る。すると謎の布が。チベットの奥地で40年以上の修行をして会得したものだけが手にする事が出来るという布。確かに希少だが読書家には当店は本屋と思われてないのか? pic.twitter.com/L6RADuU8ez
— 藤井佳之 or キキ (@KikinoNatasyo) April 1, 2024
私は一人旅をすることが多いけれど、基本お店やホテルの人と簡単な会話しかせず、道中、一人で過ごすことがほとんどだ。私から話しかけることもない。でも、本当は私だって誰かとお話ししたいし、相手がお話好きな方だというならそれに乗っかっちゃおうということで、今回は初対面ながら私も積極的にお話しした気がする(個人比)。藤井さんは私に質問をたくさんしてくれて、そういえば自分にここまで興味をもって話しかけてくれた人はあんまりいなかったなとふと思った。それもありがたかった。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/136030895/picture_pc_0506eaa8eee73584f8fc05d6a8dd9f04.jpg?width=800)
お店で一通り話を終えた後、藤井さんは昼ごはんが食べたいというので、私もついていって一緒にお茶をした。お店のスピーカーや壁に使われている「庵治石(あじいし)」について教わる。高松は石が有名だなんて全く知らなかった。
城の眼へ。岡田石材制作の世界最高質の庵治石を使ったスピーカーが出迎える。その重さたるや4トン。前々回の東京オリンピックでは、ここからこちらのスピーカーが選手村へと貸し出されました。開店当時は音楽家の秋山邦晴の監修で、店内のBGMを選曲。ちなみに「城の眼」は秋山の詩の一部から取った名。 pic.twitter.com/5qgzPkmo5z
— 藤井佳之 or キキ (@KikinoNatasyo) April 1, 2024
お店の入り口に鎮座する庵治石のスピーカー。私の身長が155cmくらいなので、相当デカい。そして音もよい。
喫茶店のお母さんともお話しした。佇まいや話し方が本当におだやかで、それまでクサクサして過ごしていた自分を包み込んでくれるようでぶっちゃけ泣きそうだったけどそこは我慢しておいた。
私はライブ前に地元の銭湯に行きたかったので、藤井さんとはここでお別れ。今回、高松に来たけれど観光らしい観光はほとんどしてなくて、でも藤井さんのおかげで「うどん」と「ヤドン」くらいのイメージしかなかった香川県に正直めちゃくちゃ興味を持った。来年は3年に1度の「瀬戸内国際芸術祭」があるというからその頃にまた行ってみたいなあ。
思いがけない本との出会いがある、かもしれない「なタ書」。本、本屋さんが好きな人はもちろん、高松の旅を堪能したい人にぜひおすすめしたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?