国際比較 社会経済地位と自主学習力の関係性
COVID-19による学校閉鎖の期間には生徒の自主学習力がより重要となりましたが、自主学習力は、親の社会経済地位とどの程度関係があるのでしょうか。
今回は、自主学習力についての国際比較をご紹介します。
結論
2018年のOECD諸国平均
困難な状況でも大抵は切り抜けられる:84%
できるだけ多く学びたい:81%
できる限り努力することに満足感を覚える:77%
イタリアとオランダを除いた参加国全てにおいて、社会経済的に恵まれた生徒は、恵まれない生徒よりも「困難な状況を乗り越えるための自己効力感」をより強く感じている。
ほぼすべての国・経済において、社会経済的に恵まれた生徒は、不利な生徒よりも「習得意欲」を多く持っている
ほぼすべての国・経済において、社会経済的に恵まれた生徒は、不利な生徒よりも「課題を習得するためのモチベーション」が高い
ほぼすべての国・経済において、保護者に勉強をサポートされていると感じている生徒は、社会経済地位が同程度であっても、自己効力感、習得目標、モチベーションが高い
*(上記の二グラフは親の社会経済地位についてコントロール済)
分析手法
15才の生徒に対するアンケートの国際比較(2018年のOECDデータ)
参考:質問項目
自己効力感(Self-Efficacyについて)
(1)物事はたいてい何とかできる
(2)物事を達成すると、自分を誇らしく思う
(3)同時に複数のことを行うことができる
(4)自分を信じることで、困難を乗り越えられる
(5)困難に直面したとき、たいてい解決策を見つけることができる
習得意欲
(1)自分の目標は、できる限り学ぶことである
(2)自分の目標は、授業で出された課題を完全に習得することである
(3)自分の目標は、できるだけ完璧に授業の内容を理解することである
モチベーション
(1)全力で取り組むことに満足を覚える
(2)一度課題をやり始めたら、最後までやり遂げる
(3)何かに取り組むことの楽しみの一つは、これまでの自分の成果を超えることである
編集後記
生徒の自主性を尊重した学びを導入する際に重要となってくる自主学習力。親の社会経済地位やサポートの大小による差が学びの質の差にならないよう留意する必要がありそうです。
文責
識名由佳
参考文献
https://www.oecd-ilibrary.org/education/how-socio-economics-plays-into-students-learning-on-their-own_2417eaa1-en
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