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電気に温もりをのせる会社、ご存知ですか?

私たちの生活は、多くの「名もなき人」に支えられています。

スイッチを押せば電気がつき、コンロをチチチッと回せばガスがつき、蛇口をひねれば水が出ます。そのほかにも、ごみ収集場に出したものは、いつのまにか回収され、道路や電車・バスなどは、会社や学校まで問題なく通じています。

そのほかにも、多くの「名もなき人」によって、私たちの生活は支えられています。縁の下の力持ちと考えてみると、縁の下がどれほどぎゅうぎゅう詰めの状態なのか想像できないほどです。

にもかかわらず、私たちはふっとその人たちの存在を忘れてしまいます。忘れないまでも、その人たちに支払う費用をどうすれば安くできるか考えてしまいます。生活の基盤にも関わらず。

だから、ちゃんと思い出せ!忘れるな!なんて説教をしたいわけではありません。その逆です。私たちが、忘れてしまうのも仕方ないのかもしれません。

私たちは、温もりのあるものを忘れることはありません。幼いときに作ってもらった温かい料理、寒いあの日に握り返してもらった手のひら、ふと届けられた優しい一言。きっと、あの時の温もりを、あなたも大切に心の中にしまっているはずです。それを忘れることなんて考えられないほどに。


そう考えてみると、もし電気に温もりがのせられていたら、どうでしょう?

私たちはその電気のことを大切に覚えていられるのではないでしょうか。少なくとも、その電気に関わる人たちのことを忘れたり、どうすれば安くなるのかばかり考えるようなことは、無くなりそうです。

そして、電気の灯りがいつもより明るく、暖かく見えるかもしれません。

そんなおとぎ話のような、温もりのあるつながりの生まれる電力があったらいいな、なんてことを考えているときに、ある会社を見つけました。

それが「TERA Energy株式会社」さんです。

TERAと名前のつく通り、お坊さん4人によって2018年に設立された会社だそうです。

お坊さんが営利団体である株式会社を設立となると多くの人に「なんで、お坊さんが電力会社?」と驚かれるようです。

そして、多くの誤解を生んでしまうのも事実のようです。起業をして数ヶ月後に、お坊さんが新電力会社を起業するという物珍しさから、ニュースに取り上げられてしまい、Yahoo!ニュースのコメント欄は大荒れとなってしまったとのことです。

その経緯は、テラエナジーさんのnoteで丁寧に書かれています。

これを読んでいただければ、ただの金儲けのための会社でもなければ、宗教法人による会社設立でもないことが、よくわかると思います。

それでも、残る疑問は、お坊さんが電力会社で何を実現しようしているのか、ということだと思います。


日本で電力が自由化されたのが2016年、そこからさまざまな企業が電力事業に参入していきました。「◯◯でんき」という名前をよく見るようになったのもこの頃からです。

この自由化の波に際して、多くの電力会社が目指したのは、電力を安くすることだったように思います。もちろん、それ以外にも様々なサービスが追加されていますが、基本的に消費者の基準は安くなるかどうか、でした。

それに対して、テラエナジーさんは、お坊さんらしい、とても魅力的なサービスに取り組みます。それが、「寄付つきでんき」です。

この「寄付つきでんき」とは、簡単に言えば、テラエナジーさんの収益から積み立てられた資産によって、寄付が行われる仕組みのことです。

具体的には、まずテラエナジーさんと電気の契約をした人が、寄付先を選びます。そうすると、その人が支払った電気料金の中から一定の割合の金額が、寄付先へとお金が送られます。このようにして、契約者が追加の負担なしに、電気代を支払うだけで、寄付ができる仕組み、それが「寄付つきでんき」です。

電力の自由化と言われたときに、私たちはどうすれば安くなるのかを考えます。それは日々の生活でとても大切なことです。でも、それと同時に、電気を使いながら、誰かを助けることができるなら、誰かへと手を伸ばすことができるなら。日々の電気代も違って見えそうです。

実際に、テラエナジーさんと契約されているユーザーさんの声がとても素敵です。

電気が、家の灯りが、温もりが、もう1つの温もりを生んで旅をする。そんな温もりのある世の中って素敵ですよね。


このように、テラエナジーさんは、電気に温もりをのせる事業を展開されています。では、このような温もりのある事業を進めている人たちはどんな人なのでしょうか。

それについては、こちらのnoteがとてもわかりやすかったです。

このnoteの書き手である山中はるなさんは、テラエナジーの組織づくりのアドバイスなどをされている方だそうです。

このnote以外にも、テラエナジーさんのメンバーの方の温度感が伝わるnoteはたくさんあります。たとえば、取締役のつるのさんの目線で描く代表の竹本さんがとても魅力的です。なんとなく竹本さんとSUGOIの代表の秋葉が似ているような気がするのは、ここだけの話です。

たとえば、このnoteで描かれている、デザイナーさんの選定基準がフェアな関係性であるところ、とても素敵です。

そんな竹本さんを思考の部分で支えているのが、帰国子女で、大学の先生で、テラエナジーの創業メンバーという特異な経歴の本多さんのようです。

株式会社という人格はサイコパスになりやすいというとても興味深い話をされています。

このように、テラエナジーさんは、魅力的で個性的なメンバーを中心として運営されています。お寺、お坊さんがビジネスをするという物珍しさではなく、そこにこめられた温もりを少しでも感じ取ってもらえたら、嬉しい限りです。

私たちも、最初はお寺が電力会社という点に惹きつけられたのですが、知れば知るほど、温もり・つながりを大事にするその姿勢に愛とアイデアを感じ、心を打たれました。

今回は、電気に温もりをのせる社会を実現しようとしている、株式会社テラエナジーさんをご紹介しました。次回の、愛とアイデアのある企業もお楽しみに。