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歯科技工士 激レア時代の処方箋

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R5年度の歯科技工士国家試験の合格者数はわずか799名。うち、技工士免許を申請した者は半数にも満たない350名余。そして離職率は依然として高いまま。国はデジタル、AIで技工士不足…
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技工士激レア時代の処方箋❶

担い手のいない保険技工 新たなブログシリーズです。  今回は業界の現状を並べたプロローグ、肩から力を抜いてお読みください。  私の住む田舎町でも、技工士不足が取り沙汰されるようになってきた。このエントリを書いているのは令和5年11月末。特に、保険の義歯を作る技工士がいないのだ。もともと義歯を手がける技工士は少なかった。それが、上手い技工士となればなおさらである。歯科医も、どうせ採算のとれない保険義歯だから、と自費義歯へ誘導する叩き台くらいにしか思ってこなかった先生も多く、私

技工士激レア時代の処方箋❷

 今回から、きたるべき技工士レス時代に備えての提言を述べていく所存ですが、最初は少し前項のプロローグを引きずってみます。  過去の拙ブログでは、保険の技工問題は解決しない、とほぼ断言しました。技工問題が解決しない、というより保険診療の様々な問題が解決しないわけで、こと補綴だけ、修復だけが解決するはずもありません。そして、じっと耐え忍ぶにも、歯科業界人は既に、多くの時間と忍耐を強いられてきました。ですから、今必要なのは、何年後に実現するかわからない理想論や、政治家、歯科医師会

技工士激レア時代の処方箋❸

 このブログシリーズも、ようやく調子が出てまいりました。前回の予告では今回、ラボにいっさい外注せずに歯科診療は可能か? をテーマに書こうと思っておりましたが、技工士さんからの反響があまりにも大きく、今回は技工士の求人事情について掘り下げてみたいと思います。  本エントリからご覧の方は、是非とも前回エントリからご覧ください。 勤務技工士の報酬額 前回の反響で特に印象に残ったのが、歯科医院とラボ間で、勤務技工士の争奪戦になるのではないのか? との懸念の声でした。たしかに、わたし