もういちど、サマーウォーズをみる
ありがとう、金曜ロードショー。ありがとう、川崎フロンターレ。
「家族へ。まずは落ち着きなさい。落ち着きが肝心だよ」
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Pu.Pu.Pu.PuPUPUPUPUPUPU……
デジタル音とナレーション、夏の訪れとともに世界が広がっていく素晴らしいサウンドトラックから、近未来のサイバー空間が現れると、アバター作りから、ワールドで可能なことの紹介。世界観をイントロダクション、スポーツに仕事、遊び、行政手続きなどが収まる、ワクワクする電子世界、いずれ、私たちがいくかもしれない世界かも。
肉体を捨てるのか、なんてニムロッドが選考される幾分前の作品なのに普遍的というか示唆的なパワーをもっていた、少年少女のワクワクを詰め込んだ映画が始まりました。
さてさて、夏といえば?
女!!!と意気込む元気はあるオタク気質のある主人公とその友人は、この地平にもいるような小粋なナンセンスたち。将来はおそらくシステムエンジニアにでもなってそうな不健康そうな二人が、仮想世界と田舎の双方に親和性の高いキャラクター設定ですね。
このストーリーが複層的なのは、仮想世界VS主人公(cv神木隆之介)、仮想世界の格闘大会に挑む少年(同人会で弄ばれるショタ)、仮想世界VS武家の血を引いた一族陣内家の戦い、などさまざまな階層での戦いが繰り広げられていきますからだと考えます。
そこに、主人公の甘酸っぱい恋心に加えて、一族で唯一生で登場しない、高校野球球児が、並行して、しかも家族の戦いの優劣に対応して撃ち込まれたり逆転したりと県予選を勝ち抜く様子が描かれていくので、プロットが絡み合うのが名作の所以でしょう。いやはや、ありがとうございます。
さて、筑波山にそびえる廃サークルのような部室でパソコンに向かいダラダラとオズの運営かなにかのアルバイトしている芋男・ケンジの前に現れる爽快女子・夏希は、前作、時をかけながら欲望と希望のはざまで悩む少女とは違って、おおかみこどものお母さん、神武以来のかっけぇ凛々しい少女がヒロインです。
実家についてくるという怪しいアルバイトに誘ってきますが、浅野いにおだったら大けがを負って性欲に対するトラウマまで植え付けられる展開になりますが、スタジオ地図であります、大丈夫ですね。
数学オリンピックに出損ねた内向きな青年は、通路を挟んで満員の東海道新幹線でモジュロ演算で、先輩の誕生日の曜日を当てるなど、伏線をはっていきますが、伏線なんて見方する人は、そんなシニカルな性格からのご退場、よろしくおねが(rrrrrrrrrry)!!!
長野県上田市、ハイテク世界と真田家の田舎へのハイスピード移動、叔母らと合流していく中、登場する一人の叔母は、声優仲里依紗でして、時かけの真琴の声をしておりましたね。
さてこの武家の闘争の血の一族が、のちに世界を救うことになりますが、最初は吉本新喜劇のようにドタバタに情報を打ちのめしてきます。人工衛星あらわしが日本にぶち落とされるのですが、コナンの前々作も、なんかそんなんじゃなかった!?
さて、実は彼氏のふりをする恋人というバイトの内容が、おばあちゃんの前で明かされる。
細い線の絵と、びっちり背景が描きこまれた細緻についても、やはり大作を支える世界観へと惹きこむ本気が伺えます。脱帽です。
大家族の濃いセクハラや自慢話、回想などを挟みながら、婿殿は、パソコンに向かう人見知りな感じのカズマに会う。彼の社会進出も大きなテーマです。
そして、テンポよく、10年前に家を出ていった侘助が登場。ヒールな描かれ方の登場シーンですが、
「飯なんていらねぇよ。たく、日本はろくでもねぇよ。じめじめして暑いし、道路は狭いし、人は多いし」
夏希の初恋相手でもある侘助が家族から嫌煙されるほど、夏希の立場も微妙になりますが、このあたりの人間の距離感の描き方はやはり秀逸ですね。
侘助は、身寄りない子なのか、本家の養子でした。もろもろの劣等感かなにかから、おばあちゃんの山売ってアメリカにいったということが情報公開されます。
さてここで、最後まで核となる、花札をニヒルなテンションをぶっ通す侘助と夏希がプレーしますが、この距離感もまた素敵。
夏希のみ一家のやつらと違って侘助は初恋の相手で、なんなら今もちょっと好きなので、近寄りたい気持ちから「こいこい!」(いちいちダブルミーニングに騒がないでいたいわね)けれど、花札ではカスで上がって、
「勝ち逃げは俺の信条。タッチ(婿殿の肩に)」
タッチされたものの夏希の興味はタッチされず好意の勝ち逃げを図る侘助、花札のルールに夢中な数学少年にも寂寥の表情があり、判官贔屓に、観客は引き込まれざるをえませんね。
怒涛の序盤に圧倒されているうちに、今後、初期設定のすべてが反転していくという設定の紹介を受け入れてしまうということですね。
弱気っぽい内気青年→数学の力で鼻血出しながら世界救う
ダーティな侘助→持ち前の知能を生かして応戦
あっけらかんヒロイン→花札の力で世界救う
コンピューター格闘少年→その力でAIを打ちのめす
and more...
いやはや、教科書のような作品ですね。
さて、謎の家につき寝付けない青年に数列がメールで送り付けられてきて世界が崩壊の音が聞こえてきました。
物語で聞こえるは、そのナンバーズに熱狂して暗号を解くペンの音、映像は、朝顔や山々。
数列を解いてメールを返すと、正解したのか、謎のメールがきて終わり。
と思いきや家のくそがきが起こしに来て、ケンジがニュースでオズ混乱の犯人扱いされている報道をされます。これは情報操作なんですね。今見返してわかりました。
その朝のニュースでOZがハッキングされて大混乱に陥っているとあります。
一人のサーバーへの侵入によって、大多数の生活が破綻する、暗号資産の流出など騒がれているいま、これは仮想世界の話ではないですね。
ケンジがそうと知らずに解いた(正確には解いていないので狙われる)のは、2056桁の管理者用の暗号だったというわけで、怒涛の展開が開始します。
そしてハッキングAI「LOVEMACHINE」が暴れ始めた…
これ侘助が開発に携わっていた、ということで波乱が訪れます。
今どきの言葉で、シンギュラリティ時代の大ピンチです。
過去に見た時のこのありえそうでありえない空想がよかったわけで、劇場に私3回も見に行って泣いたんですが、今やありえそうで、ちょっと背筋が凍っちゃいますね。
『サマーウォーズ』。サイバーテロなどが起こりうる世界になってしまって、このwarはちょっと洒落になんないな。
さて、では、そんな世の中で立ち向かうのもまた人間、という勇気がこれから私たちが見ていくわけですね。
かたや同時並行で、一族のうち野球高校生は弱小上田高校野球部を甲子園に導こうと佐久長聖戦に挑んでおります。
犯人扱いされて退出しようとするケンジの背景設定は、この大家族とは真逆なんですね。
「うちは父が単身赴任、母も仕事が忙しくて、家ではたいてい一人。
にぎやかなのは初めてでとても楽しかった」
いくらでもネット上では偽れる中で、生身のアバターが発する生の言葉の重みが相対的に増していますね。
AIはさて、ロックを書き換えて、OZが乗ったられた、人工衛星も信号も何もかもIoTで一気に乗っ取ってしまったラブマシーンがインフラを破壊していく。
もちろん、彼らのピンチに並行して、上田高校のエースは佐久長聖に打ち込まれているあたり、いいっすねぇ。
インフラ、通報システム、GPS……混乱は田舎の彼らの日常にも介入してきました。
アカウントと人間の権限はほぼ等しい設定。水道局員、JRの職員を盗めば……大統領のアカウントを盗めば、核ミサイルを打てるかも。
「まるで敵に攻め込まれているみたいじゃないか!」
そこで立ち上がる栄おばあちゃん。
公務員らの一家に鼓舞する電話を送り続ける。友人網、国交省や消防庁などに縁をつないで、OZよりも圧倒的に遅い速度で、しかしOZよりも圧倒的に強いネットワークを構築していく。
「大事なのは昔のように、人と人が声を掛け合って、助け合うこと」
「あんたならできる」
栄コミュニティはとても広く、遠くは警視総監にも電話かけて、励ましていく。
そして強力な暗号を突破してアカウントを取り返すべく、ケンジは暗号を解いて、セキュリティに侵入して管理棟を開放したのかな、一時は平穏が訪れます。
実は、最初の暗号は55人も解いていたのですが、それらの人はアカウントを乗っ取られた。一方ケンジは最後の一文字を間違えていたせいで、アバターを奪われずにすんでいたので、指名手配させるよう情報操作を仕掛けたのでしょう。
けが人もいなかったとのことで、その後ろでは、栄ネットワークによって鼓舞された人々が守り切ったということです。
さて、長野大会、佐久長聖を突破した上田高校はヒット30本も打たれながらも決勝進出を決めて、希望が広がっていく……となると絶望が待っているのが、細田作品。
ケンジは暗号突破を栄に褒められシーンなどを挟んだのち、
復旧したが、200万人分のアカウントが使用できないままのニュースが流れます。
打ちのめされたラブマシーンの打倒に燃えるカズマに対して、侘助が「それは無理だね」とさっそうと登場。
「そいつの開発者、俺だもん」
暴走を続けるハッキングAIの作者も臨戦していたということですね。
「機械にものを知りたい、知識欲を与えただけだ」
「実証実験次第では高く買う」
結果は、良好。世界中の情報と権限を蓄え続けている。
侘助は栄おばあちゃんに認められたい一心で、ようやくその機会がきたと喜んでいる倒錯具合が仕込まれています。
栄氏「どれだけ世界がめちゃくちゃになった」
詫びない侘助「AIが勝手にやったんだよ」
「俺はただの開発者で、人工知能にああしろこうしろと言った覚えはねぇ」
「ばあちゃんならわかってくれるよな」
「今まで迷惑かけてごめんな。挽回しようと思って、頑張ったんだよ。このうちに胸張って帰ってこれるように」
「米軍から正式なオファーがあった。大金が入るんだぜ」
「ばあちゃんのおかげだ。ばあちゃんにもらったお金で独自開発できたんだから」
なぎなたを取り出して勘当扱いのばあちゃん。
「身内がしでかした間違いは、みんなで片を付けるよ!!!!」
すれ違う正義が描かれていますね。正義っていったい、「特別の教科 道徳」に期待です。
さて、夏希は尊敬する侘助が世界を破壊しようとしたAIの生みの親という事実に耐えられないまま。
その裏で栄はケンジと差し向いになり、花札をしながら、
「この勝負私が勝ったら、あの子をよろしく頼むよ」
「いいなずけの代わりを頼むような愚かな子だが、夏希をよろしく頼むよ」
ぼくは、まだぼくはじぶんに、じしんがもてません。
「あんたならできるよ」
何か言おうとするも、言葉がでない。
満月(九月)で栄の勝ち。ここでまた一つ、約束が生まれてストーリーが進む。
就寝していると、犬が吠えて、騒乱の家に気づきます。栄おばあちゃんが危篤です。
人工呼吸、「おばあちゃん」の合唱、祈り、医師の親族の諦め、それでも
人工呼吸、「続けて」!、人工呼吸、、、、
5時21分 ーーーーーーーーーーーーーーー
栄おばあちゃん、大往生。
日本アルプスの風景などが挟まれながら医師の親族は、栄おばあちゃんが狭心症だったため、体調を携帯でモニターしていた。異常があればオズのネットワークを通してアラームが鳴る。OZの混乱もその死の一因だった。と説明します。
犬、死体、授乳、ふさぎこむ家族たち。
後ろには入道雲、軒下に朝顔。
でも、その朝顔のようなおばあちゃんの晴れた笑顔はもう見られない。
夏希とケンジのシーン
以下夏希
止めて。涙。
ここ、握って。
止めて。
夏希から余計涙が出ていく。手と手が絡み合う。
ケンジは栄氏との約束を思い浮かべているのだろうか。入道雲に決心する。
さて、今日は、家族がエースの長野県大会の決勝戦の日でもあります。
お通夜の取り決めをテキパキ行う母と
「かたき討ちだ!!!」と血気盛んな現代野武士たちに交じって、
ケンジも立ち上がります。
ただ、「なんでこんなときによそんちの心配なんかしないといかんわけ」という声も上がり、二分された陣内家。
そこで
「人を守ってこそ、自分を守れる」
などの言葉が飛び出して、戦闘開始であります!
自衛隊、町の電器屋、最強格闘プレーヤー、武家の血、暗号野郎、必要な要素が揃っている。立ち上がるように作られた一家だけど、そんな作意は関係ない!がんばれ、陣内家とプラスアルファ!!!
……そして、こら、数学共通の映画『アルキメデスの大戦』のCMすな!笑
CM開けます、紫綬褒章受けてた栄ばあちゃん。
第二次上田合戦の、わざと敵を挑発して二の丸に誘い込み閉じ込めた先祖の云々を聞いて。
以下vsAIダイジェスト
①スパコンが登場(電器屋)
②門ぶち壊して発電も担う船登場(おじさん)
③ミリ波通信用のアンテナモジュール(自衛隊)
「うちってバカな男しかいないの!!」 その気持ちわかります。
「昔から人の役に立て」と言われてきたほかの男たちも動き始める。
野球の決勝戦も始めりました。
カズマは「昔はひどいいじめられっこだった。少林寺拳法を習って」と過去も明かされます。
④スパコン冷やす氷(船から)
⑤ブラウン管などモニター設置
さて、AIに果たし状( A Challenge)を送り付けて準備を整えていく陣内家。
カズマも少林寺拳法で気合を高めるシーンのなか、
カズマにもうすぐ妹ができる報告があり、物語も感動の重ね着モード。細田守氏の細くない怒涛の中盤の攻めは、全盛期の加藤一二三のように逃げ場がなくなっちゃいますね。
カズマの「しまっていこう」という声で開戦しました!!(野球も)
開戦に向けた秒読みのクロック音は冒頭の音楽への回帰。
時報の440ヘルツが響いたとき、挑発に乗ってきたラブマシーンとの戦いの火ぶたが落とされました。
最強スペックの環境とその技術で互角以上の戦いをみせるキングカズマ!!
「いける…」
しかし、そんなことつぶやけば、敗戦のフラグ。血が上っていくカズマ、上田合戦作戦を忘れて倒そうとしてしまうところで、盗まれたアバターも操って多勢に無勢、まさに徳川家のような攻撃をしかけられて身動きが取れなくなってしまうカズマのアバター。一瞬の油断から大ピンチ、逃げないと負ける、すべてが水泡に帰してしまう、そこで、現れる師匠はDSを使って応戦するという肉弾戦にちょっと、なによ、それで戦えるなら世界のみんなも応戦してよ、というわたしのもどかしさをよろしくおねがいしま(rrrrrrry)。
さて、師匠の一撃に、AIをポイントに誘い込むという本意を思い出したカズマ、陣内家の城門風の仮想空間にAIを閉じ込め、おそらくDDOS攻撃的なものを仕掛けて逆ハッキング開始!!
OZの世界が白壁のお城になっていき、いったんは封じ込めることに成功します。
そこに、待機していたゲーム歴三十年のほかのおじたちが、ネット上のデータで洪水を作り、(もはやよくわからない)、AIをパンクさせていく。
このまま情報に押しつぶそうとするなか、エラー表示が出てくる、なぜ、勝てそうだったのに。城壁(ステージ)が崩れるのはなぜ、、、、
なぜなら、スパコンの快適な稼働のために置いていた氷が、阿呆のしょうた兄が、その善意からおばあちゃんの死体の腐敗を防ぐために、持って行ってしまった…ということで、スパコンが熱暴走してしまったのでした。(空爆笑)
さて、フィールドは崩壊し、与えた情報量をすべて飲み込んだラブマシーンは、もはや電脳空間の構成要素のほとんどを乗っ取ってしまった。4億以上のアバターの情報などを備えた兵器になってしまいました。
カズマを襲う膨大なデータに打ちのめされて、カズマはここで敗戦。wow wow wow love revolution!!
ここで、ワールドクロックすら書き換えられて、何かのカウントダウンが始まって、世界を巻き込んでいく。これは人工衛星が原子力発電所にぶち落とされるまでの秒読みとなってしまった。
ここで、なぜ、人工衛星が核施設にぶち落とされる展開を選択したのか考えたいと思います。すぐ終わります。
これは、おそらくラブマシーンが吸い込んだ情報の蓄積によって導き出された悪意なはずなんです。ようは「AIの向こうに人間がいる」ってパロアルトでうさんくさい…じゃない偉そうな彼らが叫んでるそれですね。
ここで出てくる「キングカズマ、あの怪物を倒して!!」などのチャット画面は味がありますね。。。他人よがりにも見える社会ですが、誰かが誰かを必要とするというのは、素敵なことでもやはりあると思いました。
さて、分析すると、AIはすでにたくさんの管理権限を持っている登録者のうちの全体の28パーセント、じつに4億人分のアカウントを乗っ取っており、そこからGPSを操っているアカウントを取り戻さないと、生まれてくるはずの妹もろとも地球がクソヤバイ!!状況に陥ってしまうというおそろしいディストピア構想が打ち出されました。
自暴自棄になりカラ元気でラブマシーンに突っ込んでいくカズマの熱意は虚しく、完全敗北を喫する。
一家VSアーティフィシャルインテリジェンス(=人間の悪意の抽象的集合体)という構図になりました。
「まだ終わりじゃない、立ち上がれ!!」
と声を上げたときに、CMに急に現れた細田守「大人になってしまったらできないことが、子供ではできるんです」とな。
確かに、大人はこんなところでCMを挟みやがる~~~が、その協賛金で成り立っている放映だからぐうの音もでぬ~~~~。
さて、最強の情報体と化したラブマシーンにカズマのアカウントも乗っ取られてしまうところから再開ですね。キングカズマのうさみみがダークマターから生えちゃった。
「おばあちゃん、ごめん。母さんを妹を、守れなかった」
開発者の侘助だけが、何かできるはずなのに、彼は怒られて拗ねてスポーツカー奪って逃走しています。
ここで、ひ弱な青年は栄の意志を受け継いだかのように
「諦めたら解けない。答えはでないままです」と放ち、一家を鼓舞しました。
かたや、侘助のアイフォンをパクっていた夏希、誰かの誕生日を撃ち込んでロックを解除して侘助との通信を試みます。
侘助は「そもそも誕生日だって知ってたら帰ってこなかった」とわめきますが、夏希から「ばあちゃんが死んだ」事実を突きつけられて一変します。
だって、「パスコードはおばあちゃんの誕生日なんだから知らないはずもない」。侘助、思い出すは過去、おばあちゃんと祭りを歩いた思い出だった。
こうした中、栄の遺書が読まれることで、一家は戦うことを決意するという展開でしたね。
「家族へ。まずは落ち着きなさい。落ち着きが肝心だよ」
……
「それと、侘助がもし帰ってきたら、きっとおなかを空かせていることだから、うちの畑のものを思いっきり食べさせてあげてください」
「朝顔畑の中を歩きながら、『きょうからうちの子になるんだよ』と言ったら、手だけは離さなかった。私のうれしい気持ちが伝わったんだろうよ。家族同士手を離さぬように、人生に負けないように、つらい時や悲しいことがあっても、家族みんなでご飯を食べること。一番いけないのは、おなかが空いていることと、一人でいてること。
私は、あんたたちがいたおかげで、大変幸せでした。
ありがとう。じゃあね」
栄、おばあちゃん……
親族のスポーツカーをボッコボコにして侘助も帰還、みんなで食卓を囲み英気を養うという、生活風景が挟まれることで、以後の非現実も一気に距離の近いものになるんですね。
「負け戦だって戦うんだうちは」
「バカな家族!でも、私たちはその子孫!」
以下、解決策をひねり出します。
①今からやつ(AI)をリモートで解体する。
②そのためには膨大なアカウントをはがすことが必要。
③アカウントをディールするために、勝負にのってくる性質を利用して、花札を提案するため、カジノフィールドを展開。
④夏希が、家族のアカウントを掛け金にして戦場を花札に移して戦いの幕が開けました!
「母ちゃん、見守ってよ」
琳派の屏風風の背景で、サクサクと花札をプレイ。
青短、三光、タンで第一戦勝利。26/4億アカウントが移動。
三光、花見で一杯、猪鹿蝶、雨四光…夏希強すぎ。
30万以上アカウントを取り戻すも、
世界崩壊の焦りと、おそらく機械学習で成長したAIの花見でいっぱいで逆転負け。
「現在のレートに対して、掛け金が不足しています。ここでゲームを終了しますか」
「現在のレートに対して、掛け金が不足しています。ここでゲームを終了しますか」
「現在のレートに対して、掛け金が不足しています。ここでゲームを終了しますか」
反復は花札生み出した日本人の生み出したとてつもない表現技法ですね。
そして、闇カジノさながらの違法勝負でしたが、世界中からアカウントが提供されてくることで、ゲームを続けることになりました。
ここで、讃美歌のようなBGM、ハープの音も響きます。希望へののろしですね、映像は、各世界で老若男女がいろんな画面に向き合って、陣内家を応援している図が何枚も差し込まれて世界が一つになります。
「わたしたちの大切な家族を
どうか守ってください」
そうして、13・837パーセントのアカウントが集結したことで、再戦をしかけていく
アカウントの権限を委譲して、なぜか、電子空間のセキュリティー系のクジラから勝運があがるとされる衣装まで与えられて、スーパーサイヤ人のようにフォルムチェンする夏希アバター。
レアアイテムまじで、ずるいね笑
てかそこはAIいじれなかったんだね、都合よ…(洞窟のイデアで一杯)
さてAIは掛け金を一文につき1千万アバターであおってきますが、最強装備を手にした夏希の敵ではないですね。
三光、猪鹿蝶、「こい」、赤短、雨四光
「こい」
「こい」
「こい!!!」
家族、世界の大合唱とともに繰り出される渾身の五光フラッシュ!!!
勝利してアカウントが移動し、ラブマシーンのてもちアカウントが2まで減少して、情報総体が崩壊して、危険が去るかと思われました!!やったぁ
大勝利に沸く陣内家、世界崩壊を救ったはず…
あらゆる権限への支配権を放棄していくラブマシーンですが、ただ残った、この二つのアカウントがもってる権限って……
簡単には大団円しないのが名作の証。
大勝利に行き着く暇もなく、残った2つの権限は、人工衛星と、GPSを陣内家の柴犬にぶち落とす力をもっていました!!
AIの構築データの素を侘助が解体をはじめるも、制限時間は残り10分、空には人工衛星の軌跡すら見えてくる。人類が救えても一家はぶっ壊されるという鬼畜モードに突入。
あくまで冷静な公務員らが多い陣内家も、パニックのまま避難を促しに解散するも、ここまで何もしていない部外者が、ついに決定的に立ち上がります。
花札でいうと、最後に投入される菊のように無力な一枚だけれども、役になったら発揮するというダブルミーニング的な物語が快感ですねぇ。
数学野郎ケンジに最終試練が与えられた、ログを用いてバグらせてコースを変更するという奇策に打って出る。
ナツキ「まだ負けてない!!」
ログに侵入しようとしても、パスが変更され、また新たな暗号配列が課せられました。ひるむケンジに、家族らが、
「しゃんとしろ!俺たちがついてる」
「きみにしか解けないんだろ、これは!」
「頼む!!」
と鼓舞します。この三つのセリフってすごい力を持っていますね。
バトンを渡されたケンジ。暗号を解いて侵入するも、パス変更の規制アービトラージ、なんとか、電子空間上の物理ダメージを与えられるよう変更した侘助はキングカズマに攻撃を依頼、あと2分、暗号を解き続けるも、変更が繰り返される。
わなないているケンジかと思いきや、鼻血出しながら暗算をはじめていました。
そして、キングカズマの鉄拳制裁で、新たな規制をさせないようにラブマシーンを破壊。
ここであの
あれですね
屈指の名言でエンターキーをたたきつけて勝負あり
わずかに人工衛星をの軌道をそらすことに成功し、世界のヒーロー一家はその一命をとりとめることになりました。
うーんと、なんだ、これはまだ人工衛星のジェットエンジンが息をしていたって解釈でいいんでしょうか。まぁ、いいや、介錯!!
人工衛星は陣内家を避けて、半壊程度で済みました。
そして、つけっぱなしのテレビから「上田高校、奇跡の大逆転!!」
の実況がストーリーテラーとなって、もう一つの大逆転勝利にシンクロさせて終わり。
夏空、暗転、ここで、エンディング「あんのっ丘 の向こうに~~」が流れる
・・・・・・・・はずなのにカット!?えっ、カット?あれ?!
山下達郎のあの三拍子の歌がないままゲームセットですか!!
テレビ欄でノーカットて言ってたやん、すぐ大人はうそつくね!!!
大人お前ら……ってかそういう映画やろ、感動する子供たちすらお金にしか見えてないのか!!!
もう一度栄おばあちゃんの声を聴け!!!
「大事なのは昔のように、人と人が声を掛け合って、助け合うこと」
「日テレならできる」(虚偽)
さて、EDはありませんでしたが、それはDVD買えってことで、世界を救った家族に笑顔が戻っていく。
夏希はケンジを羨望で見る。侘助は、自首するも、真犯人は米国国防総省だ、など擁護するまっとうな意見が出ている。
さて、沸き立った親族らの後押しもあり、
ニセコイではなく、本物になれ、ということで
チューを促されるも、そこで鼻血再発という屈強なオチが、次いで投下されて終わりのカデンツ。
人工衛星でも人工知能でも、本当に怖いのは自分の気持ちにうそをつくことかもね。
栄の遺影が笑っている。
そういや、夏は始まったばかりだ。
僕たちは、何ができるのかなぁ。
迷ったときに、きっと、僕はまたこの映画をみると思う。
そのときは、
よろしくお願いしまーーーーーす!!!
ってところで、どんとはれってね。(チャンチャン!!!)
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爽快なリズム、現実味と非現実味のバランス、複雑に絡み合いながら大団円に収束するプロット、力強いセリフ……
打ちのめされる不朽の名作でした。
この夏、暑い暑いといって、アイス食ってはおなか壊し、花火のニュースを見ては何もせず、排泄だけ元気でよいのかな。
きっとできることはあるはず。一口馬主まで手を出し始めたわたしの友達は、自分の予想思考を全反映させるための機械学習のプログラム作るとか言って躍起になってた。
はたしてその素人プログラミングで彼は競馬で勝てるのだろうか、なんて勝ち負け関係なく戦をしてきた彼らの前に言葉はありません。
こちらは何しようかな。もう一度小説、投稿してみようかな。
数年前のあの夏、ぼくらは希望に満ちていたと思う。淀川の花火を見ながら首にくらった接吻を、今でも思い出すくらいには、満ちていると思うの。
悲しいニュースも多いけれど、自分のなにかきらめくウォーズをしかけたい。
素敵な作品。
ご清聴ありがとうございました。
冒頭キャプチャは、http://sw10th.com/より。
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