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この世には猫が多すぎる<カードゲーム「シュレーディンガーのねこ」を巡る物語>

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そもそもこの世界には、猫が多すぎる

SNSを開けば猫、道端の家の窓から覗く猫、片耳に赤いリボンをつけた猫のキャラクターなど、りんご三つ分の体重しかないくせに、私よりも市民権を得ている。考えすぎと思うかもしれない。だが、我が家の状況を見よ。飼っていた猫が、いつの間にか1匹が2匹、2匹が4匹と指数関数的に増え、今では数えきれないほどになっているではないか。これが侵略でないならなんだ

トイレに入っている間も、風呂に入っている時も、奴らの目に監視されている。今のところ二重思考法を使って真意を隠し、理想的な飼育者を演じてはいるが、実際毛だらけのソファで眠るのも限界だ!増大し続ける餌代で飢え死にするか? 猫砂に埋まって狂い死ぬか? 未来が二択であってはならない。私は奴らを殲滅することを決意する。

そもそもなぜ、こんなことになったのか。調査の末、私は発見した。これは全て、オーストリアに生まれたあの男のせいである。名前はエルヴィン・シュレーディンガー。1935年、彼は量子力学的記述の不完全性を説明するため、一つの思考実験を提示した。

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中身が見えない箱の中に、猫とラジウムとリレー装置と毒ガスを入れる。毒ガスで猫が死ぬ確率と、ガスが発生せず生きている確率が同じになるように設定する。すると、不思議なことが起きる。箱の中の猫は、生きている状態と死んでいる状態が重なり合った状況におかれる、のだ。かの有名な「シュレーディンガーの猫」の爆誕である

さて、ここからは皆さんがご存知の通り。この実験を境に、猫は複数の次元をまたぐ唯一の存在となった。時間の軛から逃れ、我々の手の届かないところにある力と自由を得たのである。彼らは箱を機関として利用し、やすやすと時間と次元を超え、我らをおびやかすようになった。どこからともなく猫が現れ、着々とその数を増やしていくのである。

奴らが窓辺で呑気にアクビをしている様子を見る限り、我々に敵対心を持っているようには感じられないかもしれない。侵略者には見えないと言うだろう。だが、油断するのは早すぎる!多次元的存在の意図は計り知れない。そもそも、在来種を根絶やしにする外来種が、導入された当初から牙をむいていたことがあっただろうか。奴らはむしろ、のらりくらりと、さも無害そうな顔で我々の世界に入り込み、いつの間にか多くの空間を占拠してしまう。そう、全ては量的な問題なのだ!そして、衝突を避けることは陣地を広げることでもある。猫と我々は熾烈なトロン・ゲームを繰り広げているのだ。この状態が続けば、少なくとも数年後には、地球は猫でいっぱいになってしまうだろう。そうなってしまってからでは、もちろん遅すぎる!

この脅威に立ち向かうために我々がやるべきことは一つだ。「観測」である。猫が箱に入るのを見たら、すぐに観測するのだ。間髪おかず、すぐにだ。そうすることで、次元にまたたく猫という存在を、この世界に一時的に収束させることができる。もちろん、猫の生死は関係ない。これ以上、猫を増やさないことが重要なのだ。

これだけ言っても、危機感が薄い奴がいて呆れる。例えばこの「シュレーディンガーのねこ」というカードゲームを見てほしい。このゲームは、箱に「ねこ」を入れ、そこに「毒」や「猛毒」を入れることにより、「シュレーディンガーの猫」を机上に再現する。箱の中の猫が全滅してしまったら負け、なのだが、あほらしいことに、このゲーム、自分の箱を「観測」されないことが重要なのだ。こんなことでは、猫が無限に増えてしまうではないか! これこそ猫の陰謀なのではないか、と疑う。

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皆さんはどうか、このようなゲームで遊んで時間を無駄にしないでほしい。できるだけ猫を注視し、箱に入ったらすぐに観測するように心掛けて欲しい。いやむしろ、世界中の箱という箱を廃止するか、猫が入れない大きさにするべきだ。もしくは猫に対抗するために、今こそ、人類が箱に入る時なのかもしれない。

【ゲーム詳細】
カードゲーム「シュレーディンガーのねこ」
●対象年齢:10歳以上
●プレイ人数:2-6人
●所要時間:5-15分
●セット内容:カード64枚・説明書1枚
●定価:1500円(税込)

販売サイト(BOOTH)
https://syureneko.booth.pm/items/2800523  
公式twitter:しゅれねこ公式https://twitter.com/qQ4ZdbJcGvdTYJohttps://twitter.com/qQ4ZdbJcGvdTYJo

制作:SF文学振興会ボードゲーム部

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