見出し画像

2024 J1 第3節 FC東京 vs ヴィッセル神戸 観戦記

いきさつ

 第2節の川崎vs磐田をテレビで観たのか、I氏から観戦のお誘いが来た。I氏との観戦の場合たいていこちらからプランを提案することになるから、3~4月のゲームを適当にピックアップして提出するといちばん間近なこのゲームということになった。そういや昨シーズンは行けなかったものの神戸の試合を見たがっていたことを思い出した。こちらもFC東京の松木玖生と荒木遼太郎が共演できるのはパリ五輪までと踏んでいるから、それまでにいちどは見たかった。

味スタ

 快晴なれど寒し。最高気温は11度と予想される冬の一日である。なのにI氏は春めいた格好で来た。春先のJリーグ観戦で春の装いは禁物である。ましてや16時開始ゲームともなればなおさら。席はバックスタンド上層の上の方、神戸側のコーナー付近だが全体を俯瞰できる場所で個人的には好みの位置。
 I氏が体を温める飲み物を買いに行っている間にスタジアムwifiに繋いでみる。なにか特別なことをやっているかなと思ってのことだったが特になし。クラブが指定管理者になっていないから自由にはできないのかもしれない。
 構図としては横浜系保持型東京vs非保持型の王様ヴィッセルが予想されるから、FC東京が保持して果敢に攻めると面白いゲームになると期待。

ゲーム

 前半はPKから始まったと言っても過言ではない。FC東京のDFがペナルティエリア内でハンドの反則を犯しPK。スクリーンに流される映像を見る限り、取られても仕方なし。しかしながら、そのPKを大迫が足を滑らせて失敗。

 ところでヴィッセルの配置がよくわからず戸惑い続けた。広瀬は右サイドバックの選手のはずだが、右には酒井高徳がいるし、左には本多がいる。インサイドハーフの一角かと思いきや左に張ってウイングっぽい。3トップなら真ん中大迫、右に武藤ヨッチ、宮代は?となる。宮代トップ下の4231かなと思って見ていたけど、実際は宮代が左インサイドハーフの433だったらしい。鹿島の知念といい、流動性の中で鍛えられた川崎系FWは中盤ポジションもそつなくこなせる。

 ともあれゲームは「とりあえず大迫」の神戸となんとなくボールは持つが攻めあぐねるFC東京の構図。ディエゴ、ディエゴと東京ゴール裏からコールが出るものの、肝心のディエゴ・オリベイラにボールが渡らないのだからしようがない。サイドを突破できたときはチャンスを作れるものの、そのチャンスも判断ミスで潰す。

 神戸の守備は扇原と山口蛍のところで厚みを増し、FC東京は沼の深みに嵌っていくようだった。そのうえ神戸は何もないところから突如チャンスを作り出せるだけに不気味で、FC東京は前掛かりにもなれない。昨年王者の放つ圧の前に間合いへ入れない感じ。膠着状態は神戸のペースだ。強い。前半はそのまま終了。

 後半、先制したのはFC東京だった。CKからのセカンドボールを小泉が低弾道ミドルでズドン。これしかないゴールに響き渡る歓喜の東京ブギウギ。

 ただ、失点したことで大迫頼みだった眠れる神戸が目を覚ます。静かなる雄牛モーヴィが駆け始めるとガッツリ前への圧力。中盤でボールを奪い、武藤のタメからの大外を走り込む広瀬へのパス。受けた広瀬がゴールライン際まで駆け上がってクロス。宮代の高いジャンプにドンピシャ。同点に追いつく。直前に宮代と広瀬は代えた方がいいんじゃね、とほざいていた自分の不明が恥ずかしい。そもそもなんで広瀬にパスを出すのが武藤なんだ。

 目覚めたモーヴィは止まらない。DFラインがボールを持った時には中盤に扇原を残すだけの415の様相さえ見せる。FC東京は中盤もDFラインに吸収されてしまう。圧力に耐えかねたかエンリケ・トレヴィザンがミスをしたうえDOGSOでレッドカード退場。FKを蹴るのは大迫。ペナルティエリアわずか外側からの弾道は淀みなくゴールマウスを捉えて逆転。

 ところがゲームはそこでは終わらなかった。ゲームを終わらせなかったのは神戸。数的不利のFC東京に止めを刺すべく初瀬とパトリッキを入れたところプレスが甘くなってオープンな展開になってしまう。これは吉田孝行流エンターテイメントなのか。一人少ないにもかかわらずジャジャシルバが入って動きがよくなったFC東京が果敢に攻め立てチャンスを作る。その積極性を最初から見たかった。松木のミドルは前川に弾かれ、FKはギリギリ枠を外れる。惜しい。ただ、PKですっ転んでもFKを決める大迫との差。その大迫は最後の最後、キーパーと1対1のドフリーで宇宙開発。最初から最後まで魅せる大迫だった。

チームレビュー

 FC東京は上手くいっていない感がありありとうかがえる。横浜式433なのだろうけど、いい形でウイングにボールが入らない。仲川の快速も遠藤のテクニックも宝の持ち腐れ状態。で、気になったのは松木玖生。二年前の新国立で見たときはもっとスケールを感じたが、いまは小さく纏まりつつあるように見える。ボランチよりもひとつ前の方が活躍できそうなんだけど。荒木と被るけど。結局、FC東京も中盤ポジションの機能性が不十分ということに尽きる。

 神戸は強い。決して好きなサッカーではないけど強い。たしかに王者の風格がある。トゥーレル、高徳、蛍、扇原、ヨッチッチ、大迫が揃うとそれだけで圧があるし。ただ、この強さは個の強さに依存するものだから、負傷者が重なればどうなるか。

まとめ

 大迫劇場、演出は宮代。後で知ったけど、最初のPKは宮代のシュートだったとか。FK取ったのも宮代だし、同点ゴールを決めたのも宮代。陰の立役者。でもそれだけでなく、総じて神戸の圧がFC東京を上回ったゲームだった。

 次節、FC東京はアビスパ福岡との対戦。福岡は第2節で保持型の横浜FMを嵌めている。その超圧縮442をどう攻略するか。

 神戸は広島と対戦。早くも今シーズンの優勝候補対決となる。神戸は負けると早くも二敗目となり、おまけに広島を走らせてしまう。敗戦だけは避けたいところ。非保持同士の頂上決戦は見ごたえがありそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?