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2024 J1 第2節 浦和レッズ vs 東京ヴェルディ 観戦記

いきさつ

O氏から浦和レッズのホーム開幕戦に誘われた。

気が進まないので返事を濁していると「ソルバッケンを見に来ないか」と畳みかけられた。
「メインロアーのいいところでソルバッケンを堪能できるよ」との売り文句である。

まあ、それならやぶさかではないが、と煮え切らない態度のうちにあれよあれよと手配は進み、なぜだか招待券をいただける運びとなった。

折しも対戦相手の東京ヴェルディは昨シーズン2位の横浜マリノス相手に大健闘の初戦を演じて見せた。自チームの開幕戦にも行けなかった忸怩たる思いをよそに、面白そうなサッカーへの期待も膨らんだ。煮え切らない態度といっても約束は約束だから、すっぽかすわけにもいかない。

MILアカでの予習だと、今シーズンは非保持超圧縮442型がトレンドになりそうとのことで、このゲームも保持のレッズと非保持のヴェルディ。レッズのアンカーを務めるグスタフソンが活躍するか抑え込まれるかが軸になる。

埼スタ

14時に浦和美園駅へ到着するとじっとりと汗ばむほどの陽気で、ここから埼スタまで2キロ強。久しぶりのサッカー観戦で、選手名鑑もメモ帳も忘れてきてしまったので、駅前のセブンでメモ帳とおにぎり二個。

事前情報ではチケットが5万枚以上売れているとのことで、埼スタストリートも人がいっぱい。美味しいとオススメされたキッチンカーには長蛇の列なのでやり過ごす。

埼スタは敷地内でも大入りで南広場にレッズサポがうじゃじゃけている。ヴェルディサポは50人に1人いるかどうか。待ち合わせ場所に到着したが、O氏は渋滞につかまって遅れるとのこと。腰を下ろす場所もないので、いったんスタジアム敷地から出る。

埼スタの隣にある沼は、コロナ禍の間に地盤改良が進んだのだろう、遊水地に変わっている。かつて沼だった窪地の底はサッカー場を何面も取れるほど広い。その芝の上でサッカー観戦に来た親子連れがボールを蹴っている。すり鉢状の斜面は腰を掛けやすいようにコンクリで段差がつけられていて、小さなコロシアムのようだ。その段に腰を下ろしておにぎりと唐揚げ棒にかぶりつく。階段の一番下では若者たちがスケートボードに興じている。のどかだ。解きかけのナンプレをやりながら時間を潰す。

O氏とともにスタジアムに入りロアーに案内される。埼スタでは何度も観戦したがロアーは初。ホームゴール側のコーナーあたりで周りはレッズサポだらけ。場違い感がすごくて内心焦る。居させてもらってる身なので、ゲーム前のコレオには付き合う。赤いパネルを挙げることになるとは思わなかった。

ゲーム

レッズはCBからグスタフソンにボールを入れてそこからウイングを活用したい。したいけど、ヴェルディの両FWがグスタフソンへのパスコースを遮断する。外回りでサイドに繋げても詰まる。インサイドハーフやらワントップに付けたところで捕まり、逆襲される展開。

ヴェルディは無理をしない。無理してボールを失うくらいならボールを捨てて守備をセットした状態で迎え撃つ。レッズの両ウイングが守備をしないので、サイドで数的優位を作って突破する。やることが徹底されている。

ボールを保持するレッズがどうやって状況を打開するのかが焦点となったが、先制はヴェルディ。奪ったCKをしぶとくつないで3回目か4回目の連続CK。全て山なりボールでファーから折り返してスクランブルのドサクサで点を取る狙い。これも徹底。で、それがハマって先制。

後半に入るとレッズは関根をインサイドに入れ、小泉をウイングに出す。インサイドにおける流動性向上を狙った入れ替えだ。ただ多少は改善されたもののまだ機能しているとはいいがたい。ヴェルディの思惑どおりゲームが進む。IHによるレイオフからグスタフソンにいいボールが入った時はチャンスに繋がっていたから、やはりグスタフソンにボールを集めたい。

レッズの3枚替えで岩尾が入るとボールが回り始める。左SBに入った大畑が突破を見せる。足元の上手い中島を入れて2列目での保持を目指す。ヴェルディは前節の反省からか、早めに手を打ち森田と山田を下げる。が、森田を下げた手は後々響いたかもしれない。

中島が入ってからレッズは高い位置でボールを保持できるようになる。続けてグスタフソンを下げて高橋を入れ、岩尾と伊藤のダブルボランチ&興梠と高橋の2トップ。

フォーメーションの変更にヴェルディの守備がやや混乱したかもしれない。誰を抑えるべきか意思統一ができていなかったように思える。起点を抑えられず、DFから送り出されたボールをFWが競ってこぼれたところに猛然と上がってきたのは大畑。ファールをもらってPK。ショルツが決めて同点。

ゲームはそのまま終了。ドロー。

チームレビュー

ヴェルディは前節に続いて89分にPKを与えて勝ち点を落とした。2点目を奪うか、無失点で守り切るかができないとJ1では厳しい。と言っても、マリノスやレッズのように主力クラスが途中出場してくるのがJ1だからクリーンシートは難易度が高い。先制点は作戦で取れるが、2点目は得点メソッドとプレー精度次第となる。このゲームのヴェルディはそこがはっきりしなかった。

レッズはレッスンの最中。グスタフソンがいい形でボールを受けるとチャンスを作り出していたからそこを使いたい。だけどグスタフソンへボールを供給できないジレンマ。MILアカでの予想通りアンカー潰しにハマってしまった。そこはインサイドハーフにうまく立ち回ってほしいが、まだお互いの理解が浅いのかもしれない。が、悪いなりに勝ち点1を掴めるのは強い証拠。噛み合えば勝ちっ放しになりそうな大物感はある。

グスタフソンは柔らかいプレーをする。力みのないキレイなパスで、こういうのは久しぶりに見た。このパスをもっと堪能できれば幸せだろうし、期待されるのももっとも。これを見るためだけにチケ代を払う価値はある。

総評

レッズはやりたいことが何ひとつできず、ヴェルディは清々しいまでにやりきった。超圧縮442はここでも機能して先制点を奪い、ほとんどの時間をコントロールした。しかし、結果はドロー。どちらのダメージが大きいだろうか。

次節、レッズの相手はコンサドーレ。ようやく保持型チームとの対戦。ここで本領発揮できるかどうか。この戦力が躍動する姿を見たくはある。今シーズンを占うゲームになるかもしれない。

ヴェルディの対戦相手はセレッソ。3戦連続保持型チーム。しかし新監督のもと手探り状態のマリノスやレッズと違って、練り上げられたチーム。ここに超圧縮442が通用するかどうか。先制できたとしても勝ち点3に繋げられかどうか。こちらも今後を占うゲームになりそうだ。

夜の埼スタ

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