ASIAN KUNG-FU GENERATION『触れたい 確かめたい(feat.塩塚モエカ)』を聴いて


 こぎれいな人工島のどこからきたのか、錆びたガードレール、カラスノエンドウ。
 青く潤んだ空から落ちてくるレイ、だっていつも君は僕の前髪を見つめていたから。

 児童は団地走り抜けて、グレーの広場、ラジオ体操。落としたビー玉をつついたカラス。
 雲が太陽を覆わないとまぶしくて見えない、まだ踏みもしない未来に怯えてあなたどうして、いまをすれ違うの。

 二十五・八度、そよ風に揺れるキリマンジャロブレンド。乾いた八重歯と、ブランコから赤子が落ちる背景。
 そぞろ歩く君は半歩後ろ、建物の影を好んで歩く。僕の汗は暑さの所為じゃないんだよ。

 背番号八番、白薔薇のゲートを抜けた野球場で、少年野球の話をしてくれたね。
 純粋は過去にしかないなんて、常識と仮装大会、痙攣する右手を包む体温。

 鳴らない携帯電話握りしめて、昼間のニュース、桜咲く列島の福禄が遠く。
屋上でチェックのエプロン、きんぴら入りおにぎりと滑らかに漸近する下心と唇と。

「あれ、何公園だっけ。油なんとか。あぶらた?」。聞こえるか、小学六年生。
この坂道に、一歳ずつ自分をストロボみたいに並べようと、フィルムカメラ買ったのは一年前。

竹藪からガマガエル、金網。興味が先で、君が後。僕は何度振ると篩から落ちるの。
イヤホンから8ビート、首筋。

白いチョークで一筆書きした。先生の筆圧が濃くて粉が舞う地図記号「墓地」
白い体操服の隊列で、君を見つけられるなんて、私は名作なんかじゃない。

イヤホンから8ビート、クラスメイトの部屋のベランダの胸騒ぎ。
新しいことをはじめようと、別れの言葉の気配、消そうと努める動悸。

映画でも撮りたいという水泳部、台本の初めは?「12と書かれたオレンジのラグランTシャツ……」
私より先に春風が正門を抜けた。その先の見慣れた後頭部を撫でて、彼の七三分けが、私の一世を風靡したんだっけ。


https://www.youtube.com/watch?v=e2697CdDWSM

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